GM
青窓の時間だよ~~~~~~~~~~~!!!!
GM
20日目あたりから、吹き付ける風の勢いが増してきた。
GM
地図では、そこから4日もせずに到着できる距離。
GM
狂飆の頂を中心に円が描かれ、その暴風域が記されている、が……。
ラタス
「まずいな。地図に描いてあるよりも、ずっと手前にも暴風域が広がっている」
ラタス
堕落の国の荒廃に伴い、地図の作られたころよりも暴風域が拡大している。
ラタス
いまでも吹き飛ばされるような風の強さで、ここから先は困難な道のりになるのは明らか。
ウエノ
暴れるマフラーに顔をめちゃくちゃにされている。
レーラ
なびく髪を押さえるのを諦めて、道なりを眺める。
ラタス
「ここから先にいくってことがどういうことなのか、わかってるか?」
クロウ
「お前も、俺らがここまでついてきたってことが、どういうことなのかわかってるかぁ?」
ウエノ
「このままがむしゃらに突き進んで、全員亡者オチなんて笑えないです」
ラタス
21日。片道で4日以上かかるとすれば、30日までに戻ってくることは難しい。
ラタス
他の救世主がいることを全く望めるはずもない死地に行く。
ラタス
となれば、責務はこのなかの一人で果たさなければならない。
レーラ
体勢が崩れてしまわないよう、俯いて、足元を確かめながら歩く。
ウエノ
もらった紙は吹き飛ばされないようにリュックにしまってある。
ラタス
「まあ、おれはどっちにしろ『30日』を超えられないからな」
ウエノ
「ラタスが空を飛んで向こうにいけるか、あたしたちがラタスを引きずり下ろすか、勝負ってわけですね」
ラタス
辺りには木が一つもない、滑らかな岩肌の山岳。
ラタス
凄まじい風に岩が削り取られ、丸みを帯びている。
ラタス
落石に割れて鋭利になった岩もたくさんあり、その先端に裂けた風が笛のように音を鳴らしている。
ラタス
うろつく亡者はこの風を乗りこなす身軽な亡者か、あるいは極めて重たい身体をした、風に吹き飛ばされない亡者だけ。
GM
狂飆の頂シーン表1D6
1. 岩石の亡者だ! 風にびくともせず動き回っている。まともに戦うのは得策ではない。幸い、こちらには気付いていないようだ。このままやり過ごそう。
2. すさまじい砂嵐だ! ホワイトアウトし、立っているはずなのに前後左右どころか、上下すらもわからない。隣にいるはずの仲間にさえ声も届かない。
3. 難所に突風が吹き付ける! 仲間が崖から転落する。一人で這い上がるのは難しそうだ。
4. 崩落だ! 進もうとしていた先が崩れ落ち、砕けて風と散るのを見る。
5. 洞穴だ。強風が落ち着くまでやり過ごそう。
6. 風が凪いだ。束の間の休息をとるか、あるいは今のうちに先を急ぐか。
ラタス
2. すさまじい砂嵐だ! ホワイトアウトし、立っているはずなのに前後左右どころか、上下すらもわからない。隣にいるはずの仲間にさえ声も届かない。
ラタス
救世主でも落ちたらただではすまないような崖のうえで、視界が消し飛ぶほどの砂嵐。
ラタス
待っていればやり過ごせるのか、あるいはそれでも進むしかないのか。
ラタス
本当に進んでいるのかも曖昧なまま、砂嵐をやり過ごす。
レーラ
顔を庇っていた腕を下ろして、同様に確認する。
ラタス
ラタスとレーラは視界がない状況でも動くことを知りすぎている。
ラタス
ホワイトアウトした中でも、おおよその方向感覚がつく。
ラタス
「これはあれだな、なんかロープとかみんな持ってたほうがいいな」
レーラ
「まあ、まずは今無事に合流できればだけれど……」
レーラ
待つべきか、探しに行くべきか。振り返って足を止め、逡巡。
ラタス
荷物をがさがさと漁るが、ちょうどいいロープがない。
レーラ
ラタスの腕に巻き付けて、はぐれないように引き付ける。
レーラ
「まあ、こういう時には役立つかもしれない」
レーラ
「どいつもこいつも、いつ、どこに行くか分からないからね」
ラタス
「お前とセックスしたときのことなんだけどよ~」
レーラ
「あの時あそこにいたのが、ローラではなかったこと」
ウエノ
Choice[猟奇,才覚,愛]
(choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
ウエノ
2d6+1=>7 判定(+猟奇)
(2D6+1>=7) > 8[6,2]+1 > 9 > 成功
[ ウエノ ] HP : 23 → 22
ラタス
2d6+3=>7 判定(+猟奇)
(2D6+3>=7) > 8[2,6]+3 > 11 > 成功
レーラ
そんなことはずっと、はじめから分かっていた。
レーラ
いつから、と、喉に籠った言葉が伝わる前に。
レーラ
それでも、手繰られるままに睫毛をもたげて。
レーラ
少女らしい、迷子のような、なきだしそうな顔をしている。
レーラ
届かない絆しばかり伸ばして、ひとり絡まっている。
ラタス
ナイフを手品のように取り出し、背中を一突きするかのように、
[ レーラ ] 砕けた鏡 : 1 → 0
サブロール➅ - ウエノ&クロウ
クロウ
ーーーどうも、ラタスとレーラの気配が周囲にない
クロウ
ーーーあいつらこういう状況でも動けるからってほいほい進みやがって
クロウ
ウエノの顔の前を手で覆う。多少は砂を遮れるだろう。
クロウ
「で、だ。どうもあいつらとはぐれちまってるっぽいぜ?」
ウエノ
「ラタスがほいほい歩いていっちゃったんでしょうね」
ウエノ
「ど、どうしよう。でも追いかけられません!」
ウエノ
「あたしここで待ってるから、クロウは追いかけてあげてください……」
ウエノ
「だ、だってどんどんはぐれてっちゃいますよ!」
クロウ
「いや、あとでウエノひとりを探す方がめんどい」
クロウ
「あとは単純に、この場所で一人になんのは危険だしな」
ウエノ
まともに発声しないと声がかき消されていく。
クロウ
そう言ってあなたの体を抱える。
と同時にクロウの体が疵の力によって黒く変色していく。
ウエノ
ということは、この嵐の中で方向感覚がわからなくなるのはウエノだけってことで。
ウエノ
ということは、それを予想して、クロウはウエノを気にしていたってことでもあり。
クロウ
「そうかい、じゃあしっかり掴まってろよ〜」
クロウ
疵の力による身体強化、それを使ってただ強引にこの砂嵐の中を進んでいく。
ウエノ
その力が心の疵の、どこから作用しているものか、聞いたことはなかった。
クロウ
「仲間も全員、そんな感じだったぜ。それぞれ、宿した魔獣…動物の名前をつけられてた」
ウエノ
「あたしは『チルリル・ピューム』って呼ばれてましたよ」
ウエノ
そう名乗ったこともある。きみたちに敵として、立ちはだかったときに。
クロウ
「そういや、名乗ってたっけか。最初の時に」
ウエノ
「あたしの魔法のもとになる、植物の名前です」
ウエノ
「あたしはオピウムのことは好きになれないけど、カラスのことは結構好きですよ」
ウエノ
「ふ、ふつうになんか……いいなって思うだけです!」
クロウ
「ああ、言われてみりゃあそうだな…。これなら追いつけるかもしんねえな」
クロウ
「俺はオピウムのことはよくわかんねえけど、ウエノのことは結構好きだぜ?」
クロウ
まだおろそうとはしない。あなたを抱きしめたまま、進んでいく。
クロウ
「ひひひ、わかったわかった」
ようやくおろす。
ウエノ
「『チルリル・ピューム』じゃなくなってしまいました」
ウエノ
「ここは堕落の国。力が心の疵である以上、何が起きるかはわかりません」
ウエノ
「クロウも、『クロウ』ではなくなる時が来るかもしれない」
ウエノ
「クロウがクロウではなくても、けっこう好き、だと思います」
クロウ
仮面だらけだった自分は一体どこへ行ったのやら。
GM
4. 崩落だ! 進もうとしていた先が崩れ落ち、砕けて風と散るのを見る。
GM
ラタス、レーラ、ウエノ、クロウの順番で進む中。
クロウ
「………」
無言でウエノの手を引いて下がらせる。
ラタス
今立っている足場もまた安定してはいない。今にも崩れ落ちそうだ。
ウエノ
クロウに礼を言う。「あたしたちは大丈夫です! 追いかけていきます!」
クロウ
「おーう、了解だー」
ラタスとレーラに向かって手を振る。
ウエノ
また二人きりにして、大丈夫なのだろうか。 声に出して伝えはしなかった。
レーラ
「こちらも大丈夫だから、二人とも気を付けて」
レーラ
声音は、四人でいた先程より幾らか余所余所しい。
レーラ
風が吹いて、今にも行く者を底へ落とそうとする。
ラタス
強い風にまぎれて言葉を取りこぼさぬように。
レーラ
「ローラがこんな思いをしなくて、良かった」
ラタス
元より話を聞けば、レーラという人格はローラから産まれたという。
ラタス
ローラの代わりに前に立つレーラはそもそも、優しいものだろう。
ラタス
あの夜があろうとも、なかろうとも、元より、初めから、ずっと。
ラタス
……性交なんてものは、しようと思えばいくらでもできた。前の世界でも、今の世界でも。
ラタス
特別に高いものでもなければ、人を殺すほどに深く触れるわけでもない。
ラタス
ただひとえに、子供が生まれるのをおそれていた。
ラタス
この理不尽な世界のもとに、生まれないほうがいい。
ラタス
「ローラの代わりにこんな思いをするお前に」
レーラ
「ラタスを、ひとりで行かせてしまうことが、怖い」
ラタス
それはきっとレーラが止めるだろうとわかっていたから。
レーラ
少女の内を巡った赤黒い色が、白色を染めて。
ウエノ
Choice[猟奇,才覚,愛]
(choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
ウエノ
2d6+0=>7 判定(+才覚)
(2D6+0>=7) > 9[6,3]+0 > 9 > 成功
[ ウエノ ] HP : 22 → 21
レーラ
2d6+0-2=>7 判定(+猟奇)
(2D6+0-2>=7) > 7[4,3]+0-2 > 5 > 失敗
ラタス
あなたが見たのは口づけを交わしている瞬間だった。
ウエノ
向かい風の中で走ると、やけにゆっくりとした動きになる。
ラタス
長い髪が流れて、その表情も、またレーラの視界も隠す。
ウエノ
そのまま、見ないふりをして、そっとしておいてやればよかった。
ウエノ
そのまま、崖の下へ転がりおちるのを、指をくわえて見ていれば良かった。
ウエノ
だってあたしたちの行く先は、死と絶望しか待っていないのだから。
ラタス
救世主の体は頑丈で、その肉体につけた傷は容易く治る。
レーラ
濡れて、赤黒く染まっている。その背から、声がする。
ウエノ
膝に手をやって、咳き込む。これでも全力疾走で。
クロウ
カラスはゆっくりと、ウエノの後ろから歩いてくる。
レーラ
でもどこか、なぜだか、不思議と、後ろ髪を引かれるような思いで。
ウエノ
けっきょく、ものを知らぬ子供みたいに、わがままに振る舞うことしかできない。
ラタス
「あいつにはお前がまだまだ必要なようだぞ」
ウエノ
「あたし、レーラのこと、なんにも知ろうとしてこなかったんだ……」
ウエノ
「レーラはあたしに、いっぱい、優しくしてくれたのに」
ラタス
抱きしめられるのだって、おれよりもいいはずだ。
サブロール➆ - ウエノ&ラタス
クロウ
「どんくらいやべえかまでは…、わかんねえけど」
クロウ
「少なくとも放っておけねえだろうとは思うぜ?」
ウエノ
「あたしたちが無事に、ここから生きて帰れるかはわかりません」
ウエノ
「でも、どっちにしろ、ラタスはいなくなります……」
ウエノ
「あたしにはクロウがいますし、レーラにはラタスがいますけど」
ウエノ
「ラタスのこと、お父さんみたいに思ってたんです」
ウエノ
「あたしのほんとのお父さんとは、全然似てないですけどね」
ウエノ
「……いまだって、受け入れられそうにないです。ラタスがいなくなるってこと」
ウエノ
「でも、21日前のあの朝のあたしたちと、今のあたしたちは、違う」
ウエノ
「あの時みたいに、無邪気に取り乱したり、できないですよ。あたし」
クロウ
「亡者を救うすべなんざねえ。もしかしたら存在すんのかもしんねえけど、今の俺らにゃどうしようもねえ」
ウエノ
「レーラを亡者にしないためには、どうしたらいいんでしょう」
ウエノ
「あたしは、レーラにたくさん救われてきました」
ウエノ
「でも、今のあたしたちに……レーラを救うことは、できますか?」
クロウ
風を受けながら、目を閉じて…しばらくの間沈黙が続く。
クロウ
「救うのは難しいだろうな。そもそも、あいつにとっての救いってもんが俺にはよくわかんねえ」
クロウ
「ラタスの代わりにだって、誰にもなれねえし」
クロウ
「…殺すことはできても、救うことはできねえ」
クロウ
「とりあえずウエノ。お前はレーラと一緒にいてやれ」
ウエノ
「なにができるんでしょうか、このあたしに」
ウエノ
レーラがウエノの何かに触れることはできても、ウエノがそれをできていると、ウエノ自身が思えない。
ウエノ
「あたしはまた、その場しのぎの夢しかあげられないのかもしれない」
ウエノ
「あたしはもう、『チルリル・ピューム』じゃない」
ウエノ
「だけど、振り返るといつでもそこに立っています。魔法少女のあたしが」
ウエノ
「あたしは、『チルリル』じゃないけど、『チルリル』からは逃げられないです」
クロウ
「…なにもできねえかもしんねえし、その場しのぎにしかなんねえかもな」
クロウ
「お前はもう、その『チルリル・ピューム』でもねえし」
クロウ
「俺らがこの半年近く一緒に旅してきたのは、その『チルリル・ピューム』でも魔法少女でもねえ」
クロウ
「それだけで、俺らがまた旅をする理由にはなるだろ」
ウエノ
「クロウの本当の名前も、いつか教えてくださいね」
ウエノ
カンナ。 その名前の由来を、父に聞いたことがある。
ウエノ
そういう答えだったから、作文にはそのままそう書いた。
ウエノ
でもきみがそう呼んでくれるなら、いつか好きになれるかもしれない。
ウエノ
胸を張って、名乗れるようになるかもしれない。
ウエノ
その場しのぎの救いでは、なくなるのかも、しれない。
クロウ
クロウ。研究者の連中が便宜上つけた名前だ。
クロウ
カラスの魔獣を宿したからという安直なもの。
クロウ
好きでもなければ嫌いでもない名前。翼を持っている癖に自由に飛べない名前。
クロウ
名前なんて、意味のないものだと思っていた。ただ呼ぶのに困らないだけの記号だと。
クロウ
けれど、あなたが呼んでくれるのならば…それは意味を持つようになるのかもしれない。
GM
風の巡りがよかったのか、それからトントン拍子に進む。
GM
一際強い風が壁のように逆巻いて、行く手を阻む。
GM
おそらくは待っても待っても消えることのない風の中に、4人は入っていく。
GM
完全な混沌の中、声も届かず、ただ結ばれた包帯だけが存在を確かにする。
GM
逆巻く雲は煙突のように天へと上り、そのさきに青空が窓のように顔をのぞかせている。
ラタス
とにかく風ですごいことになってる格好のまま、空を見上げている。
ウエノ
「この上にいけば、元の世界に帰れるんですか? 本当に?」
ウエノ
ただの噂にして置くことも、できないような気がした。
ラタス
「一人だったらここまでたどり着かなかったかもな~」
ラタス
「えーんえーんって泣くクロウを慰めたりしてたろ~?」
ウエノ
「わがまま言ってぎゃーぎゃー言ってただけですから……」
クロウ
「あの時は、ありがとな…」イケメンっぽいボイス
ラタス
「あとお前のお陰でイチゴちゃんを食べれたな」
ウエノ
「連れていってあげられたかも、しれませんよ」
クロウ
疵の力を使ってカラスを飛ばす。
それはしばらくの間青い空に向かって飛ぶが、途中で霧散していく。
レーラ
「アレじゃあ、人を運ぶには足らないだろうなあ」
ラタス
それに空はあまりに高い。並大抵の力でどうにかなる高さじゃないだろう。
ウエノ
「なんであたしたちって、こうして旅をしているんでしたっけ?」
クロウ
「あったんだと思うぜ?だから俺はここにいる」
クロウ
「少なくとも俺は、意味はあったんだと思いてえ…と思うようになった」
ラタス
「イチゴちゃんも食べれたし、海も見れたし、セックスもしたし……」
ウエノ
「ま、まだ、何かあるんじゃないですか!?」
ウエノ
「レーラと一緒にいてあげられないんですか」
ウエノ
「あたしは、本当に、辿り着こうと思ってここまで来たわけじゃないんです」
ウエノ
「邪魔する気満々でしたし、実際邪魔しましたし」
ウエノ
「……あたしのこの23日間の意味は、ここまで旅をしてきたのは」
ウエノ
「ラタス。すべてをあなたの思い通りには、させないって、そういう目的でした」
ウエノ
「本当になんにも、やりたいことはないんですか!」
レーラ
はじめは根拠もなく、こどもごころに『そこにある』と思っていた意味。
ウエノ
「あたしが押し入って泣きわめきますよ、都度」
ウエノ
「あたしにはみんながいる、あたしはもう一人じゃない」
ウエノ
「ラタスがいなくたって、やっていけると思う。もう」
ラタス
「お前たちはおれを殺してまた30日の猶予を得る」
ラタス
「おれは亡者となってあの窓の向こう側に行く」
ラタス
「その30日は奪ったものじゃなく、おれがよこしたものになる」
クロウ
「それ以上の、意味のある30日はねえだろうよ」
ウエノ
「さんざん邪魔したあたしが言うのもなんですけどっ」
ウエノ
ステッキを握りしめる。ぽろぽろ絆創膏がこぼれる。
クロウ
「レーラ、ウエノ」
振り向くことなく、二人の名を呼び…一拍置く。
ウエノ
「あたしはその場しのぎしか持ってないですけど」
レーラ
曖昧な宙を見つめていたのが、幾らか焦点を取り戻す。
ウエノ
「……きっかけなら、その場しのぎでも充分だと思いませんか」
ウエノ
「本当にただ、見ているだけでいいんですか」
ウエノ
「ラタスのこと好きなんじゃないんですか……」
ウエノ
「でもあたしは、レーラは優しくなくたって、いいと思います」
ウエノ
「優しくないレーラで、優しくない言葉で、怒ったり、困らせたりしても」
ウエノ
裾以外は握っていない手に、自分の手をそっと重ねる。
ウエノ
「大丈夫じゃなかったら、あたしが全力で邪魔します」
ウエノ
「だから、レーラが少しくらい、優しくなくて、大変なことになったって……」
ウエノ
「あたしかクロウがなんとかしますよ、絶対に」
レーラ
困らされることには、慣れていて。そのために私が居て。
レーラ
何か我儘を言ったことは、ほとんどなかった。
レーラ
頬を滑って、耐えきれなかったひとしずくが落ちる。
ラタス
言葉にしてはいけないもの。言葉にしないもの。
クロウ
「俺からの言葉は特にねえ」
右手を掲げて、ラタスの目の前に立つ。
クロウ
その腕は黒い紋様に包まれていき、力を帯びる。
クロウ
その一瞬、ほんの一瞬。クロウは、目を瞑る。
GM
鮮血の代わりに、傷口からは黒い煙が吹き上がる。
クロウ
ラタスの体から抜き取った手を、だらりと下ろしながら…一歩、また一歩と後ろに下がる。
ラタス
指の内側から肉を突き破って生えるのは、彼が得物にしてきた短剣。
ラタス
五指は刃物の爪となり、もはや触れる全てを引き裂くことしかありえない。
ラタス
手は赤く濡れ、黒い体に対して浮かぶように照っている。
ラタス
首にかけ、服の内側にしまっていた十字架が揺れる。
ラタス
その背に翼はなく、這う者に相応しい長い尾がのたうつ。
ラタス
『ドブネズミみたいな暮らし』と自嘲していた言葉の通りに、ネズミのような亡者。
ブラッドスクーパー
ガスマスクの目は、そこに無き青空の色に染まっている。
ブラッドスクーパー
ゆらりと頭を持ち上げ、声にならない咆哮。
ブラッドスクーパー
そして変貌を遂げるや否や、真っ先に飛び出す先は。
ブラッドスクーパー
*レーラの心の疵『砕けた鏡』を抉ります。
[ クロウ ] HP : 23 → 22
クロウ
Choice[猟奇,才覚,愛]
(choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
クロウ
2d6+0=>7 判定(+才覚)
(2D6+0>=7) > 4[1,3]+0 > 4 > 失敗
ブラッドスクーパー
2d6+3=>7 判定(+猟奇) (2D6+3>=7) > 10[6,4]+3 > 13 > 成功
ブラッドスクーパー
亡者となり枷が失われば、それはその通りに動く。
クロウ
目を、瞑ってしまった。亡者になるラタスを見まいと、ほんの一瞬。
レーラ
驚愕と、動揺とが入り混じって、くぐもった悲鳴になる。
ブラッドスクーパー
亡者は心が疵に喰われたものの成れの果て。
ブラッドスクーパー
元より堕落の国ではじめてみた鳥の姿を、とるはずはない。
ブラッドスクーパー
レーラの背中に10の傷をつける。
ウエノ
ステッキをめちゃくちゃに振る。きらきらした光が散らばるが、それだけ。
[ レーラ ] 砕けた鏡 : 0 → -1
ブラッドスクーパー
攻撃に退き、レーラを取りこぼす。
レーラ
なされるままに地に落ちて、伏したところから赤黒い水溜まりが広がる。
レーラ
呆然として、けれど痛みが意識を明瞭にする。
ウエノ
でも、そうでしかない。それ以外は、その場しのぎにもならない。
レーラ
存外。頬を張られても涙は出ないものなのだと思った。
ウエノ
ラタスを殺せるのはレーラしかいない。だから、ラタスは亡者になった。
ブラッドスクーパー
亡者になってすぐは意識がある、なんてのは噂話でしかない。真偽はわからない。
ブラッドスクーパー
青空の映るマスクの向こうの感情に心は見えない。
ブラッドスクーパー
ただそれは、あなたを求めている。