GM
1d12 道中シーン表 (1D12) > 9
GM
9 .街。以前と変わらぬ賑わいを見せている。
GM
クロウ、ラタスとレーラ、ウエノに分かれて買い出しなどを行い。
GM
一足早く終えたクロウ、ラタスは宿付きの酒場に入る。
ラタス
二人分の酒と適当な食べ物を店員に頼んで、どっかりと椅子に座る。
ラタス
「いやー、流石に人食い三月5体に追いかけ回されると死ねるな~!」
クロウ
「ほんとな。寝ずにかくれんぼや鬼ごっこはもう勘弁だぜ」
ラタス
大洪水でお互いを殴りだしたお陰でどうにかなりました。
ラタス
酒が供されるや否や、浴びるようにゴクゴクと飲む。
クロウ
「お前が勝手な行動しなきゃ、こんなことにゃなってなかったろうになぁ〜?」ごくごく
ラタス
仕入れたばかりらしい、沢蟹の亡者の唐揚げを食べる。
ラタス
「まさかお前までついてくると思わなかったな」
クロウ
「こうして半年も一緒だったってのにつれないねぇ〜」
クロウ
「くっくっくっ、一人になったら寂しくて枕を濡らしちまうぜ」
クロウ
「おいおい、俺だって泣いちまう時くらいあるぜ〜?」
少し大げさな手振りをする。
クロウ
「…あれはこの世界に来てすぐのこと、俺のことをすげ〜世話してくれた末裔ちゃんが亡者に殺されちまってな〜」
クロウ
「その時はさすがの俺も墓の前で泣いちまったぜ」
クロウ
「ほら、面白くもなんともねえだろこんな話よぉ」
クロウ
「聞いてもしょうがねえだろ、んなことよぉ」
クロウ
「元の世界に帰って笑い話にでもすんのか?」
ラタス
「なんで隣りにいるあいつやそいつの肩をもって」
ラタス
「向こうにいるあれやらそれやらを殺すんだ?」
クロウ
「うっわ、随分なのがきちまったなぁ〜」けらけら
クロウ
「俺にとって仲間ってのは、共に戦う相手のことだ」
クロウ
「こっち側と向こう側で、大きな違いはねえ」
クロウ
「違うのは、出会ったタイミングと場所だけだ」
クロウ
「お前が向こう側だった可能性だって十分あるぜ?」
クロウ
その間、ずっと表情は変わらず。笑みは張り付いたままだった。
ウエノ
Choice[猟奇,才覚,愛]
(choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
ウエノ
2d6+0=>7 判定(+才覚)
(2D6+0>=7) > 4[2,2]+0 > 4 > 失敗
[ ウエノ ] HP : 21 → 20
ラタス
2d6+0=>7 判定(+才覚)
(2D6+0>=7) > 5[1,4]+0 > 5 > 失敗
クロウ
どうして生きてる。
仲間のため、元の世界に帰るため、死にたくないから。
クロウ
ちゃら…、と腕につけた昔の仲間のドックタグを見る。
クロウ
ーーー『この戦いが終われば、俺たちも自由な暮らしができる!』
ーーー『死んでいったあいつらのために、生きて帰らなきゃな…!」
クロウ
仲間たちの名前も、声も、口癖も、得物も、能力も、笑い方も、好きなものも、趣味も、夢も。
クロウ
国にはもう必要ないものだからと、命令されたから。
殺した。殺せた。
クロウ
あいつらにはきっと、生きる理由も、死ねない理由もあっただろうに。
[ クロウ ] 不用品 : 0 → -1
クロウ
死ぬタイミングを失った俺は、ただただ生きているだけ。
クロウ
「…ひひひ、そうだなぁ。わっかんねぇなあ〜」
クロウ
表情に笑みが戻る。ただそれは、先ほどよりも歪だった。
GM
生まれ落ちて、仕組みのままに生きようとする。
GM
日は巡る、繰り返す、右足、左足と歩くように。
サブロール➁ - ウエノ&レーラ
ウエノ
「何度来てもいい街ですよね、堕落の国にしては、ですけど」
レーラ
「末裔のみんなに少しでも活気があると、なんだか楽しい」
ウエノ
「全員うなだれてたりしたらやってらんないですからね~」
ウエノ
レーラはこのような喋り方はしていなかった。
ウエノ
「あたしたちが気をつけてあげないとですね!」
ウエノ
「久しぶりだからわからなくなってるだけですよ!!」
レーラ
くすくす笑って、ひょい、と道の一方を指差す。
レーラ
少しの遅れを取り返すように、小走りでウエノの隣に並ぶ。
ウエノ
「そんな。レーラにはもっとたくさん、得意なことがあるじゃないですか」
ウエノ
「戦い方もそうですし、あたしがどうにかなっちゃいそうなときは」
ウエノ
「……あ、そうだ。 優しいんです、レーラは」
レーラ
陶磁器の人形にでも代わったよう、束の間言葉が詰まる。
レーラ
「あの子も、いつもそう言ってくれてたんだ」
ウエノ
「じゃあそれが得意なことってのは、間違いないですね」
ウエノ
衣料品店は、他の店よりもホコリっぽい感じがする。
レーラ
色とりどり……とも言えない衣料品たちを見て、それでも嬉しそうに笑って。
ウエノ
堕落の国の縫製品の質は当然ながら、高くはない。
ウエノ
すぐほつれて、ほこりやくずを産んでしまう。
ウエノ
亡者の皮で作ったものは、ある程度はもつけれど。
レーラ
気恥ずかしさを誤魔化すようにウエノの手元を覗き込む。
ウエノ
小さなエビフライが無数に踊りまくっている柄だ。
ウエノ
店の末裔がそれ俺が作ったんですよ、と口を挟んでくる。
ウエノ
「クロウとラタスに履かせましょう。おそろです」
ウエノ
「あたしはそろそろブラが擦り切れてきてて……」
ウエノ
そんなことないですか? とレーラをじっと見つめる。
ウエノ
「意外と早くつけなきゃいけないんですよお」
ウエノ
あたしははじめては11のころだったかな~、なんて。
ウエノ
パッドの入っているキャミソールを手にとる。
ウエノ
「こういうのからはじめるといいと思います」
レーラ
「これを、普通の服みたいに着ればいいの?」
ウエノ
「あたしは下着みたいに着ると思ってますけど……」
言いかけて、末裔からそのまま着ても大丈夫ですよ、という話が出る。
ウエノ
刺繍が入っていて、シャツのように着ても問題なさそうだ。
レーラ
「こういうのとか?」と、黒くて可愛らしいものを指差す。
レーラ
いつもなら『汚れが目立たないだろうから』とか
気の利いた一言があっただろうけど。
レーラ
「ぴったりだと思う。ウエノ、かわいいもん」
ウエノ
「そ、そ、そんなことないです。レーラのほうがかわいいです」
ウエノ
「酒場で待ち合わせでしたよね。早く行ってあげないと、どんどんお酒を飲んじゃいます、あの二人」
レーラ
「わたしたちが気をつけてあげなきゃ、だもんね」
レーラ
*ラタスの『汚れた手』を抉り、クエストNo.6に挑戦します。
クエストNo.6 女を抱く
概要 :ナンパなどで誘うか買うかして、女と夜を過ごします
目標値 :9
消滅条件 :成功するか、日数が20日目以降になると消滅
成功 :PKのデッキを公開する
失敗 :特になし
GM
8 .口笛。仲間がなんとなしに吹いたそれが、今をあの日と結びつける。
レーラ
部屋の点検を兼ねて、壁をきょろきょろと眺める。
レーラ
もう服は取り替えているから、その背中に穴は空いていない。
ラタス
背中を刺したことを、ラタスはまだ謝っていない。
ラタス
ほこりまみれのベッドを手で適当にはたく。逆にもっとほこりが出てきて、諦めてそのまま横になる。
レーラ
そんな様子を見ながら、雑然としていた荷物を整えていく。
レーラ
ローラはそんな風にして、他人の世話をするのが好きだった。
レーラ
やたらに世話を焼きたがった、とも言えるけど。
レーラ
片付けの一通りを終えて、ひとり残ったままの姿を見やる。
レーラ
立ち上がって一歩、二歩、歩くたびに薄く埃が舞う。
レーラ
ぽふん、とラタスが横たわるベッドに腰掛ける。
レーラ
それでじいっと、無防備なラタスの顔を見下ろしていたけれど。
ラタス
荒野の砂と数日歩き詰めで、がさがさとした手触り。
レーラ
「あの子から、その話は聞いてたでしょう?」
レーラ
その間も穏やかな表情で、ラタスを見下ろしている。
レーラ
「好きな方でいいかなあ。
あの子はわたしで、わたしはあの子だもん」
ラタス
「じゃあレーラにしておくか。そっちのほうが慣れてるからな」
ラタス
「お前が『そう』なのは、おれが刺してからだな」
ラタス
「おれは今でもお前らが愛想つかしてどっか行ってくれてもいいと思っている」
レーラ
「うん。ウエノはそんなこと言わないと思うし、クロウもそう」
レーラ
「ラタスが色んなことをして。
本当にもしも、他の誰もいなくなったとして……」
レーラ
「それでも、わたしはラタスのことが好きだと思う」
レーラ
「ラタスにはラタスの考えがあって、
それで、やりたいようにしてるんでしょ?」
レーラ
「好きな人が、
そうやって幸せになってくれるなら、わたしはそれで良いの」
レーラ
それは、いつか“レーラ”が聞かされた言葉。
ラタス
レーラからは聞いたことがあるが、ローラを通しては聞いたことがない。
レーラ
「わたしがいたのは白い壁ばっかりの部屋で、
外のことはほとんど分からなかったけど……」
レーラ
「そこでずっと、たくさんの人にお世話してもらってた」
レーラ
以前にも話したことがある。それをラタスの顔を窺って、確かめるように。
レーラ
「難しそうな機械だとかが置いてあって、たまに注射とか、ご飯と一緒にお薬を飲んだりとかして……」
レーラ
「でもね、レーラがいてくれたから楽しかったなあ」
レーラ
「お話してくれたり、一緒に本を読んでくれたりして、寂しくなかった」
ラタス
「……おれはお前を見ていると、ガキのことを思い出す」
ラタス
「ムスクルスって名前で、白い髪をしていた」
ラタス
「まあ、そんな世界でガキを3人も面倒みるのも、大概だ」
レーラ
微笑んだままで、じっとその話を聞いている。
レーラ
いつもなら随分お人好しだとか、茶々でも入っていたことだろうけど。
ラタス
「依頼に従ってな。ナイフを使うこともあれば、水源に毒を流すこともあった」
レーラ
言葉を聞き終えて。それから、ゆっくりと黄金色が瞬いた。
レーラ
「はじめから、殺そうと思って殺したんじゃないでしょう?」
レーラ
「それならわたしは、悪いことをした人にも優しくしてあげたい」
レーラ
「理由があったなら、しょうがないって思う」
レーラ
2d6+3+2=>7 判定(+才覚+ティーセット)
(2D6+3+2>=7) > 6[4,2]+3+2 > 11 > 成功
ラタス
「肉体が無事でも、責務を果たしていても、心が死ねば亡者になる」
ラタス
「あの救世主を殺したときに、限界を迎えたのがわかった」
レーラ
僅かな間だけ、あなたに触れる仕草が止まる。
[ ラタス ] 汚れた手 : 0 → -1
レーラ
「……『ラタスは、意味のないことはしない』」
ラタス
それは意味のないことに耐えられないだけだ。
レーラ
歯車のいかれた人形みたいに、声が切れ切れに落ちる。
ラタス
互いにスラムに生きるもの同士、違いはない。仲間か、それ以外か。
ラタス
救世主同士違いはない。仲間か、それ以外か。
ラタス
相手を殺すことと、例えば仲間を殺すことと、どんな違いがあるというのか。
ラタス
「……おれはこの世界にきて初めて鳥を見た」
ラタス
「亡者になって飛べるようにもなろうなら、きっと青空の向こうにいけるだろう」
ラタス
「知ってるか? 亡者になってしばらくは、意識が残ってる噂だぜ」
ラタス
「もしそれが本当なら、飛んで元の世界に戻れば、あとはたった1往復」
ラタス
「あいつらを青い窓の向こうに運んでやることができるだろう」
レーラ
我々はそうしてそこに、意味を見出している。
レーラ
意味を求めてしまうから、
その全てを仕方ないなんて、言い切ることができない。
ラタス
黒く塗り込まれたナイフで撫ぜることと、白く柔らかい手で撫でることの違いは。
レーラ
触れて。そうして、ラタスに被さるように抱きしめる。
ラタス
ナイフで深々と内臓を抉る時の肉薄と、親密な相手を抱き返すときの違いは。
ラタス
感情があるのかないのかわからない、ゆっくりとした動作で抱き返す。
レーラ
「だからって、“そう”あろうとしなくても良いんだよ」
レーラ
包帯と淡い髪とが、その上にちらばっている。
ラタス
13日前に殺した少女と、今自分を抱いている少女の違いは。
GM
*クエストNo.6 女を抱く 成功!
*クエストNo.6成功により、PKのデッキを公開します。
[ レーラ ] ティーセット : 1 → 0
サブロール➂ - ウエノ&クロウ
ウエノ
耐震性などはチェック項目には含まれていない。
クロウ
しっかりと見回りはしているようだが、どことなく返事が雑だ。
ウエノ
「この前の街を出てから、なんだかおかしいですよ」
ウエノ
「まさかエビフライの靴下が気に入らなくてヘソを曲げてるんです?」
クロウ
「そんなことでへそは曲げねえよ、今履いてるし」
よく見えないが、靴を持ち上げる。
クロウ
「センスはどうかと思ったけどなぁ」ひひひと笑う
ウエノ
「そんな! あの帽子屋さんに謝ってください!」
ウエノ
「これは年に一回あらわれるエビフライの亡者をモチーフにしたやつで……」
クロウ
「…しょうもない話と、しょうもなくねえ話をしただけだよ」
クロウ
「別に、そこまで気にするようなこっちゃねえよ」
ウエノ
「クロウ、元気がないの、あたしにもわかります」
ウエノ
「あれから、わかりやすくなりましたね。クロウは」
ウエノ
「あたしの何かが、クロウの何かを変えたってことですから」
クロウ
「勝手に人を変えちまうのはよくねえぜ〜?」
クロウ
「ちゃんと責任取れんのか〜?」ひひひ、と笑う
ウエノ
「ラタスが元の世界に帰りたがってるの、あたし、邪魔しようと思ってるんです」
ウエノ
「協力しようなんて、まったく思ってないんですよ」
クロウ
「俺も別に、協力しようなんて思ってねえしな」にやりと笑う
ウエノ
「あたしは、クロウにも離れていってほしくないです」
ウエノ
「クロウがクロウじゃなくなってしまっても、です」
ウエノ
「あたしがそばにいないと、みんなダメになってほしいんです」
クロウ
「………」
その手を、握り返すことはしない。
クロウ
「…俺は、それに対する答えを持っちゃいねえけどよ。いいんじゃねえの、お前はそれで」
クロウ
「必要とされてえってのは、人間としてはよくある欲求だろ」
ウエノ
「言ってなかったですけど、この魔法、かなり危ないものなんですよ」
ウエノ
「クロウにも、ラタスにも、レーラにも、魔法をかけてあげましたけど」
ウエノ
「今はあたしが定期的に魔法をかけているから、辛い思いはそこまでしなくて済んでいるはずです」
ウエノ
「でも、しばらくかけないでいると、すごくつらい思いをすることになるんです」
ウエノ
「悪夢を見たり、自分の全身に虫がたかっているように思えたり」
ウエノ
「いろんな人の声が聞こえたり、激しい痛みがあったり」
ウエノ
怒られないことを確信して、こうして話をしている。
クロウ
「俺らはいつの間にか、ウエノから離れられねえようにされていたわけだ」
ウエノ
「あたしのせいにしていいですよ。 これから起きる、いやなことは、全部」
ウエノ
「だってここで、あたしたちが一緒にいること」
クロウ
「救世主が4人いることで、生存確率が上がる。そんくらいのもんだ」
クロウ
「…それは、お前にとっていやな現実なのか?」
ウエノ
「次の責務まで、あと17日……だいたい半月」
ウエノ
「しかも、あたしたちは今、他の救世主を殺すよりも、大事な用事があります」
ウエノ
「そんなものが本当にあるかなんて、わかりませんけどね」
ウエノ
「殺す相手を探さなければいけない。そうですよね」
クロウ
「じゃあ、そん時ゃ…目を瞑っておけばいい」
クロウ
「そしたら、俺がその間に死んどいてやるよ」
クロウ
「この4人で殺し合わなきゃなんねえ時、死ぬなら自分だと…前から考えてはいた」
クロウ
「もちろん、他に生きる理由がねえとかで死にてえやつがいたら…俺は生きさせてもらうけどなぁ〜」
クロウ
その時は、不用品のまま生き残ることになるだろう。
クロウ
ただその場で、ウエノを支えることなく立っている。
ウエノ
「じゃあ、クロウは、あたしたちに殺されるために一緒に旅をしてるんですか?」
クロウ
「そりゃそうだ、殺されるために生きては…」
ウエノ
「あたしのために、旅をして、誰か殺している」
ウエノ
「お父さんの、お小遣いだって用意しなきゃいけないし」
ウエノ
「なにか役に立たないと。役に立つ、理由がないと」
ウエノ
「人を幸せにしたり、お金を稼いだりして、必要なひとにならないと……」
クロウ
「お前がいなきゃ生きていけねえような人間に、何もかもをお前のせいにしていく人間になりゃ…いいのか?」
クロウ
そうすれば…それが、俺の生きる理由になるのか?
ウエノ
「あたしはイヤなやつですし、なんの役にも立たないし」
ウエノ
「ラタスもそう、……言って、ましたもんね……」
クロウ
「いやとかだめとか、そうは言ってねえだろ」
クロウ
「んなこと、自分じゃ考えたこともなかったからな」
ウエノ
「今すぐ決めなきゃいけないわけじゃないんです」
クロウ
「俺には、考える必要があるもんっぽいしな」
クロウ
「どーせお前のせいになるんだ、この際全部言っちまえよ」
クロウ
「俺がそれに答えられるかは、知らねえけど」
クロウ
「いいぜ」
それを聞くと同時に、少し屈んでウエノを抱き寄せる。
ウエノ
「ふつうの女の子にやるみたいに、してほしいんです」
ウエノ
「クロウが思う、やり方でいいですから……」
クロウ
背中を撫ぜながら、手は首元に触れ、そのまま頭へ。
クロウ
大きな手で、髪を撫でながら、抱きしめる力は少し強くなる。
クロウ
体がさらに密着するように強く抱く。けれど息が苦しくならないように。
クロウ
その細い腰に手を回し、さらに自分に寄せるように力を込める。
ウエノ
「ふっ、ふーー……」吐息に熱が籠もる。胸が、腹が、呼吸にあわせて上下する。
クロウ
体に熱がこもってきたのを感じて、顔を寄せる。
ウエノ
「こういうふうにしてもらったこと、ないから」
クロウ
そのままお互いの頭をこすりつけ、答えを待つ。
ウエノ
目がうるんで、そのうち、目尻から涙がこぼれる。
クロウ
それに気づくが、何も言わずにただ頭を撫で続ける。
ウエノ
前に街を出てから、拭っておらず、砂にまみれている。
クロウ
「お前のせいなんだから、俺のことは気にしなくていいだろ」
クロウ
「………」
その言葉を聞いて、ただ黙って撫でるのを続ける。
クロウ
「俺が誰かの理由になるために、お前のためにしてることだ」
ウエノ
*レーラの心の疵『砕けた鏡』を舐めます クエストNo3に挑戦します
クエストNo.3 おいしい果物を食べる
概要 :新鮮でおいしい果物を手に入れ、食べる
目標値 :8
消滅条件 :成功するか、日数が20日目以降になると消滅
成功 :PC全員のHPを3点回復する(HPの上限を超える)
失敗 :特になし
GM
3 .揺れる荷台。通りがかりの隊商に護衛として乗せてもらう。揺れる荷台で風を受ける。
ウエノ
途方に暮れていた時、通りがかりの救世主に友好的な末裔の隊商に、護衛として乗せてもらえる運びとなったのだ。
ラタス
「もう一歩も歩けないよ~~ってなってたな、クロウが」
クロウ
「誰もおんぶしてくれなくて大変だったよぉ〜」へらへら
レーラ
ほわわんとおんぶされていた任意の人のことを考えています。
ウエノ
「あっ、でも、コンビニのホットスナックが好きでした」
ラタス
ラタスはコンビニが全てを売っているすごいところだと思っています。
ウエノ
「日本人救世主あるあるみたいな反応やめてください!」
ラタス
「そこにいけばあれだろ、すべてが手に入るっていう……」
クロウ
「そんな場所が国に無数に存在しているってのか…、すげえな日本」
レーラ
難しい会話をしているな……と考えていたところ。
ウエノ
覗き込む。自分の顔に髪がかかるのを指ではらいながら。
ウエノ
「ローラとそれぞれ違うんですかね? 好みとか」
ウエノ
「コンビニには、ほかにもいろいろあるんです」
ラタス
いまラタスの頭によぎっているのは千歳飴みたいなものです。
レーラ
反芻する。レーラは、ウエノが知らない言葉を教えてくれるのが好きだった。
ウエノ
チロルチョコもうまい棒も、100円以内で買えるんですよという話をする。
ウエノ
ふたつ買ってもワンコイン以内なんですよ!!
クロウ
よくわからんが安く買えるんだなということは伝わった。
レーラ
「うーん。お腹いっぱい食べること、あんまりなかったから」
レーラ
「あまいのと、にがいのがあったんだけど……」
ウエノ
「出してあげられればよかったんですけど……」
ウエノ
ウエノがふんってやるとステッキからばんそうこうがいっぱい出てきた。
レーラ
「うん。なんの味かって聞いてみたらね、何かのフルーツなんだって」
レーラ
「あっ」 ひらひら飛んでいく絆創膏を目で追う。
ウエノ
「いちご味のシロップとか、風邪薬であるんですよ」
ウエノ
「子供のころは時々飲んでたから……いけるかなって思ったんですけど」
クロウ
「こっちは大体直接だったぜ〜」ぶすっ、と注射をする仕草
ウエノ
「……こう聞くと日本はほんと恵まれた国でしたね」
ウエノ
「おくすりのフルーツ味って、ほんとうのフルーツとはまた違うんですよ」
ウエノ
「いちごの風邪シロップも、ほんとうのいちごとは全然違うんです」
ウエノ
「はいっ。赤くて、これくらいで、丸くて……」
ウエノ
「みどりいろの、王冠みたいなヘタがついてるんです」
ウエノ
「冷静に考えたら……グロい気がしてきました!!」
ラタス
「目当ての村がなんかクレーターみたいになってたからな」
レーラ
「甘いのとすっぱいの、一緒になるんだ……」
ウエノ
「いちごをあたしのヤクと一緒にしないでくださいよお~」
ラタス
くだものはなかったが、ドラッグは出回っていた。
GM
「く、果物でしたら、ちょうど森のほうから仕入れたものが、ありましてぇ~」
ウエノ
*判定します クロウのティーセットを使用します
[ クロウ ] ティーセット : 1 → 0
ウエノ
2d6+3+2=>7 判定(+愛)
(2D6+3+2>=7) > 8[2,6]+3+2 > 13 > 成功
GM
提示された額は手持ちで出ないこともない額だ。
ウエノ
「これを使うとすごくいい気持ちになれるんです。あたしの住んでた日本ではとても流行っていて……」
GM
救世主の持ち込んだものは、物によってはとんでもない額でやり取りされる。
ウエノ
「あたしと同じ日本の人には、すごく高く売れると思います」
GM
上等な木箱を開けると、なかにちょこんと4つほど入っている。
レーラ
なんて聞きながら一緒になって覗き込みます。
ウエノ
「あたしたち、ほんとにラッキーですよ! これ、いちごです! いちご!!」
ウエノ
しみじみ。食べ終わったあとの指をこっそり舐めている。
ラタス
それから嬉しそうにやりたいことリストに線を引いている。
レーラ
糖衣とも違う甘さで、すっぱさは喉にせりあがるものとも違う。
レーラ
『おくすりのフルーツ味って、ほんとうのフルーツとはまた違うんですよ』
ウエノ
「レーラはレーラだし、ローラはローラだと、思うんです」
ウエノ
「レーラが大好きな子だから、ローラはきっと優しくて、すごく素敵な子なんだろうなって。でも……」
レーラ
いつかの日。ローラはあの、にせものの甘さが好きだと言ったけれど。
ウエノ
「あたしはビッグアメリカンドッグが好きです!」
ウエノ
「レーラが言うんだから、間違いないですね」
レーラ
「ローラのことは何より、私が一番分かっているし」
レーラ
「半年という時間は、案外、短いようで長かったらしい」
レーラ
「そういう風に言ってもらうのは、幾らか気恥ずかしいけれどね」
ウエノ
「すご~く好きってほどじゃあないですけど!!!」
ウエノ
「アメリカンドッグまではいかないですけどっ」
レーラ
「私もみんなのこと、いちごくらいには好きかもしれないな」
GM
*クエストNo.3 おいしい果物を食べる 成功!
*クエストNo.3により、PC全員のHPを3点回復します(HPの上限を超える)
[ レーラ ] HP : 17 → 20
[ ウエノ ] HP : 20 → 23
[ クロウ ] HP : 20 → 23
GM
栄養のあるもの、美味しいもの、好きなものは活力になる。
GM
生きようとする仕組みが作りだす報酬系が、命を死から遠ざける。
GM
しかし、あるいはそれが苦痛に満ちた現実を乗り切る鎮痛にしかなりえぬこともある。
GM
日数ダイスが日数日数しすぎているので、同じ日です。
[ レーラ ] 砕けた鏡 : 0 → 1
ラタス
「あんなのがひょいひょい食べれるのか、ニホン」
ウエノ
「うちは時々しか食べれなかったですよ……」
ウエノ
「他の日本の子は食べてたかも。すごくいっぱい」
ウエノ
ビッグアメリカンドッグは……110円なんですよ!
ラタス
「でも、お陰でガキに自慢できるな、果物食べたって」
ウエノ
「三人いるんでしたっけ、弟か妹みたいな子が」
ラタス
「大変だよなあ、腹が減っただの怪我しただの、寝付けないだの」
ウエノ
といっても。ウエノの妹が、そういう要求を口にしたことはない。
ラタス
「ようやく寝たなって思って動いたらソッコーで起きるのな」
ウエノ
「なんかセンサーとかあるんですよね、どこかに」
ウエノ
「ぶっちゃけ、一人でやるものじゃないですよ。子供の世話って」
ウエノ
「むしろ魔法少女の中では軽いほうですよあたしは!」
ラタス
「まあ……愛してたんじゃないのか、しらねえけど」
ウエノ
「なれそめとか! どういうところが好きだったのかとか!」
ラタス
「ちょっと名のしれた傭兵の男で……簡単には殺せる相手じゃなかった」
ウエノ
お父さんの話を聞いてるみたいだ、と場違いな気持ちになる。
ラタス
「体売って稼いだ金でガキ育ててるんだよ、バカだろ?」
ウエノ
「お母さんなら、当然なんじゃないですか?」
ラタス
「まあ、わからないでもないな、やってみて」
ラタス
堕落の国じゃなかったらそれで生きていける程度には。
ウエノ
「あたしも、そんな気持ちだったかもしれません」
ウエノ
「あたし、そろそろこの国に来て、8ヶ月くらいになるんです」
ウエノ
「お父さんもホノカも、あたしがいないとダメだから」
ウエノ
「そうやって……まあ、最初の2ヶ月くらいは、なんとか」
ウエノ
「おかしくなってきませんか? 人を殺していくうちに」
ウエノ
「あたしが殺してきた人と、どんな違いがあるんでしょう」
ラタス
少女の救世主の荷物に入った、ポーチにぬいぐるみ。
ラタス
食べ物をせしめるという暴力に出たとしても、ただの少女だったことにはかわりない。
ウエノ
「この力は、今は疵の力ってことになってますけど」
ウエノ
「買い取ってくれる人がいて、その人が欲しがる人に、もっと高い値段で売って」
ラタス
「ここに来る前はよくやってたし、そういう夢もよく見たよ」
ラタス
「薬物の護衛は良い値がついて、ついでにおこぼれにあずかることもあった」
ウエノ
「直接、人を殺したのは、この国に来てからがはじめてです」
ウエノ
「でも、きっと、日本では、もっといっぱい殺してきた」
ウエノ
「……だからあたしはきっと、この堕落の国がお似合いですよ」
ウエノ
「お父さんもホノカも、あたしを恨んでますよ」
ウエノ
「急にいなくなって、8ヶ月も経ったんですから」
ラタス
「売人がフケたらえらいことになるだろうなぁ」
ラタス
「……おまえの薬がおれに効いた試しはない」
ラタス
「その場しのぎの快楽は、その場しのぎのものでしかない」
ラタス
「何か意味のありそうなもので意味を装っても」
ラタス
「やりたいこと、興味があることがあったところで……」
ウエノ
「あたしの魔法で、ラタスをつなぎとめることはできないんですか?」
ウエノ
「手品と魔法を一緒にしないでくださいよっ!」
ウエノ
「あたしは、その場しのぎでもいいんですよ……」
ウエノ
「なんにもならなくたって、いいじゃないですか」
ラタス
「おれにできることははじめからひとつなんだ」
ウエノ
「こうして旅をしてるんですよ、あたしたちは」
レーラ
Choice[猟奇,才覚,愛]
(choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
レーラ
2d6+3=>7 判定(+才覚)
(2D6+3>=7) > 9[3,6]+3 > 12 > 成功
[ ウエノ ] ヤリイカ : 1 → 0
ラタス
2d6+3-8=>7 判定(+才覚)
(2D6+3-8>=7) > 11[5,6]+3-8 > 6 > 失敗
ラタス
黒い服に薬液が染み込むが、黒はそれ以上に黒くはならない。
ウエノ
そのために、追いかけて、ここまで来た気がするのだ。
レーラ
まるで、ぴたりと、宙に縫い留められたよう。
クロウ
クロウはただその様子をじっと見ていただけ。
レーラ
「口説く時と場所くらいは、選んだほうが良いと思うけれどね」
レーラ
殺しはしない程度に、緩く首を絞めつけている。
ウエノ
「レーラ、あたし、もう大丈夫ですから、だから……」
ウエノ
「死んだほうがいいかもしれないじゃないですか」
ウエノ
「いつか誰かに殺されたり、亡者になる時まで」
レーラ
底のない沼のよう。
真摯に向き合う者ほどに、足を取られていく。
クロウ
「なんだ?お前が意味に、理由になってくれんじゃなかったのか?」
クロウ
「あんなに俺を求めてたくせに、死んじまうのかぁ?」
ラタス
少なくともお前達は、美味しい果物で生き長らえる程度には、
ウエノ
「ラタスみたいにいっぱい、書けないですよ……」
ウエノ
だって、ビッグアメリカンドッグはもう二度と食べられないし。
ウエノ
家に帰っても、家族が生きてるかもわからないし。
クロウ
「誰かと一緒にしてえことでもいいんじゃねえの?」
ウエノ
「レーラは何か、やりたいことはあるんですか」
レーラ
少し遠出をした、女の子同士でするみたいに。
レーラ
「ウエノは、かわいい服に見合うくらい素敵だよ」
GM
それが希なるものであるとしても、望めるものならば。
[ レーラ ] HP : 20 → 19
GM
サイクル2,あとはクロウ、レーラとラタス2回です。
GM
サイクル2,あとはクロウ、レーラとラタス2回です。
GM
※日数が日数しすぎているので1日経過になります。
GM
11.闇夜。たき火がパチパチと燃え爆る音。語り合うのにうってつけの夜。
クロウ
ゆらゆらと揺れる炎を挟んでクロウはウエノと向かい合っていた。
クロウ
「別に、少しくらい構わねえぜぇ…っと」
木の枝を投げ入れる。
クロウ
「今日は別に疲れてねえし、このまま俺が代わろうか?」
ウエノ
「交代だって言ってるのに起こしてくれないで、そのまま見張ってたりとか……」
ウエノ
「だから今日はあたしもがんばって……ふあ~~あ」
クロウ
「ひひひ。じゃあ、まあがんばれ」
そう言いながらも、そこから離れる様子はない。
ウエノ
投げ入れられる枝が、オレンジ色の炎につつまれてはじける。
クロウ
「ラタスから言われたやりたいことリスト…考えてみたのかよ」
ウエノ
「まだぜんぜんですよ。レーラとお洋服買いにいきたいってのは決まってますけど」
ウエノ
スカートのポケットから紙を取り出して広げる。
クロウ
「まっ、とりあえずひとつありゃあ今はいいんじゃね」
クロウ
「やりたいことなんてよ、そう簡単に浮かばねえし」
ウエノ
「日本って、こういうリストよく作らされるんですよ」
ウエノ
「夏休みなにやるかとか……そういう計画とか」
ウエノ
「学校で、プリントを配られて、書かされるんです」
ウエノ
「……思い浮かばないわけじゃないと思います」
ウエノ
「クロウとか、ラタスとか、レーラとか……」
ウエノ
「みんなより、あたしのいままでの暮らしって、やっぱ恵まれてて」
ウエノ
「学校があって、勉強できて、給食費はらってなくても給食食べれて」
ウエノ
「だから、みんなより思い浮かぶほうだと思うんですけど」
クロウ
「…まあ。こういうのってよ、恵まれてるからどうって問題でもねえだろ」
クロウ
「やりたいことも、生きていく意味も…俺らみてえな奴らにゃ難しい話だぜ」
クロウ
「…元の世界じゃよお、生きる意味はねえけど役割はあったんだ」
クロウ
「金を稼ぐため、力を得るため、戦争を終わらせるため…俺はやるべきことを与えられてた」
クロウ
「そうすっとな、不思議と死のうとは思わねえんだ」
クロウ
「ああ。クソみてえな扱いだったけどな」
ひひひ、と笑う
クロウ
「だってのに、この世界じゃ生きる意味も役割もありゃしねえ」
クロウ
「クソみてえなシステムのおかげで、死なねえために生きるだけ」
クロウ
「ああ、一応世界の救済ってのはあるか〜」ひひひ
クロウ
「もっと"お前には生きる意味がある"、"生きててほしい"って言ってほしかったか?」
ウエノ
「わかってるくせに、わざわざ確かめるなんてイジワルですよ」
クロウ
「ひひひ、わりぃな」
同じようにぽいっ、と枝を放る。
ウエノ
「やっぱり、思い浮かばないわけじゃないんです」
ウエノ
「でも、叶いもしないことを、『やりたいこと』に加えるのって、ばかみたいじゃないですか?」
ウエノ
「クロウにはクロウのできることが、求められていることがあって」
ウエノ
「あたしにはあたしのできることが、求められていることがあって」
ウエノ
「できることにも、求められてることにも限りがある」
ウエノ
「意味とか役割って、現実的じゃないと、ダメな気がするんです」
ウエノ
「はっきりと、役に立てて、実行できるものじゃないとダメな気がする」
クロウ
「やりたいことってよぉ、べっつにそんな真面目に考えなくてもいいだろ」
クロウ
「さっき俺は、意味も役割も一緒くたにしちまったけど…」
クロウ
「別に、叶えなきゃなんねえことってわけでもねえだろ」
ウエノ
「叶わなかったらなんにもなんないですよ?」
クロウ
「少なくとも…わかるだろ、自分のやりてえことが」
クロウ
「それに、叶う叶わねえなんて自分じゃわかんねえよ」
クロウ
「んなもん考えてたら、なーんもできねえだろうが」
クロウ
「明日死ぬかもしんねえから、美味いご飯食わなくてもいいや…とかにゃならねえだろ」
ウエノ
「少なくとも、気持ちいい夢を一瞬見せることはできるし」
ウエノ
「痛みを忘れさせてあげることもできるし……」
ウエノ
「あたしの魔法は、ラタスには効いてなかったわけですから」
ウエノ
夢を見せることも、痛みを忘れさせることも、満足にできていなかった。
ウエノ
「本音でいうと、叶わなかったときのことを考えると、辛いから嫌なんです」
ウエノ
「クロウはまるで、見てきたみたいに言いますよね」
ウエノ
「クロウのまわりの人の夢は、叶ったんですか?」
ウエノ
「なにかできていて、死なない方が良い人だったんですよね」
ウエノ
子供が意地悪で大人を困らせるためにするような、そんな質問。
ウエノ
「夢を持たないと生きていけないことは、わかる気がします」
ウエノ
「でも、そんな仕組みがあるとしたら、許せないですよね」
クロウ
「お前が言いたいことも、わかるしよ…否定はしねえ」
クロウ
「さっきから、やっぱ難しく考えすぎじゃね?」
クロウ
それを受け取ると、焚き火の明かりを頼りに紙に書き込んでいく。ごりごり。
クロウ
「ほい」
そう言って書き終わった紙をあなたへと見せる。
クロウ
紙の二つ目には"いちごをもっかい食べる"…と書いてある。
ウエノ
「これ、クロウのやりたい事じゃないですか~!」
クロウ
「今度見つけても、俺だけ食っていいのか?」
クロウ
「これだって叶わねえかもしんねえけど、別に死ぬほどショックは受けねえだろ?」
クロウ
「クソみてえな世界なんだからよ、少しくらいズルしたっていいだろ」
クロウ
「ほら、この前言ってた抱きしめてほしいってのも十分やりてえこと、してほしいことになんじゃねえの?」
クロウ
「なに、ちげえの?」
紙を返そうと手を伸ばす。
ウエノ
紙を眺める。自分のものとは違う筆跡で、書いてある文字すら異なる。
ウエノ
「死ぬほどショックだから、死んじゃうんです」
ウエノ
いちごはもう食べれなくたって、諦められる気がする。
クロウ
持っていた木の枝を全部焚き火に投げ捨てながら、あなたの隣へと歩み寄る。
クロウ
*ウエノの「甘い夢」を舐めます
*クエストNo.5 海を見に行く、に挑戦します
クエストNo.5 海を見に行く
概要 :この世界には海というものがあるらしい
目標値 :8
消滅条件 :成功するか、日数が20日目以降になると消滅
成功 :技能の一つを入れ替える(入れ替えなくてもよい)
失敗 :特になし
クロウ
2d6+3=>7 判定(+猟奇)
(2D6+3>=7) > 8[6,2]+3 > 11 > 成功
ウエノ
ふつうの女の子みたいに、だきしめてほしい?
ウエノ
誰かを殺すときに、おそれを感じていてほしい?
ウエノ
いままで放ったそのどれもは、注射器や絆創膏とおなじで、その場しのぎに過ぎない。
クロウ
あなたの顔を覗き込んだまま、クロウは答えを待つ。
ウエノ
「ラタスに言われた言葉が、今も忘れられません」
ウエノ
「殺してやろうかって、そう言いましたよね」
ウエノ
「なんでそれが、そんなにあたしの中で、深く刺さったのか、考えてたんです」
ウエノ
「あたしが……ううん、あたしだけじゃない」
ウエノ
「みんな、けっこう、死んだほうがいいって思ってますよね」
ウエノ
「死んだほうがいいってわかってても、なにか求めることが、きっと」
ウエノ
「そのリストに、やりたいことを書くってことで」
ウエノ
「それって、結構、覚悟がいることで、……あたしは、怯えてたんだと思います」
ウエノ
「叶わなかったら、死んじゃうほど苦しんでもいいってことでもあるから」
ウエノ
「あたしに、叶わなかったら、死んじゃってもいいな、って思わせてくれるんですよね?」
クロウ
「どうにもならないかもしんねえし、どうにかなっちまうかもしんねえな」
クロウ
「俺は、いつだってお前を殺してやれるぜ?」
ウエノ
「あたし、クロウに殺されちゃうのかもしれません」
ウエノ
「それでもって死ぬようなときに、あなたが……」
ウエノ
「あたしの叶わなかった夢の欠片で、とてもひどいケガをしてくれるなら」
ウエノ
とびきりの甘いまなざしで、クロウを見つめた。
クロウ
その言葉を聞き、その瞳を向けられたと同時に。
クロウ
あなたの体は引き寄せられ、視界は黒に包まれる。
クロウ
大きな手が…あなたの頭を、背中を包み込み。
クロウ
熱が混じる。焚き火の熱と、触れ合う体の熱が。
クロウ
そんなものは気にならないというように、あなたの髪を、肌をごつごつとした手が撫でる。
クロウ
「こうしちまえば、変わんねえだろ?」
そう言ってさらに抱きしめる力が強くなる
ウエノ
「クロウが見ると、びっくりするし、気持ち悪いって思うかも」
クロウ
そのままあなたの顔を覗き込み、頰を片手で撫でるように支える。
クロウ
目つきの悪い顔が、あなたの顔に近づいていく。
クロウ
その声は、もうあなたの目の前から聞こえてきて。
クロウ
頰に触れていた手は、そのままゆっくりと下がって首元を撫で、うなじをなぞる。
ウエノ
「っ」知らない触り方。くすぐったいような。甘いような。
クロウ
もう一度問いかける。意地悪な瞳が、あなたを見つめたまま。
クロウ
うなじを撫でていた指が、あなたの耳の後ろに触れる。
ウエノ
息が漏れる。くすぐったいような。もっとしてほしいような。
クロウ
「愛されてえんだな、普通のおんなのこみてえに」
言葉を繰り返す。
クロウ
けれど、それはぶつかることなくあなたの顔を横切る。
ウエノ
いつも何をしていても、どこかうつろだった。
[ ウエノ ] 甘い夢 : 0 → 1
サブロール➃ - レーラ&ラタス
ラタス
2人ずつに分かれて、交代で見張りをしている。
レーラ
つかず離れず、左右それぞれを向いて並んでいる。
レーラ
手元のそれは暗闇にとけてしまって、よく見えやしない。
ラタス
「まあ、ずっと触ってればもう体の一部みたいなもんだ」
ラタス
「手応えで、どれだけ深く切ったのか、突き刺さっているのかもわかるぜ」
ラタス
「切りつけた相手がどんな服を着ていたのかも」
ラタス
「体型なんかもな。筋肉質なのか、脂肪がついているのか……」
レーラ
「もうそれなりに経つし。
とっくに分かり切っていて、なんとも思わなかったかもしれないけどね」
ラタス
「薄い皮膚、肉付きは浅く骨っぽい、柔らかめの内臓」
ラタス
「……刺されるとわかっているときの、筋肉のこわばり」
ラタス
「全く不意をつけばもっと筋肉は弛緩している。完全に予期していれば、もっと筋肉は硬直している」
ラタス
「そのどちらともつかない、迷いのあるこわばり」
ラタス
「ラタスという男に裏切られた、だまされた、ハメられた」
ラタス
「そういう終わり方の方がよかったかもしんねーぜ」
ラタス
「いつの世だって詐欺や裏切りはトレンドだぜ?」
レーラ
空を切る音がして、暗闇がラタスの肩を小突く。
レーラ
心の疵のあらわれがゆらりと揺らめいて、もう一度男をはたく。
レーラ
「聞きそびれていたけど。私のも特別見えてるわけじゃなかったのか」
レーラ
今もラタスの傍を、深海の生き物のように漂っている。
ラタス
「見えなくても、なんとなくわかる。戦いの中なら」
ラタス
敵がどこにいて、レーラがどこにいて、それでどういう軌道を描くのか。
ラタス
「半年も一緒に戦っていれば、それくらいならな」
ラタス
光に欠いた世界において、目に映るものはさして重要でない。
レーラ
目に映るものはさして重要ではなく、束の間判断を鈍らせただけ。
ラタス
「頼りになった。呼吸を合わせるのも、不意をつくのも上手い。おれが拾い損ねたものを、確実にお前が対処してくれるという安心があった」
レーラ
孤独を埋める以上の、何かが及ばなかったとして。
レーラ
「悪いなんて言うもんじゃない、そうだろう」
ラタス
「すべてを話せば、きっとそういうだろうと」
ラタス
弱さを責めるようなことはしないと知っている。
レーラ
喉のもとまで来ている言葉を飲み下して、そうやって宣っているだけ。
ラタス
傷ついたまま寄せ集まっているお前たちを置いて、先に死ぬ。
GM
美しいというには憚られる光景。ここは堕落の国。
クロウ
「うひょ〜、海だぁ〜」
ぴょーん、と跳ねてます。
ラタス
波打ち際が見え始めたあたりで、突然駆け出す。
ラタス
1d6+3
(1D6+3) > 3[3]+3 > 6
レーラ
1d6+3
(1D6+3) > 2[2]+3 > 5
ラタス
クロウを引っ張ったりしてたら大差ないぐらいについた。
レーラ
はしゃいでるな~、と思いながらついていきました。
ウエノ
「ヘタに触らないでくださいよ、毒があったらどうするんです……」
ウエノ
「にしても海、ほんとにあったんですね~!」
ウエノ
「あっ! 見てください! あれが水平線ですよ!」
ウエノ
「日本……っていうか地球は、こう……丸いんですけど」
クロウ
「汚ねえ海でも、こう見ると綺麗に見えっから不思議だぜ」
ウエノ
べちゃべちゃする砂浜に、そのへんで拾った枝で絵を書く。
ウエノ
「世界はこういう姿をしているらしいんです」
ウエノ
それで、太陽のまわりをこう……ぐるぐるまわってて……
ウエノ
だから朝が来たり夜が来たりするんですよ~。
クロウ
「え、この反対側はどうなんだよ。落ちねえの?」
ウエノ
こうふうに、球体の中心にむかって、あたしたちは磁石みたいに引き寄せられてるんですよ~~。
ウエノ
「日本人ならみんな知ってることですし……」
ウエノ
まあ……テストの点数は、そんなに悪いほうじゃなかったですけどね!!
クロウ
「ひひひ、そういう時ゃ素直に褒められとけばいいんだよ」
ウエノ
「この……砂浜があり得ないほど汚いのは、日本の海もそうですよ」※場所による
ウエノ
「海ってそんなきれいなものじゃ……ないんですよ!」
クロウ
「ひひひ。せっかくの機会だ、全部味わっておけ」
ウエノ
「いや~やりたいことが叶ってよかったですね!」
ラタス
「いや~よかった。向こうで自慢できるぜ~」
クロウ
「あ、ウエノも連れてくからよろしく」ひらひら
レーラ
いってらっしゃい、という代わりに手を振る。
クロウ
「おーい、行かねーのー?」振り向いて大きな声で
クロウ
「堂々としてりゃからかわれもしなかったろうに」
クロウ
もう片方の手で、あなたの頭をぽんぽんと叩く。
クロウ
「ま、つってもただ砂浜を歩くだけだけどな〜」
ウエノ
「歩きましょうよ。デートなんですから……」
クロウ
ふ、と微笑む。いつもの人を小馬鹿にしたような笑みではなく…。
クロウ
海の水は冷たいが、それは火照ったあなたの体にはちょうど良いだろう。
ウエノ
「あたしの口から言わせるんですか、逐一!?」
クロウ
「お前のやりたいことリスト、だろ?」
いじわるな笑みが君に向けられる。
クロウ
「まあ、言わないなら俺が勝手にするだけだけどな」
ウエノ
「……する時はもっといいところで、お願いしますね」
ウエノ
「クロウは、やりたいこと、見つかりました?」
ウエノ
「もし、叶わなかったときに、ショックで死んでしまうような」
クロウ
「ひひひ、そーきたかー」
手を、少し強く握りなおす。
クロウ
「さすがに、叶わなかったらショック死まではいかねえけど…」
クロウ
「今は」
少し大きな波が、二人の足元をさらう。
クロウ
手を強く引く。あなたは体勢を崩して、後ろに倒れそうになる。
クロウ
そのタイミングで、クロウの手があなたの腰に回り…受け止める。
クロウ
「お前とキスしてみてえと、俺も思ってるぜ?」
クロウ
「でも残念だなぁ、こんな汚ねえ海じゃなあ」
ウエノ
まるで自分が心臓そのものになってしまった、みたいな。
ウエノ
「あんまり長居すると、ラタスに冷やかされちゃいますよ」
ウエノ
「レーラだってラタスのお守りで、うんざりかもしれません」
ウエノ
この音が、伝わっていないといいな、と思う。
クロウ
大した距離ではなかったけれど、それは二人で歩いてきた証。
GM
明日を待ち遠しいと思うこと。そう思えること。
サブロール➄ - レーラ&ラタス
レーラ
「なんだろうな。別に、出来てても構いはしないのだけど」
レーラ
「改めて言われてみれば、少し複雑かもしれないな」
レーラ
「いや、なんだろうな……ウエノが幸せならそれでいいんだけどね」
レーラ
「いや……クロウがダメという訳でもないんだけど……」
レーラ
「私は、誰かひとりきりが好きというわけじゃない」
レーラ
「まあ万一、二人との関わり方が変わるようならば一悶着はあるだろうけど」
レーラ
「そのときくらいは、ラタスが恋しくなるかもしれないな」
ラタス
闇に溶け込み、血を浴びても赤く染まらない凶器。
ラタス
「これを見ておれを思い出せ……とは言わないが」
レーラ
渡されたそれを握ることもできないで、ただ、手放すこともできない。
ラタス
心の疵より産まれて、体の一部のように取り扱うナイフ。
ラタス
「そうだな、もし殺すのにウンザリしたとき」
レーラ
いつも通り確からしくない事ばかり、言っていればいいものを。
レーラ
ふたりを覆い隠してきた闇、その一片は、今は手のひらの中。
GM
*クエストNo.5成功により、全員好きに技能を一つ入れ替えてもよいです。
GM
これは裁判前までに決定していればよいものとします。
GM
20日以降になりますので、クエストはなくなります。