GM
みんな~!!
GM
青窓、はじまるよ~~!
GM
集まれ~~!!
GM
よろしくおねがいします~!
レーラ
わ~~! よろしくお願いします!
ウエノ
遅刻したーー!
クロウ
よろしく〜
GM
ではまず……キャラ紹介から!
GM
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
GM
GM
*ウエノ
ウエノ
「あたしが一番手ですか……? なにかの間違いじゃないですか……?」
ウエノ
「まったくしょうがないな~。やればいいんでしょ、やれば!」
ウエノ
「はいっ、あたし、ウエノです。14歳、中学2年生。『魔法少女』やってます」
ウエノ
「まあ、最近はあんまりですけどね。みんな魔法より肉盾のほうが好きみたいで~~」
ウエノ
「……べっっつに、変身できないとかそーゆーんじゃないですよ!」
ウエノ
「ちっがいますからね!」
ウエノ
「あとは~~、あたし、注射器とか絆創膏とか、いろいろ出せるんで!そういうのでみんなを手当してました」
ラタス
いつもたすかるわ~
ウエノ
「……オホン!!!」
ウエノ
「エヘンエヘン。注射器と魔法は用法用量を守ってただしくお使いください」
ウエノ
「……あと何言えばいいんですか、ラタス?」
ラタス
どういう世界から来たのかとか言ってやれよ
ウエノ
「あんまり言いたくないな……なんか、あ~~って言われるんで。超フツーの出身なんで。ハイハイハイ。日本ですハイ」
ラタス
あ~。
ウエノ
「くっ!!」
ウエノ
「ちなみにコンビニの揚げ物ではビッグアメリカンドッグが一番好きでした! ここ重要情報なので。メモしておいてくださいね」
ウエノ
「以上!ウエノでした~!」
GM
GM
ありがとうございました。
GM
次は~。
GM
Choice[猟奇,才覚] (choice[猟奇,才覚]) > 猟奇
GM
GM
*クロウ
クロウ
「うぃーっす。クロウってんだ、よろっしく〜」手ひらひら
クロウ
「小せえ頃から軍に鍛えられててな、ちと特殊な部隊にいたんでそれなりに戦闘はできるぜぇ」
クロウ
「むしろ戦闘以外はからっきしよ」
クロウ
「んでな、俺ん中にいる魔獣ってやつが…こう。ぐわーって感じで俺の体に纏わり付いてな、その力で敵をざくーって感じだ」
クロウ
「で?なんだっけ、元の世界?」
クロウ
「戦争しかしてねぇからよくわかんねぇや。あ、これ仲間ね」
そう言って腕についてるドックタグを見せる。
クロウ
「あーとーはー…」
クロウ
「…心の疵は、俺がもう必要のねぇ人間ってことと」
クロウ
「この性格も表情も作りもんだってことだ、あいつらには内緒だぜぇ?」こそこそ
クロウ
「ひひひ、まあこんなもんだろ〜。んじゃ、お次どうぞ〜」
GM
GM
ありがとうございました。
GM
では最後に、一番かしこいレーラさん!
GM
GM
*レーラ
レーラ
「はて。それはいくらか買い被りすぎかと思うけれどね」
レーラ
「それでは名前から。私たちはローラとレーラ」
レーラ
「それで便宜上、レーラと名乗ろう」
レーラ
「ローラはこの身体の本当の持ち主で……」
レーラ
「俗に言う“ひょんなこと”からローラとレーラ──私たちは、
 二人で一人分に収まるようになったのさ」
レーラ
「それで、そうだね。
 我々はまあ、そこそこ良好にやっている、と思うよ」
レーラ
「ラタス。ヤツはまあとりわけ気ままな男だが……。
 丁度良い、とでも言おうか。そういう間柄と思う」
ラタス
ちょうどいいぜ~。
レーラ
本当にな~。
レーラ
「……ま。丁度良いのはラタスだけに限らんがね。
 皆一様に腹に物を抱えておろうが……」
レーラ
「救世主とはそもそういうものだったか」
レーラ
「話が逸れたね。
 ラタス、ヤツはああいい加減そうだが、存外やれるヤツだ」
レーラ
「特に……闇討ちと言うのかな? アレは気に入った。
 ああいう陰湿なところは馬が合う」
レーラ
「この包帯に私たちの血を浸み込ませて、ヤツのように黒色にしてな。
 要は……見様見真似をしているよ」
レーラ
「最近は息を合わすのに苦労はしなくなってきた。
 勿論、私たちの間柄には及ばないがね」
レーラ
「クロウが大立ち回りを演じ、ウエノが皆を守る。
 そういうところも込みで、良いパーティなんじゃないかね」
レーラ
心の疵。
レーラ
『砕けた鏡』。
ローラとレーラ。鏡写しの少女。彼女は二人で一人という。
レーラ
けれどこの堕落の国で、ローラが発する言葉を聞いた者はいない。
レーラ
『何れ明ける夜』。
夜明けは希望の象徴。明けない夜はないという。
レーラ
夜が明けたのであれば、果たして。
一夜を凌ぐための帳である彼女に用はあるのだろうか?
レーラ
「こんなもんかね?」
GM
ありがとうございます。
GM
GM
*ラタス
ラタス
「ラタスだ」
ラタス
「顔がイイってよくいわれるぜ~」
ラタス
「あとは……カッコいいとかいわれるぜ」
ラタス
「武器はナイフだ。黒ーいもくもくを出して、ぶすーっとやってるぜ」
ラタス
「あとは心の疵だな~」
ラタス
「残してきたもの……そう、昨日腹いっぱいで食べそこねたあのチキン。食べればよかったぜ~」
ラタス
「変わらないもの……昔から寝相が悪いのがなおらないで困ってるぜ~変わらないぜ~」
ラタス
「以上だ!」
GM
GM
GM
GM
Dead or AliCe
GM
『青い窓を見上げて』
GM
GM
GM
GM
0日目。
GM
「死んでっ!! 死んでよ!!!」
GM
絶叫。救世主の少女は血に濡れた大きな斧を振りかぶる。
GM
その斧はレーラに狙いを定め、振り下ろされる。
レーラ
「おや」
レーラ
猫を噛むのは窮鼠であったか。
レーラ
いつも通り。獲物は包帯に絡めとって、身動きを取れなくして。
レーラ
そのはずだったのだが。
レーラ
才覚の救世主は、そうした寸刻の油断を突かれる。
GM
包帯による妨害を勢いのまま引きちぎり、力任せに兇刃がレーラを襲う。
ウエノ
「ちょ~~~っと待った~~~~あ!!」
ウエノ
きらめくピンクと水色のハート! ステッキにあしらわれたプラスチックの、まんまるまるな翼がはばたく!
ウエノ
真っ赤な斧はストロベリー味? 甘すぎるならミルクを混ぜて!
ウエノ
斧がレーラを包帯ごとひきちぎるその刹那に、冗談みたいなステッキがねじ込まれて、ぱっと絆創膏の花が咲く。
ウエノ
「残念っ、でしたっ! レーラには手を出させません!」
ウエノ
それを掴む少女は──ありふれて薄汚れている。
ウエノ
「あんたはここで死ぬんです!」
ウエノ
「なぜなら……」
ウエノ
任せましたよ!
ラタス
ミルクを混ぜても甘すぎだろ~。
ラタス
だからおれがコーヒーを混ぜるぜ。
ラタス
黒い煙幕が立ち込め、少女の救世主を飲み込む。
ウエノ
ゆめかわ世界観がーーー!!
ラタス
黒い衣装、黒く塗り込められたナイフは煙に溶けては輪郭を偽り。
GM
「うぐっ!」
GM
少女の動きが止める。
ラタス
「1対4は分が悪いだろ~」
ラタス
ラタスは亡霊のように姿を表す。
ラタス
少女の背には、ナイフが突き立てられている。
ラタス
まあおれはコーヒーじゃなくて紅茶派だけどな~。
ラタス
クロウ、と呼びかけるまでもなく、その立ち位置から引き下がる。
クロウ
煙幕に紛れるように、烏が救世主の少女を襲う。
クロウ
黒い翼は少女の視界を遮り、鋭い爪は執拗に少女の目を狙う。
GM
「きゃっ!」
クロウ
烏を振り払おうと少女が斧を振るうと同時に、黒い刃が少女の手首に突き刺さる。
クロウ
斧を落としたなら、次は足の腱を斬る。
クロウ
少女が膝をついたなら、そのまま首元に刃を通す。
クロウ
「………」
GM
少女は手折られ、滑らかに首を貫かれる。
GM
「ひゅっ」と悲鳴にならない声が一瞬漏れる。
クロウ
首から刃を抜き、血が溢れるのを見つめる。
クロウ
視線は外さない。まだ、死んではいないから。
GM
勢いよく血が吹き上がる。
ウエノ
目をそらす。
GM
血が周囲を赤く濡らしていく。しかし赤では黒を塗りつぶせない。
GM
少女は、ばた、とわずかに手足を動かすも、そのまま力なく斧が地面に落ち、そして倒れる。
GM
――裁判閉廷。
GM
そして、わっと喧騒が蘇る。
GM
ここは村の広場だ。
GM
悪さをする救世主を倒すよう依頼されたあなたがたは、見事彼女を打ちのめした。
クロウ
「よぉーし、依頼完了だなぁ」
レーラ
「やあ、お見事お見事!」
ウエノ
ステッキを一度大きく振ると、光の残滓とともに赤が跳ねた。ちょっぴり垂れてしまった、ストロベリーソース。
ラタス
「よっしゃ、無事済んだな~」
ラタス
倒れた救世主の荷物を物色する。
ウエノ
「おつかれさまです!」そう言って絆創膏を押し付ける。
ラタス
べーっと貼られる。
ウエノ
べっべっ。
クロウ
「ちょっと危なかったじゃねぇかよ、レーラ。もうちょいで首ちょんぱだ」ひひひ、と笑いながら
ウエノ
一人一人勝手に貼っていく。
レーラ
「おうとも。ウエノのお陰さね」
クロウ
貼られた絆創膏をさらに適当に貼り直していく
ラタス
かわいくデコられちゃうぜ。
レーラ
「まあ尤も、ウエノなら助けてくれると思っていたとも」
ラタス
「あのウエノはナイスだったな~」
クロウ
「それもそだな〜」
ウエノ
「えっ、いや、あの~~」
ウエノ
「ちょっ、」
レーラ
絆創膏でいつも通りファンシー。
ラタス
「頼れるぜ~」
ウエノ
「いやっ……!!」
クロウ
「ぜ〜」
ウエノ
「ただ仕事をしただけですよ!!」
ウエノ
「べっっつに、レーラがケガしたら嫌だとか!そんなことはね!」
ウエノ
「ぜ~~~んぜん!」
ウエノ
「これっっぽっちも!!」
クロウ
「ひひひっ」
ラタス
「なるほどな~」
ウエノ
絆創膏をべたべた貼っていく。
ウエノ
口にも貼ろうとする。
ウエノ
だまれ~~っ!
クロウ
「褒美にこれをやるぜ」
ウエノに貼られた絆創膏をウエノに貼り返す。
レーラ
「わかったわかっ」
ラタス
「ウエノはやさもがもが」
レーラ
もがもご。
ウエノ
「もがもがも!」
クロウ
「むぐむぐ」
ウエノ
べりべり。はがしタイム。
ウエノ
「で、ラタス。何かいいものは見つかりました?」
クロウ
「もごもっご、もごぅ?」
ウエノ
死体をあまり見ないようにしている。
ラタス
「おう、まずこれはいつもの」
ラタス
コインをほいほいと投げて寄越す。
ラタス
「あとは……」
レーラ
見下ろす。いつも通り楽しげで、いつも通りに残酷だ。
クロウ
「ぷはっ、やったぜ〜」絆創膏はがしはがし
ラタス
カバンからはこの村で奪った食べ物と、ポーチ、ぬいぐるみ、それから地図が出てきます。
ウエノ
「はい、確かに」代金ぶんの働きはできただろうか。
ラタス
奪われたものを周囲でやかましくしてる村人に寄越す。
ラタス
「これでいっちょ上がりだな~!」
ウエノ
魔法とスパイスだけでは生きられないが、それを使って生きていくことはできる。
GM
「ありがとうございます!! 恩に着ます!!」
ウエノ
「末裔の皆さん、喜んでくれてよかったですね」
ウエノ
「随分困ってた、みたいですしっ」
GM
「今夜はささやかながら、宴を開かせていただきますよ!」
GM
「救世主様、ばんざーい」「ばんざーい」
クロウ
「ひゃっほぅー、やりぃ〜」
クロウ
「ばんざーい」
ラタス
「酒だ酒だ~!」
ウエノ
「男はこれだから……」
ウエノ
レーラは違いますよね?
ウエノ
ねっ?
GM
事件が解決したことがわかり、避難していた末裔たちも続々と集まってきて、すぐに宴の準備が始まります。
レーラ
プレッシャーを感じるな~。
GM
「今夜はぜひうちの宿でお泊りください!」
レーラ
「まあ羽目を外しすぎない程度にな。
 ほらこないだなんか、食いすぎただとかなんとか……」
レーラ
「アレは見物だった」
ウエノ
「ほんとほんと!」
ラタス
「まさかフライドチキンを出す救世主なんてな~」
ラタス
白いスーツの……。
ウエノ
「あたしの魔法は胃薬じゃないんですよ!」
クロウ
「あいつぁ強敵だったぜ…」
ウエノ
まあ……揚げた鶏は、本当に強かったですよね……!
ウエノ
あらゆる意味で……!
ウエノ
ビッグアメリカンドッグ派でなければ死んでいました。
レーラ
手強い相手だった。脂っこすぎて一口も食えたものではなかった。
ラタス
もりもり食べたぜ。
GM
まあ実際、貧しい村です。あんまり贅沢な宴ではありません。
クロウ
肉ならいくらでも、と思ってたけどさすがにあれはやばかったぜ
ウエノ
「にしても、何日ぶりのお布団なんでしょう!」
ウエノ
「あたしはそっちのほうが楽しみです……」
ラタス
「それな~」
クロウ
「末裔の女連れこめっかなぁ〜」ひひひ
ラタス
ふきっさらし、岩場に丸まって寝るのは……最悪だぜ!
ウエノ
「レーラ! 聞いちゃいけません!」
ラタス
「おっ、いいじゃねえか~」
クロウ
「なあラタス、あの末裔なんかいけそうじゃねえか?」指さし
ラタス
「どれどれどれよ~」
ウエノ
「くっ……」
ラタス
白兎ちゃんか~? 三月兎ちゃんか~?
レーラ
「ほいほい」自前で耳を塞ぎます。
レーラ
ローラに聞かせられないしなあ。
クロウ
俺は白兎ちゃん派〜
ラタス
おれは三月兎ちゃん派~
ウエノ
「もう! ばかなこと言ってないで行きますよ!!」
クロウ
「へいへ〜い」
ウエノ
「やるならよそでやってください! まああったくも~~~」
ウエノ
レーラの前でやらないで!
レーラ
「そこいらにしておかないとウエノが怖いからなあ」
ウエノ
じゃなくて。
ウエノ
あたしのまえでやらないでください。
ラタス
「へいへい」
ウエノ
プンプン!
クロウ
「わぁーってるよ、冗談だ冗談」
ウエノ
「まったく、なんでこんなバカどもと組んでるんでしょうね、あたしは……」
ウエノ
ぶつぶつ……
レーラ
「まあまあ、その辺にしておいて」
レーラ
宥めるようにウエノの手を取って繋ぐ。
ウエノ
「へえっ!?」
GM
宴会は、宿屋の1階の酒場で行います。
ウエノ
「……む、 む、む。 はい。レーラがそう言うなら。はい。」
ウエノ
握りかえします。
ラタス
「お~~レーラとウエノは仲良しだな~?」
ウエノ
ぎっ……!
レーラ
末裔の誘導する方へ一同をやんわり連れて行きます。
クロウ
「ひひひ」
ウエノ
「むうううむうう……」
ラタス
クロウと仲良ししながらレーラについていきます。
ウエノ
反論の唸り声をあげながら連れていかれます。
レーラ
「やや。羨ましいのかな~」
ラタス
倒した救世主の荷物を持ったまま。
クロウ
なかよし〜
ウエノ
手はしっかり繋いだまま。
レーラ
とか言いながら。
GM
そんなこんなで、一行は楽しい夜を過ごしました。
GM
GM
1日目。
GM
翌朝です。
GM
昨晩は久しぶりにベッドで寝れましたね。裁判もしたしぐっすりでした。
ウエノ
お肌もつやつやになった気が!
レーラ
寝不足は美容の大敵だからね。
GM
しかし、そこにラタスの姿はありません。
クロウ
おいおいトイレか〜?
ウエノ
「あれ? ラタスはいないんですね」
GM
ラタスの荷物も見当たりません。
ウエノ
まあ珍しいことじゃないんですけど。
ウエノ
末裔の女の子の部屋で寝てるのかな?
クロウ
「あーん?そこら辺うろついてんじゃねぇのか?」
ウエノ
……
ウエノ
最悪。
レーラ
いつもよりも寝すぎてしまったな、などと思いながら。
GM
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
レーラ
「まあヤツのことだからなあ……」
GM
ではウエノが、枕元の手紙に気づきます。
GM
手紙は殴り書きで、乾く前に折りたたまれて滲んでいます。
ウエノ
「って、クロウもレーラも知らないんですか? いくらラタスでもそれは……」
ウエノ
言いかけて、言葉が止まる。手紙を拾いあげる指。
ウエノ
さいしょはまだ眠気ののこる、ゆっくりとした仕草で。
ウエノ
文字をたどっていたヘーゼルナッツの目が、おおきく見開かれる。
GM
『バカやろうどもへ。
今まで楽しかった。用事ができたからこれでさよならだ。
精々元気でやってくれ。それじゃ ―― ラタス』
ウエノ
「……な、」
ウエノ
「……っ」
ウエノ
「…………」
ウエノ
震える指が手紙を取り落とす。
レーラ
「ウエノ?」
クロウ
「…どしたよ?」
ウエノ
「…………」
ウエノ
手紙を砂の残る床へ落としたまま、拾い上げることもできない。
ウエノ
呆然と突っ立っている。
クロウ
「…ったく」
その手紙を拾い上げ、レーラに手招きをする。
クロウ
一緒に読もうぜ〜
レーラ
ウエノの動揺を見て取って、その表情を曇らせる。
レーラ
どんな碌でもないことでも、こんな顔はしないだろうに。
レーラ
「はてさて、如何様なものか」と、クロウの隣へ。
クロウ
手紙をレーラにも見やすいように広げる。
レーラ
三人、まるで顔をつき合わせるような形。
レーラ
手紙に視線を落とす。
クロウ
「………あー」
手紙に目を通し、思わず声が漏れる。
ウエノ
「バカやろうどもへ」
ウエノ
唇から魂の抜けたような声が、こぼれる。
ウエノ
「今まで、楽しかった。用事ができたからこれで、さよならだ……」
ウエノ
「せいぜいげんきでやって、くれ」
ウエノ
「それじゃ」
ウエノ
「……」
ウエノ
やっと、その場にのこされた二人の顔を見た。
クロウ
「………」
レーラ
顔をもたげる。
レーラ
「これは」
レーラ
「また……」
レーラ
質の悪い冗談だ、とは。咄嗟には。
ウエノ
顔を上げる。
ウエノ
「はっはっはっ!」
ウエノ
「あ~~っはっはっは!!」
ウエノ
「なんですかこの最悪のイタズラは!」
ウエノ
「性根の腐りきったラタスらしいやりかたですねえ~!!」
ウエノ
まだ青い顔で、にこにこと取り繕う。
ウエノ
「全く! こんなの日本でやったら出るとこ出れますよ! ローキですローキ! 仕事仲間なのに契約違反です!」
ウエノ
おおげさな身振り手振り。
クロウ
「…あー」頭をかく
クロウ
「まず、よぉ」
クロウ
「自分のコインと荷物、あるか?」
ウエノ
「へ、はは」
ウエノ
「そんな、まさか」
ウエノ
「違うよね……?」
ウエノ
つぶやきながら自分の荷物を確認します。
レーラ
ウエノを見る。
取り繕えない程に取り繕うのは、却って真に迫るような心地がした。
クロウ
「一旦確認しとけ」そう言って自分の部屋に戻って確認します。
GM
確かめると、自分たちの荷物はそのままです。
レーラ
まあ確かに、ヤツは手癖の悪い男だった。
GM
ラタスの荷物はないですね。
クロウ
「…俺らの荷物はある、か」
クロウ
「じゃあ、別にコイン目的の裏切りとかじゃあなさそうだな」
GM
昨日の救世主の荷物も置いてあるようです。
ウエノ
ナップザックをひっくり返すと、絆創膏がこぼれ出た。
クロウ
「とりあえず一安心ってやつだなぁ」
ウエノ
「はい。……そうです、ね。ひとあんしん、です」
GM
昨日の救世主の荷物を改めれば、地図だけがなくなっています。
レーラ
「裏切り、ねえ」
GM
昨日眺めた感じでは特別な地図のようには見えませんでしたが。
ウエノ
ストロベリーソースに、ミルクじゃだめだった?
ウエノ
「行きましょう」
ウエノ
荷物を背負います。
ウエノ
「もしかしたら、宿の人がなにか知ってるかも……」
ウエノ
見てのとおり、いつものウエノではありません。
クロウ
「…まあ、宿の奴に話を聞くのはいいけどよ」
クロウ
昨日の奴から奪った荷物から、地図が消えてんなぁ…。
GM
かわいいクマちゃんと化粧ポーチはそのままですね。
クロウ
「おい、レーラ。こん中にあった地図に心当たりはあるかぁ?」
レーラ
「……」
ウエノ
足を止める。
レーラ
「いいや。ラタスが触ったきりかな」
ウエノ
「地図、ですか?」
クロウ
「んじゃラタスが持ってったのか…」
ウエノ
あまり見ないようにしていた。
ウエノ
人が持っていたものは、怖い。
クロウ
「ああ、この荷物の中にあったはずのもんだ」
ウエノ
とりわけ自分が殺した人のものは。
GM
慌ただしい様子に気付いて、店で働いている白兎の末裔がやってくる。
GM
「どうしました~?」
クロウ
「おう、連れが一人どっかいった。なんか知ってっか?」
ウエノ
「あ、あの……そのっ、」
ウエノ
「そうです! 泥棒されたんですっ!!」
ウエノ
「仲間の一人が、あたしたちの大事な地図をっ、盗んでいってっ!」
GM
「お仲間さん? 明け方出ていきましたよ」
ウエノ
「すごく大切なものなんです、無くしたらたいへんなことになるんです……!!」
クロウ
「行き先、もしくは出てった方向はわかるか?」
GM
「地図はわかんないねえ」
GM
「南の方って、商人さんが」
GM
南方は、これまであなたがたが旅してきたほうです。
クロウ
「南…ねぇ」
GM
あなたがたはこれまで北上して旅してきました。
ウエノ
「レーラ……」
レーラ
地図。大切なもの。
ウエノの言葉は方便とは言え、そのものに価値があったとはあまり思えない。
ウエノ
レーラなら、心当たりがあるかもしれない。
ウエノ
そう思い至って、呼びかけた。
ウエノ
「レーラは、ラタスと一番付き合いが長いんですよね、なにか……」
ウエノ
知っていることは、と。
レーラ
「まあ、そう言うほど長くはないけれど……」
レーラ
口許に手を当てて考えるしぐさ。
レーラ
「正直、特別思い当たらないかな」
ウエノ
「そう、ですか……」
ウエノ
がっくりと肩を落とした。
レーラ
「大体いつも適当な事ばかり言っているだろう?」
GM
言ってます。
ウエノ
「言ってますね」
クロウ
「言ってるなあ」
レーラ
「何を本気で言ってるか、分かりやしない」
ウエノ
頷く。
レーラ
「……」
ウエノ
唇を噛んでいる。
ウエノ
泣きそうな顔。
レーラ
黒い靄なんか立ち込めてないのに、空気が仄かに重苦しい。
ウエノ
「み、なみに」
ウエノ
「みなみにいけば、会えますか」
ウエノ
「……いえ、違います。地図を……」
GM
「……さぁ~」末裔は首をかしげる。
ウエノ
「…………」
GM
「ずいぶん急いでるみたいだったから……」
レーラ
こんな時。
レーラ
いつもはどうしていただろうか?
ウエノ
少女の顔。
ウエノ
こどもの顔。
クロウ
「………」
ウエノ
一人にされた迷子の子供。
レーラ
「まあ、そうだね」
ウエノ
顔をわずかに上げる。
レーラ
「ああいう男であるから」
レーラ
「問いただしたら。
 大方、忘れ物した、とでもなんとでも言うだろうな」
ウエノ
「忘れ物」
ウエノ
絆創膏のはられた指を唇にやって。
ウエノ
「……言いそうですね、それ」
ウエノ
「あの……」
ウエノ
「その」
ウエノ
「仕事仲間として、ですけど」
ウエノ
「盗まれたから、なんですけど」
ウエノ
「いっしょにあたしと、来てくれませんか?」
ウエノ
「ラタスに文句を言いにです!」
クロウ
「ひひひ」
クロウ
「めんどーだけどよぉ…、あいつに文句言うのはちと面白そうだなぁ〜」
クロウ
「いーぜー、俺は」
ウエノ
「! ありがとうございまっ……」
ウエノ
「いや、いや、相互の利益がなんたらってやつですもんね!!」
クロウ
「ま、そういうことでいいぜぇ」ひひひ
レーラ
「私たちも良いよ。勿論、そういうことでね」
レーラ
「ヤツの、バツの悪そうな顔を拝むチャンスだろう」
レーラ
ただ。そうして口にする傍らで。
レーラ
意味のないことはしない男だった。とも思う。
クロウ
来た道を戻るのであれば、迷うこともないだろう。
途中の村に寄っていけば、食料も問題ないだろう。
クロウ
問題は…。
クロウ
「…30日ルールだなぁ」
ぼそり、と二人には聞こえないように呟く。
GM
*お茶会
GM
・このシナリオにはお茶会MOD『クエスト』が採用されています。クエストは、通常の手番の行動の際に合わせて宣言していただき、その判定値がクエストに設定されている目標値以上であれば成功となります。
クエストNo.1 ラタスに追いつく
概要 :ラタスに追いつく
目標値 :8
消滅条件 :成功するか、お茶会終了と同時に消滅
成功 :クエストNo. 2を開示する / ラタスの心の疵に触れられるようになる
失敗 :3日経過する。その上で、HPを3減らすことで成功したことにしてもよい。
GM
GM
*お茶会 ラウンド1 ウエノ
ウエノ
クロウの心の疵 『仮面』を舐めます クエストno1に挑戦します
GM
OKです。
ウエノ
1d12 (1D12) > 2
ウエノ
みんなでやりたいな~~っ
GM
2 汚水の川。粘り気のある川面がぼこぼこと泡立ち、腐敗臭を放っている。
ウエノ
かくしてウエノ率いる愉快な仲間たち一行は、南へ!
ウエノ
今は5日前に通り過ぎた川を、再び渡ろうとしているところ。
GM
ぼこぼこ。
ウエノ
「あ、あ、ありえなすぎる~~~」
ウエノ
5日前もそうして文句を言っていました。
ウエノ
めちゃくちゃ貧相な吊橋を、へなちょこな足取りで歩いている。
レーラ
「デジャヴュというやつかなあ」
クロウ
「いやぁ〜、やっぱすっげぇくせえなここ〜」
鼻をつまみながら吊り橋をひょいひょい渡っていく
ウエノ
「デジャヴュ??」
ウエノ
それ使い方あってる?
ウエノ
へっぴり腰なので無限にレーラにつっかえる。
ウエノ
「あ~~! 待ってください! クロウ!!!」
ウエノ
右手だけ伸ばしている。左手は擦り切れた手すりにしっかりと。
クロウ
「あーん?お前らこそ、早く来いよぉ」
レーラ
違うな~とか適当な視線で適当な相槌をうちながらつっかえている。
クロウ
声を聞いて立ち止まり、振り向く。
ウエノ
「ゆっ!」
ウエノ
「ゆれっ!!」
ウエノ
「うううう」
ウエノ
へたり込んでしまった。
レーラ
「ほらほら、私たちがついてるからね」
ウエノ
「うえええん……こんなの何度も渡る羽目になるなんてえ」
ウエノ
「変身さえできればピュ~~のバサバサだったのに……」
ウエノ
へたり込み続けています。
ウエノ
じっとクロウをみつめています。
ウエノ
子犬の目。
レーラ
こうなるとか弱い少女の手では動かないな。
ラタス
『へいへ~い、おぶってやろうか~?』と、5日前はラタスに担がれてました。
クロウ
「…はぁ〜〜〜」大きくため息を吐いてひょいひょいとウエノのとこまで戻っていく
ウエノ
「うう……」
ウエノ
下を見ると終わりなのでクロウしか見れない。
クロウ
「何持ちがいいよ」へらへらと両手を広げる
ウエノ
クロウしか見えません。
ウエノ
「おんぶは嫌です!!」
ウエノ
自分の叫びでまた揺れて縮こまる。
クロウ
「なんでよ」
ウエノ
「……」口をぱくぱくする。
ウエノ
「……思い出すからです」
ウエノ
「ラタスのこと……」
レーラ
同じ道。けれど、全く同じ光景とはいかない。
レーラ
そういうことをまた、その後ろで思っている。
クロウ
「ひひひっ、もう思い出してるようなもんだろーがそれ」
ウエノ
「ぐう!」
ウエノ
ぐうの音!
クロウ
「ラタスに会ったら話のネタにしてやろ〜」
ウエノ
観念して手を差し出します。
ウエノ
「煮るなり焼くなりお好きにしたらどうですか!?」
ウエノ
非常に偉そう。
クロウ
「ひひひ、えらそ〜だな〜」
その手を取り、引っ張ると同時に持ち上げる。
クロウ
お姫様抱っこ!
ウエノ
「うっっ!!!」
レーラ
これはまた大胆だなあ。
クロウ
「生意気なお嬢様はこうしてやろ〜」
ウエノ
「しっっんじらんないっっ!!やばんじんっっ……」暴れかけて奈落が目に映る。ごぼごぼと音を立てる悪臭の川……
ウエノ
「……」おとなしく抱っこされます。なんならつかまってきます。
ウエノ
「レーラ」
ウエノ
「この人があたしのお尻とか触ったら……なにかのバツを与えてください」
クロウ
「え〜…」
ウエノ
めちゃくちゃつかまっています。
ウエノ
むしゃぶりつく勢いです。
レーラ
「ははは、いいとも」
ウエノ
「お願いしますよ!! すごく痛いやつを!!」
レーラ
まあそれで二人して橋から落ちなければ良いけれど。
クロウ
「ちぇ〜…」
ウエノ
体が密着すると、ウエノの体が震えているのがよくわかる。
レーラ
そのままクロウの後ろについていきます。
クロウ
「…まあ、とりあえず早く渡っちまうか」抱え直す
クロウ
振り向いてレーラに問う
「レーラはこのお嬢様と違って問題ねえよな?」
レーラ
構いませんよとひらひら手を振る。
クロウ
「あい…よっ」
と、声を出してすごい勢いでぴょんぴょん吊り橋を渡っていく
ウエノ
あたしのほうが年上なのに情けないとかそういう考えはこのやばい吊橋の上では粉々だ。
クロウ
ぴょんぴょんぐわんぐわん
レーラ
後続のことを考えてなくないか?
ウエノ
「あああ~~~!!! ああああ~~~~!!!!」
ウエノ
大絶叫!!!!!!!
ウエノ
「死ぬやつです!!! 死ぬやつです!!! 死ぬやつです~~~!!!!!!!」
クロウ
「死なねーし、うるせー!」
ウエノ
恐怖すぎてステッキから絆創膏がこぼれまくります。
クロウ
「おまえっ、ほんと…なあっ!」ぐわんぐわん
ウエノ
「おに~~っあくま~~っクロウ~~っ」
ウエノ
その悪態もしばらくすると止み。
ウエノ
ぐったりと体を預ける。
ウエノ
「うう……」
クロウ
「…ったく」
その様子を見て、少しゆっくりと渡るようにする。
ウエノ
絆創膏の漏れも少し収まってきた。
ウエノ
「おにあくまクロウ……おにあくまクロウ……」※ささやき
クロウ
「ひひひ、そんなんでこの先保つのかよ〜」
ウエノ
「……クロウは」
ウエノ
ぽつり。
ウエノ
「クロウは怖くないんですか?」
クロウ
「こーんな吊り橋くらい、別に…」
ウエノ
「あっ! あたしだって怖くないです! こんなもの!!」
ウエノ
急に元気になって、
ウエノ
急にまたしおらしく。 「あたしが怖いのは……」
クロウ
「………」
ウエノ
「クロウが荷物とコインがあるかって聞いてきたときとか」
ウエノ
「ラタス探しに、ついてきてくれてるのも、そうですけど」
ウエノ
「いや、違う、ずっとなんです」
ウエノ
「昨日の女の子の、最期を、あの」
ウエノ
「ずっと眺めてたり、とか……」
ウエノ
体が震えている。
クロウ
「…ありゃあ、ちゃんとトドメを刺せたかの確認でなぁ?俺のミスでお前らが危険になってもやべーだろ?」
クロウ
「ほら、亡者ん時も同じようによお」
ウエノ
「クロウはすごく、仕事ができるんだと思います」
ウエノ
「あたしはいつも、気持ちばっかり前に行っちゃうから」
ウエノ
「だからちゃんと、判断とか……そういうの、うまくないですし」
ウエノ
「レーラやクロウのほうがずっと大人だなって、思うこともあります」
ウエノ
「でも、あの、でも……」
ウエノ
「ずっと考えていたんです」
ウエノ
ヘーゼルナッツの瞳がクロウの目を覗き込む。
クロウ
吊り橋を渡る速度が、少しだけ遅くなる。
ウエノ
「なくなった地図が、本当に、すごく価値のあるもので」
ウエノ
「もしかしたら、それは……誰か一人だけの願いを叶えるとか、家に、帰してくれるとか、そういうものだったりして」
ウエノ
「いや! そんなの、ありえませんけどね! ですけど!」
ウエノ
「でも」
ウエノ
「だとしたら。 そういうふうに、あたしたちが、その」
ウエノ
「う」
ウエノ
ひどく言いにくそうにする。
ウエノ
「裏切られ、たんだと、したら、」
ウエノ
「ラタスを殺してしまうんですか?」
ウエノ
沈黙する。
クロウ
「………」
ぴたり、と完全に足が止まる。
ウエノ
*判定します
GM
*横槍
GM
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
GM
2d6+3=>7 判定(+猟奇:3) (2D6+3>=7) > 8[3,5]+3 > 11 > 成功
GM
1d6 (1D6) > 1
ウエノ
*クロウのティーセットを使用
[ クロウ ] ティーセット : 3 → 2
ウエノ
2d6+3=>7+2-1 判定(+愛) (2D6+3>=8) > 9[3,6]+3 > 12 > 成功
[ クロウ ] 仮面 : 0 → 1
ウエノ
ヘーゼルナッツの瞳。
ウエノ
それがじっと、あなたを見つめている。
クロウ
ここで、いつものように軽薄な態度でごまかすこともできるだろう。
クロウ
けれど、見つめてくるその瞳が、クロウにそれを許さなかった。
クロウ
「…殺せはする」
クロウ
「俺は…なんの躊躇いもなく、殺すことはできるだろうな」
ウエノ
「じゃあ……」
ウエノ
「見てるんですか?」
ウエノ
「あの女の子みたいに」
ウエノ
「ちゃんと、トドメを刺せたかどうか」
ウエノ
「できるん、ですか。あたしは、」
ウエノ
「……あたしも、ラタスのこと殺せると、思います」
ウエノ
「殺せないわけないです」
ウエノ
この少女は、四人目。最後に加わった一人だった。
ウエノ
それまでは一人で、救世主の責務を果たしてきた。
ウエノ
「でも」
ウエノ
「あたしは、きっと、見てることは、きっと」
ウエノ
「できないです。それは、弱いからかもしれないけど」
ウエノ
「クロウも」
ウエノ
「そうであってくれたらいいなって、思ってしまうんです」
ウエノ
目を閉じる。
ウエノ
ラタスがそう言ったから。
ウエノ
目を瞑っていろって。
ウエノ
ウエノに、クロウの今の表情は、見えない。
クロウ
クロウにいつものような飄々とした表情はもうない。
クロウ
「俺が、トドメを刺せたか最後まで見ているのは…ただの癖みたいなもんだ」
クロウ
「死に際に決死の一撃を放つような奴もいるからな。見てねえと死ぬ可能性がある世界で生きていきた、それだけだ」
クロウ
「そこに強いも弱いもねえよ」
ウエノ
「……そうですよね」
ウエノ
「へんなわがまま言っちゃいました」
クロウ
歩みをゆっくりと再開する。
クロウ
「…まあ」
クロウ
「あいつを殺す時は、少しくらいは目を瞑ってもいいかもな」
ウエノ
「え?」
ウエノ
薄く目を開く。
ウエノ
「そ、それって!」
ウエノ
「ってウワーー高ーーー!!」
ウエノ
ばたばた。
クロウ
「騒ぐな、もうちょいだからよ…」
クロウ
「…目を瞑りたくなっちまう俺は、弱いと思うか?」
ウエノ
ぴたっと止まる。おとなしくしがみつく。
ウエノ
『弱いと思うか?』
ウエノ
震える手で、絆創膏を取り出して。
ウエノ
頬にひとつ、貼り付ける。
ウエノ
「あたしは、嬉しいですよ!」
クロウ
「ひひひ、答えになってねーよ」
クロウ
吊り橋を渡る足取りは軽くなり、腕の中にあるものをしっかりと抱え直す。
レーラ
「ほら」
レーラ
「つかえているよ。お嬢さんがた」
レーラ
いつの間にか背後にあって。
とん。とクロウの背をつつく。
ウエノ
「あ! すみません!」
ウエノ
「ほらクロウ、早くしてください!」
クロウ
「うっお…!」
思わず手を離しそうになる
ウエノ
「ああああうそうそうそごめんなさいごめんなさい!!!!!」
クロウ
「………今のは普通にわりぃ」
レーラ
けらけらと笑う。
ウエノ
「レーラ! 痛くしてください!」
ウエノ
「でかいやつを一発!!」
クロウ
「待て待てっ!今はダメだろっ!」
レーラ
「それじゃあ何からやろうかな……」
レーラ
「ああ、そうするとウエノも一緒に落ちてしまうかもしれないけれどね」
ウエノ
「エ!?!?!?」
ウエノ
「あああうそですタンマタンマいまのな~~し~~~~!!!!!」
GM
*クエストNo.1 ラタスに追いつく 成功!
GM
*クエストNo.1成功により、クエストNo. 2を開示します。またラタスの心の疵に触れられるようになります。
GM
1d12 荒野シーン表 (1D12) > 8
GM
8 瓦礫の山。積み上がった夥しい量の建物の残骸。一昔前は、大きな街だったのかもしれない。
GM
街道はまっすぐ瓦礫の山に続いている。そこに黒い後ろ姿。
ラタス
「よう」
クロウ
「よう、じゃねえが?」けらけら
ウエノ
ラタス!
ウエノ
ラタスだ!! ラタス!!
ウエノ
「ラタス……!!」
レーラ
「一日ぶりになるかな?」
ウエノ
思わず走り出す。二人を置いて。
ラタス
「わりぃが、おれは急いでるんだ、すまんな」
クロウ
「おう、待て待てウエノ」
走り出したウエノの首根っこを掴む。
ウエノ
「あうっ」捕まる。捕まって、
ウエノ
あの人が遠くなる。
ウエノ
「ま、待って」
ウエノ
「ラタスっ……!!」
ウエノ
はなして、ともがいている。
ラタス
「助かるわ、クロウ」
レーラ
けれど代わりに黒い影が奔る。
クロウ
「いや、別に行かせる気もねえが?」
レーラ
ラタスの足元を目掛けて。
ラタス
おいおい、戦い方を教えたのは誰だ?
ラタス
「お前らとの付き合いはあれで終わりだ。おれはそのつもりだったんだが……」
ラタス
黒煙に身を包み、
ラタス
「わからないなら、わからせてやるよ」
ラタス
ラタス
*ラタス
クエストNo.2 ラタスの思惑
概要 :ラタスが去った理由を聞き出す
目標値 :7
消滅条件 :成功するか、お茶会終了と同時に消滅
成功 :クエストNo. 3,4,5,6を開示する
失敗 :ラタスの行動を追加
[ ラタス ] HP : 16 → 15
GM
MODの効果により、横槍ないはずですがめちゃめちゃ吊橋落としたかったので間違えてしました。もうしません。
GM
本日はここまで。ありがとうございました~!
GM
次回はラタスの行動からです。
GM
GM
みんな~~~!!!!!
GM
青窓の時間だよ~~~!!!!
ウエノ
わ~~~!!
ラタス
わ~~~!!!
レーラ
わ~~~!!!!
クロウ
わ〜〜〜
GM
本日もよろしくおねがいします。
GM
前回はラウンド1ウエノの手番までですね。なんか良い感じにクロウさんをペロペロしました。
ウエノ
よろしくです!
GM
クエストに無事成功して、ラタスに追いつきました。よかったね。
GM
というわけでラタスの手番になります。
ラタス
「お前らとの付き合いはあれで終わりだ。おれはそのつもりだったんだが……」
ラタス
黒煙に身を包み、
ラタス
「わからないなら、わからせてやるよ」
ラタス
ラタス
*ラタス 1回目
ラタス
黒い煙はざらつく煤の臭い。
ラタス
黒い装いはラタスの輪郭を曖昧にして、その振る舞いを隠す。
ラタス
レーラの伸ばした黒い影が煙へと侵入すると、
ラタス
レーラはぐい、とたぐり寄せられ、影へと飲み込まれる。
レーラ
ぴんと張り詰めた得物。それまでは予測の通り。
レーラ
男の持つ力を甘く見ていた、という訳でもなかったけれど。
レーラ
「む――」
レーラ
軽い少女の身体は黒煙の中へ。
レーラ
咄嗟に駆けだしたウエノと大差なかった、それだけ。
ラタス
夜の底にあるかのように、一寸の光明もない。
ウエノ
「レーラ!」悲鳴をあげる。まるで無力なこどものように。
ウエノ
無力で愚かで考えなしの子供。
ウエノ
大差なく。
クロウ
「…あらら」
吸い込まれていくレーラをただ見ている。
ラタス
レーラの背中に鋭い痛みが走る。焼け付くように。
ラタス
一つ。
ラタス
二つ。
ラタス
三つ。
ウエノ
「何見てるんですか!助けにいかなきゃ!!」
レーラ
敵を戒めるための布切れは、却ってその身を縛った。
ウエノ
でも……
ウエノ
仲間なのに?
ウエノ
二人とも仲間なのに?
クロウ
「………」
ウエノ
じたばた。
レーラ
小さな呻き声。
クロウ
ウエノの首根っこは捕まえたまま。
レーラ
一つ、二つ。三つ。
ラタス
煙の外からは伺えない。中からもまた。
ラタス
ただ、ラタスの戦い方を知るレーラはわかる。
クロウ
今行ってももう遅いし、黒煙の中じゃ…あいつにいいようにされるだけだ。
ウエノ
「やめてください、ラタス! なにをしているんですか!?」
ラタス
黒く塗り込められたナイフが三つ突き立てられたことを。
ウエノ
「あたしたち、仲間じゃないんですか!?」
ラタス
そしてレーラは腹に衝撃を受ける。
レーラ
背が熱い。確かめずとも分かること。
ラタス
まっすぐ蹴り込まれ、黒い煙から突き飛ばされる。
ウエノ
じたばた、じたばた。
ウエノ
「――こんのっ!」
ラタス
背中をナイフに刺されたことが明るみになる。
レーラ
ぐ、と、短く。一際大きな音を漏らして。
クロウ
「………少しは落ち着け」
ウエノ
ステッキがぶん、と空振り。
レーラ
暗闇から追い出されて。けれど。
レーラ
包帯はラタスに絡みついたまま。ぴんと、張り詰めている。
ラタス
*レーラの心の疵『何れ明ける夜』を抉ります。
ウエノ
*横槍します
ウエノ
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
ウエノ
2d6+3=>7 判定(+愛) (2D6+3>=7) > 4[1,3]+3 > 7 > 成功
ウエノ
1d6 (1D6) > 2
ウエノ
*ヤリイカ使用 この2は4
[ ウエノ ] ヤリイカ : 2 → 1
ラタス
2d6+3-4=>7 判定(+猟奇) (2D6+3-4>=7) > 11[5,6]+3-4 > 10 > 成功
[ ウエノ ] HP : 22 → 21
ウエノ
そのステッキのきらめきから放たれたのは、ピンク色の注射器。
クロウ
「あ」
ウエノ
がむしゃらに振るった勢いで、闇をつらぬいて飛んでいく!
ラタス
目を細め、ウエノを一瞥。
ウエノ
その中身を満たしているのは、やさしい夢の残骸だということを。
ウエノ
みんなはよく知っている。
ウエノ
はじめは暖かく、幸せで、
ウエノ
それからぼろぼろ崩れていく。
ラタス
そしてぐいと包帯をまたたぐり寄せ、半ばレーラを抱きとめるようにして、
ラタス
その注射器の盾にする。
レーラ
追い縋ったのが悪かった。
レーラ
冷静な部分ではそう理解している。
レーラ
ああ、判断を誤ってしまった。
ラタス
マスクで覆われた声が耳元で囁く。
ラタス
「これでわかったか?」
ウエノ
華奢な少女の体に、かわいい注射器が突き刺さる。
レーラ
「──」
ウエノ
そこにおそろしいことなんてあるわけがない。
レーラ
口を開こうとして、四つ目。
クロウ
「………」
小さく息を吐く。
ウエノ
あるとしたらきみの中身が悪いだけだ。
ラタス
「不要になったから切り捨てた」
ウエノ
押し子がひとりでに動いて、喉を鳴らすように少女の体の中へ。
クロウ
今、目の前で仲間同士が傷つけあっている。
…だというのに、自分の頭の中に巡るのは。
クロウ
この状況をどう切り抜けるか、だ。
レーラ
焼けつく痛みが、この注射器のように誤りによるものだったなら。
ウエノ
ゆめ色の液体が体の中身と混ざり合う。
ラタス
「それがお前の聞きたいものの答えだ」
ラタス
煙幕は風に紛れてかき消える。
レーラ
「……不要」
ウエノ
「そんな」
ウエノ
「あ、」
クロウ
「なるほどね」
レーラ
呟いた声が、思いの外に震えた。
ウエノ
「レーラ、あたし、そんな」
ウエノ
「そんなつもりじゃ、」
レーラ
それはラタスの言葉によるものかもしれないし、或いは。
ウエノ
不要! まさにその言葉のとおり。 なにもかもこんがらがった、不必要な毛糸たち。
ウエノ
お互いの足をひっぱりあって、もんどりうって倒れている。
クロウ
不要。確かにその通りだ。
俺は、一体何のためにここにいる。
レーラ
「どうして?」
レーラ
「どうして不要になった」
ウエノ
波うつようにあらわれる絶望。
ウエノ
うねる吐き気と悪寒。
レーラ
本当は、問う必要なんてなかった。
けれども問う他になかった。
クロウ
烏はただ、傍観している。
ラタス
「どうして、どうしてか……」
ラタス
「まるで必要とされたいみたいだな、レーラ」
レーラ
力が弛緩していくのが分かる。
ウエノ
やけに世界がまぶしく感じる。この堕落の国の、どんよりとした薄明かりひとつひとつが、目に突き刺さる。まるで手術台に寝かせられた時に見つめる無影灯のように。
レーラ
「……いいや」
レーラ
「いいや」
ウエノ
背中の3つの刺し傷が、爆発的な痛みとなって襲いかかる。
ウエノ
刺されたときのほうがましだと思うほど。
レーラ
「不合理がまかり通るのが許せないだけだよ」
ウエノ
バッド・トリップ。夢を求めるためには、下ごしらえが必要だ。
レーラ
痛みの最中、レーラの言葉は止まない。
ウエノ
カレーに皮をむいていないにんじんを入れてはいけないし。
ウエノ
絶望のその瞬間に甘い麻薬を注射してもいけない。
ウエノ
「どうして……」
ウエノ
そのまま、ただ沈黙する。
クロウ
「………」
皆の言葉に、クロウは声をかけることもない。
レーラ
「ラタスは、意味のないことはしない」
クロウ
ただ、戦況が変わるのをじっと見つめている。
レーラ
嘔吐にも似た感覚と共に、言葉が地に落ちる。
レーラ
思い出す。
ラタス
「おれは本当に意味のないことをしないのか?」
ラタス
あなたの背に生えたナイフを一つ抜き去り、赤く尾を滴らせたまま、絡みついた包帯を断ち切る。
ラタス
「違うな。お前は知ってるだろう」
ラタス
「元々世界は不合理なことばかりだ」
レーラ
この身体の本当の持ち主に、何度も掛けた言葉を、
不愉快な感覚が呼び覚ましている。
レーラ
「……」
ラタス
「それとも教えてくれるか」
ラタス
「意味ってやつをさ」
ラタス
もちろん、意味などない。
レーラ
繋いでいた絆しは千切れて、解ける。
レーラ
強烈な身体の不具合で、腕は上がらない。
ラタス
ありもしないものを守り続けるレーラには、それ以外の答えを導けない。
[ レーラ ] 何れ明ける夜 : 0 → -1
ラタス
ラタス
ラタスの心の疵を開示します。
残してきたもの→青い窓の見える庭:ラタスの現在、傷心。重ねてきた犠牲、変わらないもの
変わらないもの→汚れた手:ラタスの現在、傷心。重ねてきた犠牲、変わらないもの
ラタス
ラタス
*お茶会 ラウンド1 クロウ
クロウ
ラタスの周囲の黒煙が薄れていることに気づく。
クロウ
「ウエノ、レーラを頼んだ」
そう言って、ウエノを掴んでいた手を離す。
ウエノ
頷く。
クロウ
同時にラタスの背後から烏が爪を突き立てようとし、クロウもラタスに向かって駆け出す。
クロウ
「………」
クロウの体が、黒い紋様に包まれる。
ウエノ
「レーラ……!」
ウエノ
倒れるレーラに駆け寄る。ふらふらと、おぼつかない足取りで。
ラタス
ラタスの手には黒いナイフ。心の疵の力による武器形成。
クロウ
腕からは黒い羽根が生え、指先は鋭く尖っていく。
ウエノ
「大丈夫ですか、レーラ。あたしの声が、聞こえますか、」
ラタス
煙幕を固めたような。影を刃物にしたような。死を形にしたような。
ウエノ
きみの耳の聞こえ方はおかしくなっている。
ウエノ
まるでいくつもの穴があいた洞窟の中で、天井に頭だけ生えた男が叫んでいるような声がする。
クロウ
何もない、空っぽで、虚無のような黒がクロウを包み、刃と成す。
レーラ
ぐらりぐらりと視界が揺れている。
声は酷く歪んで、誇張されて、駆け抜けた砂塵は精神を不快にさせる。
ラタス
ナイフを一つ、烏の方に投じる。
ラタス
投げたその手には既に次のナイフ。
ラタス
一人殺し、一人殺し、そうして堕落の国で生きつないできたように。
クロウ
『ギッ…』
烏は小さく鳴き、霧散していく。
ウエノ
返事がない。
クロウ
だが、次の爪がラタスへと襲いかかろうとする。
レーラ
開いた瞳孔で、空を眺めている。
ウエノ
喋らない女の子は、そこにいないみたい。
ウエノ
あたしがそのぶん喋ってあげてたんだ……
ウエノ
「ごめんなさい、レーラ。さわります」
ラタス
振り下ろされる爪を、二本のナイフで打ち払おうとする。
ウエノ
抱き寄せて膝に乗せる。その手には、
ウエノ
また新しい注射器。
レーラ
冷たい。
ウエノ
望む効果が得られなかったなら。
レーラ
冷たくて、ちかりとするのが嫌だった。
ウエノ
もう一度打ち直せばいいんだ。
ウエノ
「すこし、ちくっとするから」
ウエノ
「すぐ済むから」
ラタス
けれどいつか限界が来る。
その場しのぎの幸福で、擦り切れていく心を本当に救うことなどできはしない。
ウエノ
だから、あたしは役に立ちますよね。
ウエノ
そうしてふたたび、ちくっと刺した。
レーラ
レーラは、なんてことないなんて言ってみせるけど。
レーラ
“わたし”はどうしたって好きになれなかった。
レーラ
どこか、遠いどこかで、刃がぶつかる音がする。
クロウ
ちくっとでは済まないような一撃が、ラタスに迫る。
ラタス
その場しのぎの薬ではどうにもならない。
ラタス
荒療治が必要だろう。
サブロール➀ - ウエノ&レーラ
GM
*お茶会 ラウンド1 クロウ
ウエノ
膝に乗せたレーラ/ローラの、褪せた髪を撫でる。
ウエノ
薬液がきみを、より強く蝕んでいく。
ウエノ
それはよいふうに? わるいふうに?
ウエノ
少なくとも、背中の傷をいっとき、忘れるくらいなら。
レーラ
煮えるような、引き切られるような不快さは気ままな風の如いなくなって。
レーラ
後に残ったのはぽかぽかとした温もり。快さ。
レーラ
麻酔を打たれた時にも似て、世界の輪郭を上手く掴めない。
ウエノ
撫でる。その指は震えている。
ウエノ
ウエノの指はいつでも震えている。
ウエノ
戦いはすぐそこでがなり立てている。
ウエノ
屏風一枚も挟んでいない。
レーラ
「……──ラ」
レーラ
か細い声は轟音に霞む。
ウエノ
「大丈夫」
ウエノ
「だいじょうぶです……」
ウエノ
「寝てるあいだに、全部おわって」
ウエノ
「これからはみんな、いいことばっかり、ですよ」
ウエノ
例えば。
ウエノ
ラタスとみんなと、またいつも通り。
ウエノ
なにもなかったみたいに、旅に出れるみたいな。
レーラ
ラタスとみんなと、またいつも通り。
レーラ
全部が元通り。正しい形で。
レーラ
何も間違いなんてない。そんな、いつも通り。
レーラ
「……うん」
ウエノ
撫でる。
レーラ
帳は明けて。全てが正しく幸せになる。
ウエノ
不要だから切り捨てたと、その言葉が腹の底で重たく沈んでいる。
ウエノ
役に立つと言ってくれたのに。
ウエノ
絆創膏も、注射器も。
ウエノ
「あたしには、レーラが必要です」
ウエノ
「ううん、レーラだけじゃない」
ウエノ
「……みんな、みんなが……」
ウエノ
きみは役に立つ。
ウエノ
ウエノの役に立つ。
ウエノ
ウエノの欲求を、みんなは満たしてくれる。
レーラ
そう。
レーラ
だけど、それは少しだけ違う。
レーラ
その中には、不要品が紛れ込んでいる。
レーラ
「うん」
レーラ
ゆるやかに瞳が上を向く。
レーラ
「わたしも、そうだよ」
レーラ
あどけない表情。
レーラ
それは虚構。そこに無いものの真似事。
レーラ
「だからウエノがここにいてくれて、うれしい」
ウエノ
髪をすくような手付き。震えている指では、うまくいかないけれど。
レーラ
くすぐったそうにはにかむ。
ウエノ
声の出せない妹。
ウエノ
ろくに働かない父。
ウエノ
しょっちゅう扉を叩く借金取り。
レーラ
その手を取って、己の頬に寄せる。
ウエノ
中指の爪はかじってぎざぎざになっている。
レーラ
年端も行かぬ少女の温もりが、震える手を包む。
ウエノ
腐った料理を食べ。ともに眠り。ときどき人を殺して。
ウエノ
そうして、それで、六ヶ月。
ウエノ
あたしたちはからまった毛糸だ。
ウエノ
こわれもののように触れている。
ウエノ
からまった毛糸って、
ウエノ
家族とどう違うの。
レーラ
きっと、ちがわないと思う。
レーラ
堕落の国に至る前。いつかローラは、笑ってそう言った。
レーラ
そういうものをくるめて、ローラはみんなを好いていた。
ウエノ
「……おやすみ、レーラ」
ウエノ
かわいい女の子みたいなレーラを。
ウエノ
ローラとは一度も呼ばなかった。
レーラ
されどそれは、救世主の心の疵。
レーラ
微睡み、目覚めたとて、一度覚えた快さを忘れることはない。
レーラ
席につくのはひとりだけ。
GM
クロウ
*ラタスの『青い窓の見える庭』を抉ります
クロウ
*クエストにも挑戦します
クロウ
*ティーセットを使用
クロウ
2d6+0+2=>7 判定(+猟奇) (2D6+0+2>=7) > 6[4,2]+0+2 > 8 > 成功
クロウ
ステータス入れてなかった
[ クロウ ] ティーセット : 2 → 1
ラタス
爪と刃がぶつかる。その膂力にラタスの姿勢が崩れる。
ラタス
「っ――!」
クロウ
「………」
その隙を見逃すほど、甘くはない。
クロウ
鋭い一撃が、さらに追撃する。
それはラタスの人工肺目掛けて。
クロウ
黒い羽根が舞う。
ラタス
「がっ、ふっ……!」
ラタス
そのまま酷く咳き込む。
クロウ
人工肺を貫いたなら、すぐさま引き抜き数歩距離を取る。
ラタス
人工肺が損傷し、呼吸に喘鳴が交じる。
ラタス
刃を振るうが、それは精彩を欠く。
クロウ
油断はしない。こいつは、こんな状態だろうと何かしらを仕掛けてくる。
クロウ
これで終わるような男ではないと、今までの旅が告げる。
ラタス
しかし、そうはならない。
ラタス
その場に倒れ伏す。
クロウ
「………」
距離を保ったまま、じっとそれを見つめる。
クロウ
「…これで終わる気か?」
ラタス
得物を手放し、震える手でマスクをむしるようにとる。
ラタス
人工肺が停止している以上、それは呼吸の妨げにしかならないからだ。
ラタス
ひゅーひゅーと息が細切れになる音が繰り返され、返答はない。
クロウ
「俺らを不要だと切り捨て、元仲間を突き刺してまでしてぇことがあったんじゃねえのか?」
クロウ
今、追撃をすれば殺せる。その確信はあった。
クロウ
だが、クロウは言葉を続ける。
クロウ
「なあ、これで終わりか?」
ラタス
地に伏せながら、クロウを睨むように見る。
ラタス
ゆっくりと体を起こし、立ち上がり、ナイフを作り出す。
ラタス
「聞く必要、なんて、ないだろ」
ラタス
生き絶え絶えに応える。
ラタス
「おれが、切り捨てたんだぜ」
クロウ
「『不要になったから切り捨てた』…だったかぁ?」
クロウ
「その判断は正しいな、俺だってそうするぜ」
クロウ
「でも、それならよぉ」
クロウ
「ちゃんと切って、捨てなきゃなんねえだろ?」
クロウ
「なーんで俺らを生かした?」
クロウ
「爪が甘いぜ、ラタス」
ラタス
「……」
ラタス
手にしたナイフが解れるように消える。あるいは煙幕が晴れるように。
ラタス
「ちっ……」
ラタス
「……なあ、クロウ」
クロウ
「なんだぁ、ラタス」
ラタス
「お前は、なんで、生きてるんだ」
クロウ
「………」
ぴたり、と体の動きが止まる。
ラタス
「なんで、生かしたかって、そりゃ」
ラタス
「お前たちには、」
ラタス
「生きてて、ほしいからだよ」
ラタス
心の疵の力が、貫かれた人工肺を修復する。元よりその人工肺もまた、心の疵の顕れにすぎないからだ。
ラタス
深く息を吸う。
ラタス
「あー、くそ……」
クロウ
その様子を見て、すぐに臨戦態勢をとる。
ラタス
ナイフは出さない。頭をぼりぼりと掻く。
クロウ
「………不要だと切り捨てたのは、自分自身か?」
クロウ
「生きててほしいなら、一緒にいてやりゃいいじゃねえか」
ひひひ、と笑う。
ラタス
「おれはこの世界からおさらばする」
ラタス
「『狂飆の頂』」
ラタス
ポケットから地図を取り出し、ひらひらとする。
クロウ
「ああ、その地図」
GM
狂飆の頂。
GM
『狂飆の頂』はいつも台風が逆巻いている山岳であり、めったに人が立ち入ることはありません。『狂飆の頂』について一つ噂があり、尽きることのない嵐の中心部には、雲ひとつない青空があるという噂です。
GM
ということをみなさんはどこかで聞いたことがあります。
ラタス
「そこから元の世界に戻れる」
ラタス
「おれはそこから帰ることにした」
クロウ
「…へぇ」
クロウ
「そりゃあ、困るな」
クロウ
「言っておくが、てめえがいなくなったこのパーティーじゃ…生存確率はぐっと下がるぜ?」
ウエノ
立ち上がる。
ウエノ
「あの地図は、『狂飆の頂』の場所の地図だったんですね」
ウエノ
「あたし、ついていきます」
ウエノ
「みんなもそうですよね?」
ウエノ
「レーラだってそのはずです」
ラタス
「……」
ウエノ
頬のあたたかさを覚えている。
クロウ
肩をすくめる。
ウエノ
「意味のないことはしないって、やっぱり、そうだったじゃないですか」
ウエノ
「だから、あたしたちだって、意味のないことはしないんです」
ウエノ
「そこにはクロウも、みんなもいてほしい」
ラタス
「……意味はない。そこから帰れるのはおれだけだ」
ラタス
「おれがお前たちを切り捨てるのは真実だ」
ラタス
「元の世界に残してきたやつらがいる」
クロウ
「………」
ラタス
「クソみたいな世界だけどな」
ラタス
「ドブネズミみたいな暮らしだ」
ウエノ
うなずく。
クロウ
「それでも、そこがお前の居場所だった」
クロウ
「帰る場所だったのか?」
ラタス
いつかラタスが話した、ラタスの出自の世界。
ラタス
ラタスはスチームパンク世界の極貧層の出自です。彼の世界は一枚の上層と下層に分断され、彼の住む下層には陽の光も届きませんでした。
ラタス
「……」
ラタス
「ガキの面倒を見ていた」
ラタス
「3人」
ウエノ
「ついていきます」
ラタス
「……」
ラタス
「……まあ、どうしようもない場所だ。スラムってやつだな」
ラタス
「でも隠れ家にしていたそこには青い窓があった」
ラタス
「上層を形成するプレートが剥がれ落ちてな、四角く切り取られた青空が見える場所」
ラタス
「あの向こうに行ったら何がしたいか、よく話していた」
ラタス
「だからおれは狂飆の頂に行く」
[ ラタス ] 青い窓の見える庭 : 0 → -1
レーラ
「わたしも行く」
レーラ
ウエノを追って、遅れて、華奢な歩みがやってくる。
いつもより浮世離れ──堕落の国離れしたつたなさを伴って。
クロウ
「………はぁ」大きなため息
ラタス
「……」
ウエノ
「レーラ、もう大丈夫なんですか?」
ウエノ
そばによって支えてやる。
ラタス
「噂は聞いてるだろ。狂飆の頂は危険な場所だ」
ラタス
「そんな付き合いで来る場所じゃねえ」
レーラ
「うん、大丈夫」
クロウ
「……………」
ウエノ
「クロウ」
クロウ
「…おー」
ウエノ
顔がそちらを向く。
ウエノ
「クロウも来てほしいです」
ウエノ
「あたしには……」
ウエノ
「いや、あたしたちには」
ウエノ
「クロウが必要なんです」
ウエノ
「首根っこを捕まえていてくれないと、困るんです」
クロウ
「…まあ、そういう流れになるとは思ってたけどよぉ」
クロウ
「…そこまで言うほどかね」
クロウ
「はぁ…」
クロウ
「ここで俺だけ残ってもな」
クロウ
「付き合うよ」
クロウ
「その方が、生き残れるだろ」
ウエノ
「ほんとですか!」
ウエノ
「やりましたねラタス!」
ラタス
「……」
ラタス
「えー」
クロウ
「こういう奴らだ、諦めろよ」
ウエノ
「なんですか! こういうやつらとは!」
クロウ
「わざわざ死地に向かうバカども」
レーラ
ラタスの方を向く。
ウエノ
レーラの手をくいくい引いてともに抗議している。
レーラ
「危ないから、ついていくんでしょう?」
ラタス
頭をぼりぼりと掻く。
レーラ
先程自身に凶刃を向けた人物に笑いかける。
ここの誰も見たことのない、屈託のない笑顔。
レーラ
「ラタスに、無事でいてほしいから」
ラタス
「あーくそ!」
ラタス
「絶対後悔するからな!」
クロウ
「ひひひ、ほんとにな」
ラタス
背を向けて南の方に歩く。
ウエノ
「はい」
ウエノ
レーラの様子がおかしい。
ラタス
ポケットに手を突っ込み、何か紙を取り出す。
ウエノ
おかしいことに見ないふりをする。
ウエノ
それが夢を見るコツだ。
ラタス
ぽい、とクロウの方に投げる。
クロウ
「………」
無言でそれを受け取り、読む。
ウエノ
「あたしも見たいです!」
レーラ
どんなにおかしくても、手を繋いで、そこにいる。
ウエノ
「見たい見たい、見たい見たい」
クロウ
「待て、まずは俺が…」
ウエノ
わざと明るく振る舞う。
ラタス
*クエストNo.2 ラタスの思惑 成功!
*クエストNo.2 成功により、クエストNo. 3,4,5,6を開示します。
クエストNo.3 おいしい果物を食べる
概要 :新鮮でおいしい果物を手に入れ、食べる
目標値 :8
消滅条件 :成功するか、日数が20日目以降になると消滅
成功 :PC全員のHPを3点回復する(HPの上限を超える)
失敗 :特になし
クエストNo.4 リベンジを果たす
概要 :かつて倒し損ねた亡者を倒しに行く
目標値 :8
消滅条件 :成功するか、日数が20日目以降になると消滅
成功 :価値9以下の好きな小道具一つを手に入れる
失敗 :特になし
クエストNo.5 海を見に行く
概要 :この世界には海というものがあるらしい
目標値 :8
消滅条件 :成功するか、日数が20日目以降になると消滅
成功 :技能の一つを入れ替える(入れ替えなくてもよい)
失敗 :特になし
クエストNo.6 女を抱く
概要 :ナンパなどで誘うか買うかして、女と夜を過ごします
目標値 :9
消滅条件 :成功するか、日数が20日目以降になると消滅
成功 :PKのデッキを公開する
失敗 :特になし
ラタス
「それ、堕落の国にいるうちにやりたいことリストな」
クロウ
「は?」
クロウ
もう一度リストを読む。
クロウ
「は?」
ウエノ
「え?」
ウエノ
「なに?」
ウエノ
「なにが書いてあったんです???」
クロウ
ーーーいや、俺に渡すなよこんなもん
クロウ
「…まあ、俺は別にいいけどよ」
レーラ
「?」 クロウをじいっと見ています。
ウエノ
「みたいみたい! みた~い!」
ウエノ
繋いだ手をぶんぶんふっています。
レーラ
「わたしも見たいな」
レーラ
見た~いという感じで腕をぶんぶんされています。
クロウ
「ラタス、いいのかこれ」紙ぴらぴら〜
ラタス
「しるかっ!」
ウエノ
「みせて~みせて~」
ウエノ
ぴらぴらを奪おうとしてきます。
クロウ
「まあ、いいか」
ぴらぴらを手放します。
ウエノ
キャッチ!
ウエノ
いっしょに読みます。
レーラ
やった~
ウエノ
「ふむふむ」
ウエノ
「ふむ?」
レーラ
「おいしい果物。リベンジ。海。……」
レーラ
「女を抱く?」
レーラ
って何? みたいな顔をしています。
ウエノ
「お」
ウエノ
「お、おん、な。 な、な、な、」
ウエノ
わかります。わかりますとも。
ウエノ
「フケツです!!!!」
ラタス
「うるせえ!!!!」
ウエノ
「いや、というか、逆に」
ウエノ
「逆に」
クロウ
「ひひひっ」
ウエノ
「逆に…………」
ウエノ
逆にになっています。
ラタス
「うるせえな!!!!」
ウエノ
「えっじゃああの時のアレとかコレとかあの時の意気揚々と語っていたあれやこれやは!?」
クロウ
「その場のノリ」
ラタス
「そのあとめちゃめちゃスヤスヤ寝てたろ」
ウエノ
「寝てた……」
ウエノ
不信と驚愕のまなざし。
ウエノ
「え、で、なんですかこれ?」
ラタス
「やりたいことリスト」
ウエノ
「そうですけど!」
レーラ
「ここに書いてあるのを手伝えばいいの?」
ラタス
「別に手伝わなくてもいいけどな!!!」
ウエノ
「はあ!? やってやりますよ!!」
クロウ
「女を抱くのも手伝うのかぁ?」
ウエノ
「果物も亡者も海だってなんとかしてみせますよ!」
クロウ
「女は?」
ウエノ
「果物も亡者も海だってなんとかしてみせます!!」
クロウ
「ひひひ」
ウエノ
「っていうかそれはクロウがやればいいんじゃないですかあ?」
ウエノ
「あっそうか……クロウも……」
ウエノ
「そうなんだ……」
クロウ
「どうだと思う?」
ウエノ
「えっ。ええ~」
ウエノ
「レーラはどう思います?」
レーラ
ううん、と難しい話を聞いた時の顔をする。
クロウ
「さっきの反応見てレーラに聞くのか…」
レーラ
「何の話か分からない、かも?」
ウエノ
「じゃあラタスはどう思いますか?」
ウエノ
ラタスなら……ラタスならわかるよねっ!
クロウ
「どう思うよ〜」けらけら
ラタス
「こいつのちんちんに興味なんかねえよ!!」
クロウ
「ひひひっ」
ウエノ
「フケツだ~~~!」
ウエノ
やだ~~!
クロウ
「てか、別にどっちでも関係ねえだろ」
ラタス
「まあ童貞だろ」
ラタス
スタスタと歩いていきます。
ウエノ
「そっか……」
クロウ
「ひひひ」
表情は変わらない、ように見える。
ウエノ
「って、あ! まってくださいよ~!」
ウエノ
聞いてないことがいっぱいある。
ウエノ
例えば。
ウエノ
あたしたちを置いていったこと、レーラを傷付けたこと。それがほんとうに、『狂飆の頂』に行きたかったから。それだけなのかとか。
ウエノ
このリストが、まるで……
ウエノ
死のうと決めた人が、ノートに書き綴る、それそのものみたいなのはなんでなのかとか。
ウエノ
そういうこと。
GM
――それを隠す煙はまだ晴れていない。
GM
これより、狂飆の頂にいたるまで、やりたいことリストを埋める旅が始まります。
GM
次の手番より、日付は2日目からとし、各PC、NPCの手番の開始時に1d6を振ります。出た数だけ日数が経過していきます。
GM
また、次手番より道中シーン表が使えます。
GM
1 .ここはあなたが初めて仲間と出会った場所だ。あの日は確か――。
2 .明け方。朝霧の中で目を覚ます。先に起きて、火をつついてる人がいる。
3 .揺れる荷台。通りがかりの隊商に護衛として乗せてもらう。揺れる荷台で風を受ける。
4 .突然の雨。近くにあった洞穴で雨宿り。あの亡者を倒したときも、そういえば――。
5 .村。あなたがたが亡者を倒し救った村は、救世主の帰還を喜びで受け入れる。
6 .今日は見通しがいい。真っ直ぐ伸びる道がどこまでも続いている。
7 .がらんどうの館。そこに住まう救世主を以前倒した。末裔達はどこにいったのだろう。
8 .口笛。仲間がなんとなしに吹いたそれが、今をあの日と結びつける。
9 .街。以前と変わらぬ賑わいを見せている。
10.三叉路。今来た道。以前に来た道。あのときは選ばなかった道がある。
11.闇夜。たき火がパチパチと燃え爆る音。語り合うのにうってつけの夜。
12.ここは仲間が死んだ場所だ。急ごしらえの墓だったが、まだちゃんと残っている。
クロウ
「レーラ、体はもう平気かぁ?」
レーラ
繋がれたウエノの隣で、くるりと振り向く。
レーラ
「うん、大丈夫だよ」
レーラ
背を見ればその傷は塞がってはいないけれど、救世主の力でどうとでもなる。
レーラ
この程度で死にはしない。
クロウ
「そりゃ上々。きつくなったら言えよぉ」ひらひらと手を振る
ウエノ
「どこか休めるところがあったら、そこで改めて手当しますからね」
レーラ
まあるい瞳がクロウを見て、それからウエノを見て、頷く。
レーラ
「ありがとう、ふたりとも」
ラタス
ラタスは先を歩いている。
クロウ
そうしてクロウも歩き出す。
クロウ
列の一番後ろ。三人がよく見える位置で。
クロウ
烏を飛ばし、自身は三人の挙動をじっと見る。
クロウ
いつでも動けるように。
クロウ
いつどこから敵が襲ってこようと
クロウ
いつ誰が敵になろうと
クロウ
対処のできるように。
GM
――それが、1日目のこと。
GM