GM
*お茶会 ラウンド2 ミュール
ミュール
見上げる。
ミュール
足を止めた、彼を。
GM
それは確かに、同じ貌をしています。
GM
しかし互いに、”あのとき”のままではありません。
GM
先ほどの幻影、亡霊とは違います。
ウィル・ホーソン
しかし、どこまでも亡霊のように。
ウィル・ホーソン
虚ろな目で、あなたを見る。
ミュール
先程とは、一体何が違う?
ウィル・ホーソン
「どこまで悪趣味なのかな、この森に住まうという魔女は…」
ミュール
「……、ウィル」
GM
こんな森で、ばったりと出くわすことなどありえるでしょうか。
ウィル・ホーソン
ほほえみすらたたえる。
ミュール
そんな事は起こりえない。
GM
魔女による攻撃。そう考えるのが当然です。
ミュール
偶然、奇跡、そんなものは起こらない。
GM
とりわけミュールは、確かにあのとき殺したはずなのですから。
ミュール
起こらないはずだった。
うーちゃん
あれが王子さま。
うーちゃん
君の王子さま。
うーちゃん
やっと見つけた。
ミュール
死者は蘇らず、また、喪われたものは戻らない。
ミュール
そのはずだ。そのはずだった。
ウィル・ホーソン
ここで死ぬのかな、とぼんやり思う。
ウィル・ホーソン
どうしてか。
ウィル・ホーソン
もう、殺せそうにないんだ。
ウィル・ホーソン
「ミュールさん」
ミュール
その虚ろな目を見て、最期の光景を思い出す。
ミュール
「ああ、あなたは……」
ミュール
「あの時と同じ、目をしているのね」
ミュール
まだ。
ミュール
まるで、時計の針が時を止めたように。
ウィル・ホーソン
貴女以外を愛することはない。
ウィル・ホーソン
僕には貴女だけ。
ミュール
荒野から足音は過ぎ去ったはずなのに。
ミュール
まだ、蒼い炎は彼を灼いている。
ウィル・ホーソン
「貴女は…」
ウィル・ホーソン
「変わったね」
ミュール
「時が経ったから」
ミュール
「色んな事が、変わってしまった」
ミュール
「ねえ、ウィル。聞いてくれる?」
ウィル・ホーソン
「仰せのままに、お嬢さん」
ミュール
「私、あなたに殺されて……それから、」
ミュール
「どうしても戻りたくて、」
ミュール
「あなたに会いたくて……」
ミュール
甘い香りがする。
ミュール
「人でいられなくなるとしても」
ミュール
「あなたを探す足が欲しかった」
ミュール
「人でいられなくなるとしても」
ミュール
「あなたを呼ぶ声が欲しかった」
ミュール
震える声。
ウィル・ホーソン
「……」
ミュール
「戻ったのよ、ウィル」
ウィル・ホーソン
踏み出す一歩は、恐る恐る。
ミュール
「魂と心だけは、あの時の私のまま」
ウィル・ホーソン
ゆらめいて、戸惑う。
ウィル・ホーソン
僕は、どこまでも愚かしい。
ミュール
近付く。
ミュール
「ねえ、ウィル」
ミュール
「あなたに会うために、私──人を殺した」
ミュール
「30日ルール、ちゃんと守ってきたのよ」
ミュール
「あなたに教えられたとおりに」
ウィル・ホーソン
手を伸ばそうとして…震える。
ウィル・ホーソン
僕はこの女を、2度も殺した。
GM
堕落の国で救世主が生きていくには、30日以内に一人。半年生きれば、最も少なくて6人。しかしそのように過ごすのはリスクが多すぎます。
ウィル・ホーソン
2度目は偽りだったとしても、同じこと。
GM
もっと多くの人を殺してきました。
GM
そしてあなたは、あなたを愛する者をも殺しました。
ウィル・ホーソン
抱きしめたい。
ウィル・ホーソン
口づけたい。
ウィル・ホーソン
愛していると、伝えたい。
ウィル・ホーソン
たった一言。
ウィル・ホーソン
貴女だけが、僕の運命だと。
ウィル・ホーソン
そう言えればと。
ウィル・ホーソン
そう言えれば、と。
ミュール
最後の一歩を、埋めてしまおう。
ミュール
躊躇うように伸ばされる腕。
ミュール
まるでもたれ掛かるように、
ミュール
そう、彼がすぐ腕を払えば、
ミュール
きっと容易く体勢を崩す。
ウィル・ホーソン
溢れ出してしまう。
ウィル・ホーソン
いままで押し込めてきた、全ての気持ちが。
ウィル・ホーソン
触れられてはじめて、実感を伴って感じる。
ミュール
「抱きしめて、くれないの?」
ミュール
揺らぐ声。
ウィル・ホーソン
つかまえる。
ミュール
捕まえられる。
ウィル・ホーソン
揺らぐ声を引き寄せる手は、左。
ミュール
引き寄せられて、
ウィル・ホーソン
燃える熱い熱い指先。
ミュール
やっと、戻りたかった場所へ辿り着く。
ウィル・ホーソン
そのまま両腕でもって絡めて。
ミュール
燃える熱い熱い指先。
ウィル・ホーソン
傷つけるように抱擁する。
ミュール
「……、ウィル、」
ウィル・ホーソン
「僕の運命の人」
ウィル・ホーソン
「おかえり」
ミュール
「ウィル・ホーソン」
ミュール
「ただいま、」
ミュール
「あなたを置き去りにして、ごめんなさい」
ウィル・ホーソン
「いいんだ」
ウィル・ホーソン
肩に顔を埋める。
ミュール
「あなたに、罪を背負わせてしまってごめんなさい」
ウィル・ホーソン
うめき声のような言葉。
ウィル・ホーソン
「いいんだ」
ミュール
泣きそうだ。泣き出してしまいそう。
ミュール
「まだ、呪いを背負っていてくれて」
ミュール
「ありがとう……」
ウィル・ホーソン
「良いんだよ」
ウィル・ホーソン
熱く燃える指先。
ウィル・ホーソン
どうしても傷つけるとわかっていても、止めることができない。
ウィル・ホーソン
愛する事を。
ミュール
抱き締める強さで、彼が偽物でないと分かる。
ミュール
名前を呼ぶ温度で、彼が幻でないと分かる。
ウィル・ホーソン
「会いたかった…」
ミュール
もしも、これこそが精巧な幻だとしたら。
ミュール
きっと、これになら殺されても仕方ないと。
ミュール
そう思うほどに。
ウィル・ホーソン
幻でもいい。
GM
幻影、亡霊。そうでない証左はありません。
ウィル・ホーソン
騙し続けてくれ。この僕を。
GM
確かなものは、ただただ強い衝動だけでした。
ミュール
騙し続けてよ──この私を。
ウィル・ホーソン
「こんなどうしようもない男に」
ウィル・ホーソン
「愛する女を殺すような男の為に」
ウィル・ホーソン
「貴女は、ここまで来てくれたのか」
ミュール
「どうして、こんなところまでって」
ミュール
「今でも思う」
ミュール
「ひとめ、会いたかっただけなの」
ミュール
「もう一度、抱き締めて欲しかっただけ」
ミュール
「永遠なんて、ずっと一緒だなんて」
ミュール
「そんなもの、望みもしていなくて……」
ミュール
「あなたに会いたかっただけだった、」
ミュール
「あなたが恋しいだけだった」
ウィル・ホーソン
「無意味だと思っていた」
ウィル・ホーソン
「貴女を殺した後も、何人もの女を、魔女共を殺め続けて」
ウィル・ホーソン
「でも貴女と出会ったあの時から、今まで信じていたもの全てが、本当に無価値で、無意味なものになってしまった」
ウィル・ホーソン
「貴女と出会った瞬間から、貴女だけが僕の全てになった」
ミュール
「私もあなただけだった」
ミュール
「血の色を見ては、あなたの旗の色を思った」
ミュール
「誰かの足音を、あなたの靴音だと思って追った」
ウィル・ホーソン
「血の色を見ては、貴女を思い出した」
ミュール
縋るように身を寄せる。
ウィル・ホーソン
「長い髪を、女の笑い声を、貴女だと思って、振り返っても」
ウィル・ホーソン
「そこにいるのは貴女とは似ても似つかないものばかり」
ミュール
「ばかね、ウィル……」
ミュール
「あなたが殺したのに」
ウィル・ホーソン
「そうだ」
ミュール
「戻ってくるはずがない」
ミュール
「何処にもいるはずもない」
ウィル・ホーソン
「そのはずだ」
ミュール
「でも、私は……」
ミュール
「何を超えても、何を背負っても、」
ミュール
「何を犠牲にしても、どんな罪を抱えても」
ミュール
「会いたかったのよ」
ミュール
「……甘い、香りがするでしょう」
ウィル・ホーソン
頷く。
ミュール
「私の体は、肉の代わりにスポンジが」
ミュール
「脂の代わりにクリームが」
ミュール
「体液の代わりに紅茶が流れている」
ミュール
「あなたの狩っていた、亡者とほとんど同じ」
ミュール
「そうなることでしか、ここに来ることは叶わなかった」
ウィル・ホーソン
亡者。人でないもの。
ミュール
人でなしの、恋。
ウィル・ホーソン
殺したと思って、殺し損ねてしまった女。
ウィル・ホーソン
「僕は……」
ミュール
死んだと悟って、それでも奇跡を願った女。
ウィル・ホーソン
「もう、貴女がこんな不条理で、恐ろしい世界に居ないという事だけを理由にして、ここまで生きてきた」
ミュール
「そうだったらよかったかもしれない」
ミュール
「あなたは、亡者を腕に抱かずに済んだ」
ウィル・ホーソン
「幸せのうちに殺してやれた。そういう事だけが、僕の生きる理由だった」
ウィル・ホーソン
「でも」
ウィル・ホーソン
「もうそんな事もどうでもいい」
ウィル・ホーソン
「スポンジでもいい。クリームでもいい」
ウィル・ホーソン
「魔女だろうがなんでも構わない」
ウィル・ホーソン
幸せにできなくていい。
ウィル・ホーソン
永遠が手に入らなくても、構わない。
ウィル・ホーソン
「貴女が隣にいる以上の意味は、僕にはない」
ウィル・ホーソン
「貴女だけが僕の運命」
ウィル・ホーソン
「……愛してる」
ミュール
*ウィル・ホーソンの疵「大きな失敗」を舐めます
『魔女の』フェイダ
横槍します。
『魔女の』フェイダ
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
『魔女の』フェイダ
2d6+1=>7 判定(+猟奇) (2D6+1>=7) > 8[2,6]+1 > 9 > 成功
『魔女の』フェイダ
1d6 (1D6) > 6
[ 『魔女の』フェイダ ] HP : 12 → 11
ミュール
2d6+3-6=>7 判定(+愛) (2D6+3-6>=7) > 8[2,6]+3-6 > 5 > 失敗
『魔女の』フェイダ
霧が立ちこめる。
『魔女の』フェイダ
「愛する二人は再会し、めでたし、めでたし――」
『魔女の』フェイダ
「物語はそうは終わらせない」
ミュール
霧で目の前が霞む。
ミュール
気付けば、身体が離れている。
ウィル・ホーソン
「! ミュールさん…!」
『魔女の』フェイダ
「私は『魔女』のフェイダ」
ミュール
「あなたが、この霧を」
ウィル・ホーソン
身の内を炎が灼いていく。
ウィル・ホーソン
「卑しい、汚らわしい、魔女め」
『魔女の』フェイダ
笑う。
『魔女の』フェイダ
「その烙印を、甘んじて受け入れましょうか」
『魔女の』フェイダ
「私はあなたがたの物語の、『悪役』を演じて見せましょう」
ミュール
「あなたも、誰かを失って」
ミュール
「孤独の悲しさを、理解しているのでしょう」
『魔女の』フェイダ
「……」
ミュール
「だから、きっとあんなまやかしをみせる」
ミュール
「夢で逢いたい、夢だけでも逢いたいと」
ミュール
「一番願っているのはあなたではないのでしょうか」
ミュール
その姿を見る。
ミュール
「喪服」
『魔女の』フェイダ
「その通りよ、お嬢さん」
ミュール
「あなたはどれくらい、その人を悼んでいるの?」
『魔女の』フェイダ
「さあ、どれだけの月日か、もう忘れてしまったわね」
『魔女の』フェイダ
「夢は夢、さりとて、夢を見せる者はそれを夢だと知っている者」
『魔女の』フェイダ
「そうでなければ喪に服すこともありえない」
ミュール
「遠い月日、あなたは」
ミュール
「夢にも浸れず、この霧の中で一人きり?」
『魔女の』フェイダ
「私を憐れむというのかしら」
ミュール
「いいえ、」
ミュール
「あなたを殺す理由を探しているの」
『魔女の』フェイダ
「簡単なこと」
『魔女の』フェイダ
「私はあなたを殺します」
ウィル・ホーソン
「できるものならすればいい」
ウィル・ホーソン
「そんな事はこの僕が許しません」
『魔女の』フェイダ
「あなたがたの物語の悪役となり、立ちはだかり、私は私の物語を進める。コインを集め、力を得て、私は私の力を、真実のものとする」
『魔女の』フェイダ
「死者を蘇らせる力」
『魔女の』フェイダ
「あなたがたをその糧とする」
ミュール
「なら、殺すしかない」
ミュール
「私たちの明日の糧となって頂きましょう」
『魔女の』フェイダ
「――少なくとも、『魔女』にまつわる噂話……」
『魔女の』フェイダ
「離別した者との再会を叶える救世主の噂」
『魔女の』フェイダ
「これを真実のものにしたのだから」
『魔女の』フェイダ
「私はなおさら、ここで倒れるわけにはいかないわね」
ウィル・ホーソン
「全ての魔女は死ぬべきだ」
ウィル・ホーソン
「魔女。お前もそう思うだろう」
『魔女の』フェイダ
「怖い御方」
ウィル・ホーソン
「お前は死んだ方がいい」
『魔女の』フェイダ
「乱暴ね」
『魔女の』フェイダ
1d12 (1D12) > 11
『魔女の』フェイダ
11:いつのまにか店にいる。その店の名物はシフォンケーキで、香ばしい匂いがする。
『魔女の』フェイダ
森から、菓子を売る店へと移ろう。
うーちゃん
ここは…
ミュール
約束した店。
『魔女の』フェイダ
「ふ……」
ミュール
だれかと、30日を超えたならと。
ミュール
絶対にかなわない約束をした。
『魔女の』フェイダ
「どうやらまだ、裁判の時ではない様子」
『魔女の』フェイダ
「この幻想は、お嬢さん、あなたのものね」
うーちゃん
『あまいものも食べよう。ケーキは好き?』
うーちゃん
『ケーキっていっても、堕落の国だから、シフォンケーキだけどさあ』
ミュール
「ええ、」
ミュール
「だまして、殺した」
ウィル・ホーソン
「……」
ミュール
「そうするしかなかった」
ウィル・ホーソン
「よくある事だ」
ミュール
「今更、こんなものを見せたところで」
ミュール
「私の心が揺らぐとでも」
『魔女の』フェイダ
「そうかしら」
『魔女の』フェイダ
「これは、あなたの心の疵」
うーちゃん
……。
ミュール
……。
うーちゃん
かわいらしい仕草で、ミュールの足元にいる。
うーちゃん
やわらかな綿のつまった、ふわふわのぬいぐるみ。
ミュール
「そうね」
『魔女の』フェイダ
「傷口に触れたときのような、無視しがたい痛痒に悶えてるのを感じるわ」
『魔女の』フェイダ
「さあ、異端審問官様」
『魔女の』フェイダ
「審問してはいかがかしら」
ウィル・ホーソン
顔を上げる。
『魔女の』フェイダ
*お茶会 ラウンド2 ウィル・ホーソン
ウィル・ホーソン
「これはこれは、ご丁寧に」
ウィル・ホーソン
席に座る。テーブルには、あまり美味しそうには見えないシフォンケーキ。
ウィル・ホーソン
膨らんでいない生地、クリームもどきのなにか、泡立ったもの。
ウィル・ホーソン
堕落の国では、十分すぎるほどのご馳走。
ウィル・ホーソン
「魔女はすべて死ぬべきだと僕は言った」
ウィル・ホーソン
「……貴女にも、そのようにした。ミュールさん」
ウィル・ホーソン
「しかしそんなものは、本当に価値のあるものでは無いのです」
ウィル・ホーソン
「僕にとっての意味の全ては、貴女だけにある」
ウィル・ホーソン
「僕の為に囀ってくださいますか」
ウィル・ホーソン
「貴女のこれまでの、物語を」
ミュール
「……あなたが望むなら、」
ミュール
「拒むことは出来ない」
ウィル・ホーソン
向かいの席。
ウィル・ホーソン
あなたの為の椅子が引かれている。
ミュール
腰掛ける。
『魔女の』フェイダ
シフォンケーキを切り分け、紅茶を煎れる。
ミュール
逃げられはしない。
うーちゃん
おれは…
うーちゃん
戸惑い、椅子の近くで隠れるようにしている。
ミュール
引き寄せて、抱き上げる。
ミュール
「この子の、主よ」
うーちゃん
…ぜんぶ話すんだね。わかったよ
ミュール
「私がここにこようって約束したのは」
ウィル・ホーソン
「何もしらない救世主だった?」
ミュール
「ええ……」
ウィル・ホーソン
「かつての、貴女のような」
ミュール
「どうでしょうね」
ミュール
遠くを見ている。
ミュール
過去の景色だ。
ミュール
「嘘が上手い子だったの」
ミュール
「全部、結局何も話さずに」
ミュール
「私の背中を押して死んでいった」
『魔女の』フェイダ
テーブルの席はそのままに、暗く、小さい、湿った部屋へと移ろいます。
『魔女の』フェイダ
それをあなたが想ったから。
ウィル・ホーソン
暗く、小さく、湿った部屋。
ミュール
「そう、こんな風な場所」
『魔女の』フェイダ
「娼館ね」
『魔女の』フェイダ
「窓がない」
ミュール
「あなたが私を殺した後、私はどうしてか戻ってきた」
ミュール
「窓がないわ。逃げられないように」
ウィル・ホーソン
娼館。そうだろう。
ミュール
「何処にも行けないように」
ミュール
「……行くところがなかった」
ウィル・ホーソン
「コインを失った救世主は、どうしようもなく無力だ」
ミュール
「娼館、“救世主様”はお好きなのよ」
ミュール
「末裔に乱暴をするの」
ミュール
「髪を引いて、無理やりに組み敷いて」
ミュール
「そこで、コックの末裔と身分を偽って」
ウィル・ホーソン
カップを持つ手が震える。
ミュール
「いつか殺せそうな救世主を探した」
ミュール
「私の手でも殺せるような、弱い人を探した」
ウィル・ホーソン
「弱い救世主」
ミュール
「抱きしめて、甘く囁けば」
うーちゃん
うさぎのぬいぐるみと目が合う。
ミュール
「油断してくれるような人を探した」
ミュール
「食い物にしようと思った」
ミュール
「生贄の羊を探した」
ウィル・ホーソン
そのへんに掃いて捨てるほどいるような売女。
ウィル・ホーソン
男を一つ屋根の下に迎え入れる恥知らず。
ミュール
そのへんに掃いて捨てるほどいるような売女。
ミュール
男を一つ屋根の下に迎え入れる恥知らず。
ミュール
「あなたに会うためだもの、苦しくなんて無かった」
ウィル・ホーソン
甘い香り。
ミュール
「だますことも、殺すことも、」
ウィル・ホーソン
コックの末裔と偽ることも、できるだろう。
ミュール
「罪だって、思ってない……」
ウィル・ホーソン
あいつらは人の形をしている。
ミュール
「死にそうになったあの人に、言ったの」
ウィル・ホーソン
いっこうに、カップの中身に口をつけられない。
ウィル・ホーソン
別に、飲むつもりもないけれど。
ミュール
「30日、無事に超えられたら」
ミュール
途切れ途切れの言葉。
ミュール
「一緒に行きましょうって」
ミュール
「さっきの、あのお店……」
ミュール
掠れる声。
ミュール
「迎えられるわけがない」
ウィル・ホーソン
聞いている。
ミュール
「一緒に行けるわけがない」
ミュール
「わかってて言った」
ミュール
「殺すつもりだった」
ウィル・ホーソン
「貴女はひどい女だ」
ミュール
「そうよ」
ミュール
「何だってできた、目的のためには」
ウィル・ホーソン
「僕に会う為には」
ウィル・ホーソン
「何だってできた」
ミュール
「愛していたから……」
ウィル・ホーソン
「見知らぬ男に股を開く事も」
ミュール
「ええ」
ウィル・ホーソン
「甘い言葉を囁いて、贄にする事も」
ミュール
「ええ」
ウィル・ホーソン
「僕に会う為に、全て」
ウィル・ホーソン
「……この、堕落の国では」
ウィル・ホーソン
「そうなって欲しいという願い、切なる祈りたちが」
ウィル・ホーソン
「全て、全てないがしろにされて、塵に返っていく」
ウィル・ホーソン
「見知らぬ男に股を開く事も」
ウィル・ホーソン
「甘い言葉を囁いて、贄にする事も」
ウィル・ホーソン
どれだけその身を、たったひとつの祈りに費やしても。
ウィル・ホーソン
「手が届かないはずの祈りだった。…正直、僕は叶うだなんて事すら、思いもしなかった」
ミュール
「……叶ってしまった」
ミュール
「そして、まだここにいる」
ミュール
「……夢に見る。」
うーちゃん
耳を動かす。
ミュール
「殺してしまった人のこと」
ミュール
「奪ってしまった命のこと」
ミュール
「仕方がなかったのよ、でも」
ミュール
「死体の口が私に囁くの」
ミュール
「お前の方が死ぬべきだって」
ミュール
ひとりきりで、悪夢に耐えて。
ミュール
あなたに会えることだけを希望に、
ミュール
ここまで歩いてきた。
ウィル・ホーソン
「でも、会えた」
ミュール
「ええ……」
ミュール
ちからなく、俯いている。
ウィル・ホーソン
「貴女がそうやって、傷ついて、一人で、殺して、また傷ついて、数え切れない程傷ついて」
ウィル・ホーソン
「先程も言ったように、この堕落の国では、どんな願いも祈りも、その全てが塵に返っていく」
ウィル・ホーソン
「でも、貴女は掴んだんだ。塵ともしれぬものに汚れ、塗れて、時間も心も、その身も費やして、それでも、手繰り寄せた」
ウィル・ホーソン
「貴女の奪ったもの全て」
ウィル・ホーソン
「貴女が騙したもの全て」
ウィル・ホーソン
「貴女が費やしたもの全てが、意味を持った。結実した。」
ウィル・ホーソン
「今貴女が目の前にいる以上に、意味を持つものはない。…少なくとも、僕にとってはそうだ」
ウィル・ホーソン
「“君”にとっては──」
ウィル・ホーソン
「どうなのだろう。ねえ」
ウィル・ホーソン
*ミュールの 救世主 を舐めます
『魔女の』フェイダ
横槍します。
[ 『魔女の』フェイダ ] HP : 11 → 10
『魔女の』フェイダ
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
『魔女の』フェイダ
2d6+1=>7 判定(+猟奇) (2D6+1>=7) > 7[3,4]+1 > 8 > 成功
『魔女の』フェイダ
1d6 (1D6) > 6
ウィル・ホーソン
2d6+4=>7 判定(+猟奇) (2D6+4>=7) > 8[3,5]+4 > 12 > 成功
ウィル・ホーソン
失敗ですね!
『魔女の』フェイダ
「素敵な励ましね、審問官様」
ウィル・ホーソン
「それはどうも。悪役さん」
『魔女の』フェイダ
ティーカップを持つ手で、指し示す。
『魔女の』フェイダ
ベッドに横たわる遺体を。
うーちゃん
倒れている、褪せた桃色の髪の男。
うーちゃん
見ないで…
ミュール
唇を噛む。
うーちゃん
たくさんの言葉をかけた。
うーちゃん
おれが君の呪いにならないように。
うーちゃん
呪いになるってわかっているのにさ。
うーちゃん
笑っちゃうよな。
『魔女の』フェイダ
細い鋭利な凶器で、何度も突き刺された遺体。
『魔女の』フェイダ
それはちょうど、ミュールの持つ得物のような。
うーちゃん
ほんとうにかわいいぬいぐるみだったらよかったのに。
『魔女の』フェイダ
男は満足げな笑みを浮かべている。
ミュール
「殺したのよ」
うーちゃん
こぼれる血もない、冷えていく肉もない。
『魔女の』フェイダ
「こんなに何度も刺されて、苦しんで死んだはず」
ミュール
「こんな風に」
ミュール
いっそ、苦しんで死んでいてくれた方が。
『魔女の』フェイダ
「それなのに、あなたを心配させまいと、笑っているのね」
ミュール
恨んでいてくれた方が楽だった。
ミュール
「そうよ」
ミュール
「あの人は、私が好きなんだって」
ミュール
「そう、言っていた……」
ミュール
「それにつけ込んだの」
『魔女の』フェイダ
「救世主として生きていく以上、殺した相手のことを、糧にしていくしかない」
ウィル・ホーソン
「魔女」
『魔女の』フェイダ
「確かに、そして、今あなたはここにいる」
『魔女の』フェイダ
「すべての結実として、意味を与えたことでしょう」
『魔女の』フェイダ
「けれど、たった一つ逃れ得ない事実を突きつけましょう」
『魔女の』フェイダ
「あなたは……」
『魔女の』フェイダ
「彼を選びはしなかったのね」
ミュール
「選べるわけがないでしょう」
ミュール
「彼を愛していたわけではない」
『魔女の』フェイダ
「あなたの疵は、本当の疵は」
『魔女の』フェイダ
「殺したことよりも、そのことね」
ウィル・ホーソン
「ミュールさん」
ウィル・ホーソン
「僕は貴女と再び会う事が出来た」
ミュール
頷く。
ウィル・ホーソン
「貴女は僕を選び、僕は貴女を選んだ」
ウィル・ホーソン
「貴女のその疵は、必要なものだった」
『魔女の』フェイダ
「あなたには愛する人がいて、彼を愛することはできなかった」
ウィル・ホーソン
睨む。
『魔女の』フェイダ
「けれど、彼を愛してあげられたらという気持ちもまた、確かにそこにあった」
『魔女の』フェイダ
「心はいくつもありえるのに、人は一人。すべての選択肢を選べはしない」
ウィル・ホーソン
「貴女のいくつもの傷付きを、僕は愛している」
『魔女の』フェイダ
「確かに自分のなかで最も本当の答えを選んだとしても、あなたは、傷ついている」
ウィル・ホーソン
「貴女の全てを愛おしいと思う」
ミュール
「けれど、その疵を抱えて」
ミュール
「ここまで来たの」
ミュール
「後悔は、ない」
『魔女の』フェイダ
「ええ」
ミュール
「未だ、癒されることがなくても」
ウィル・ホーソン
「癒やさなくたっていいさ」
ウィル・ホーソン
「僕が貴女の運命だから」
ウィル・ホーソン
「共に傷付こう」
ミュール
「これからは、あなたが居てくれるのでしょう」
ミュール
「疵の痛みが耐えがたくとも」
ミュール
「あなたがいれば、救われる」
ミュール
「あなたが私の運命で、」
ミュール
「私の運命があなた」
ミュール
また、立ち上がれたこと。
ミュール
辿り着くための手段を得たこと。
ミュール
それは、それこそが、
ミュール
運命のあかしなのだと、教えて欲しい。
ミュール
この試練を超えて、また。
ミュール
あなたと過ごしたい。
ミュール
あなたと生きたい。
ミュール
あなたを抱きしめて、あなたに口付けて。
ミュール
傷つけあいながら抱き合いたい。
ウィル・ホーソン
あなたと過ごしたい。
ウィル・ホーソン
あなたと生きたい。
GM
世界は森へと移り変わります。
うーちゃん
そして、君に生きてほしい。
『魔女の』フェイダ
人は欲深いもの。一目見れば、一言だけでも、そんな些細な願いも、暖かさに触れれば、それが続くことを願うもの。
騎士の幻影
魔女の元に、騎士の幻影が現れます。
娼婦の亡霊
更にその傍らに、娼婦の亡霊が。
『魔女の』フェイダ
「さあ、裁判を致しましょう。我ら救世主、罪を重ねて生きるしかないのです」
『魔女の』フェイダ
「恋人たちに、安らかな結末を」
ウィル・ホーソン
「長かったお茶会も、これで終わり」
ウィル・ホーソン
「ご心配なさらないで」
ミュール
幻のような、温度のない蒼い炎が揺らぐ。
ウィル・ホーソン
「うまくやります。これまでで、一番」
ミュール
「私も囀るだけの鳥ではなくなった」
ミュール
「行きましょう」
ウィル・ホーソン
「ええ。もう、離さない」
ミュール
「離れたりしない」
ミュール
「奪ってきた、殺してきた」
ミュール
「疵付いたこと、すべては意味があったのだと」
ミュール
「証明してみせて」
ミュール
「愛しい、私の騎士」
ミュール
「……私の運命」
『魔女の』フェイダ
「裁判、開廷」
『魔女の』フェイダ