GM
*お茶会 ラウンド1 ミュール
ミュール
1d12 (1D12) > 7
GM
7:ミルク色の霧が立ちこめる森の中、二人の足音だけがある。
ミュール
地面を踏みしめる。
ミュール
霧に覆われた視界では、僅かな範囲しか確認できない。
うーちゃん
ころころ、てとてと。
うーちゃん
ぬいぐるみのやわらかい綿の音がそれに続く。
GM
霧は重たく、葉を踏み枝をかき分ける音を飲み込んでいきます。
GM
あなたの他に何もそこにいない、あなたは一人、とでもいうような。
GM
そこに、向こうから、足音がやってくる。
ミュール
「………」
ウィル・ホーソン
木々の隙間に見え隠れする。
ウィル・ホーソン
足音に合わせて翻る、旗槍。
うーちゃん
なにか聞こえるよ、あっちからかな?
ミュール
いつか見た光景/望んでいた風景。
ミュール
ぬいぐるみに従う。
うーちゃん
南瓜の馬車、白い馬。
うーちゃん
舞踏会にきちんと送り届けたいけれど。
うーちゃん
はたして。
ミュール
それが似合うひとであれたなら良かった。
ウィル・ホーソン
そこに、彼はいた。
ミュール
まばたき。
ウィル・ホーソン
かつりかつりと、優雅な王子様の歩み。
ウィル・ホーソン
記憶に寸分違わず。
ミュール
垂れた涙を拭う。
ミュール
記憶に寸分違わず。
うーちゃん
あれってもしかして。
ミュール
かつりかつりと、優雅な王子様の歩み。
うーちゃん
あれが、そうなの?
ミュール
頷く。
ミュール
息を吐いた。
ウィル・ホーソン
立ち止まって――
ウィル・ホーソン
息を飲む。
GM
『魔女』の噂。離別した者との再会を叶える救世主の噂。
GM
あなたが死んだ理由であり、あなたが生きている理由。
ミュール
声を掛ける?
ミュール
縋り付く?
ウィル・ホーソン
「ミュール、さん…?」
ミュール
そうしたいのでは、なかった?
ウィル・ホーソン
声をかける。
ミュール
それだけを望んでいたのではなかった?
ウィル・ホーソン
駆け寄る。
GM
求めて、求めて、求めて、ここまであなたは来ました。
ウィル・ホーソン
がむしゃらに、
ウィル・ホーソン
抱き寄せる。
ミュール
「……ウィル、」
ウィル・ホーソン
「ミュールさん」
GM
半年。あなたは生きたいと思って生きました。その理由がありました。
ウィル・ホーソン
「ミュール…!」
ミュール
負い目がある。
ミュール
あなたをひとりにした。
ウィル・ホーソン
あなたの迷いなど振り切るように、
ミュール
負い目がある。
ウィル・ホーソン
強く強く、抱いている。
ミュール
あなたに、私を殺させた。
ウィル・ホーソン
「会いたかった」
ウィル・ホーソン
「会いたかった……」
ウィル・ホーソン
声が震えている。
ミュール
泥のように沈む罪悪感。
ウィル・ホーソン
あの時のまま、王子様のまま。
ウィル・ホーソン
誰も愛さずに、貴女だけを想っている。
ミュール
あの時のまま。
GM
あなたは前科を重ねてここまできた。
ウィル・ホーソン
貴女だけを愛している。あの時のままで。
ミュール
私は前科を重ねてここまできた。
ミュール
あなたが知っているのは、誰も殺さなかった私。
ミュール
あなたが知っているのは、犠牲になることを厭わない私。
ミュール
これは、本当に現実なの?
ウィル・ホーソン
「これは、本当に現実なのか…?」
ミュール
「!」
ウィル・ホーソン
「また、ミュールさんに会えるなんて。信じられない」
GM
あなたを強く抱きしめる感触と、救世主と救世主が殺し合うという事実。
GM
当然の道理として、これは魔女の攻撃でした。
ミュール
魔女は、魔女の仕業だとしたのなら。
うーちゃん
うさぎのぬいぐるみが、様子を伺うように耳を動かしている。
ミュール
“魔女は死ぬべきだ”。
ミュール
「ウィル、顔をよく見せて」
ミュール
腕を伸ばす。
ウィル・ホーソン
掻き抱いていた身体を、わずかに離す。
ウィル・ホーソン
その手を受け入れる。
ウィル・ホーソン
「ずっとこうしたかった」
ウィル・ホーソン
「もっと早く、こうしていればよかった」
GM
けれども、道理を理解したとしても、あなたの目が、手が、肌が、耳が。
GM
愛しい人だと認めて、それを抱きしめて離さない。
うーちゃん
…イチハ。
ミュール
都合が良すぎると、思った。
ミュール
だけど、
うーちゃん
イチハ、これは……
ウィル・ホーソン
「愛してる……」
ミュール
霧のせいで、視界と──頭が霞む。
ウィル・ホーソン
「愛してるんだ、ミュール」
ミュール
「………」
ミュール
こうして、体温に触れて。
ウィル・ホーソン
「もっと早く、貴女に伝えておけばよかった」
ミュール
焦がれていた声を聴いて。
ウィル・ホーソン
「最初から、貴女を愛することに、臆さなければ」
ミュール
望んでいたことが果たされる。
ウィル・ホーソン
「こんな風に孤独にさせる事も、なかったのに」
ミュール
「………あなたが殺したのよ」
ウィル・ホーソン
頷く。
ミュール
うさぎのぬいぐるみの声に、わずかに目を細めた。
ミュール
「でも、ウィル……」
ミュール
「私があなたを愛していても、」
ミュール
「あなたが私を愛していても、」
ミュール
「私の孤独は埋まらない」
ミュール
「ウィル……私はもう、人間じゃないのよ」
ミュール
「だから、ずっとひとりよ」
ウィル・ホーソン
「なんでもいい」
ミュール
「あなたの嫌いな化け物になったの」
ウィル・ホーソン
「幻だろうと、亡者だろうと、なんでもいい」
ウィル・ホーソン
「貴女が望むなら、僕がそうなってもいい」
ウィル・ホーソン
「幻でも、亡者でも、なんでも…」
ウィル・ホーソン
「もう、離さない」
ミュール
「馬鹿なことを云うものじゃないわ」
ウィル・ホーソン
再び、強く抱き締める。
ウィル・ホーソン
「貴女の為なら、間違ってもいいんだ」
ミュール
「私を殺して、生き延びたのに」
ミュール
「あなたは、あなたのまま生きて欲しいから」
ウィル・ホーソン
「いままでの何もかもを、ふいにしてしまってもいい」
ウィル・ホーソン
「僕が僕でなくなってしまってもいい」
ミュール
望んでいたはずだ。
ウィル・ホーソン
「貴女を愛している」
ミュール
こうして、抱き締められること。
ミュール
こうして、愛されること。
うーちゃん
イチハ。
うーちゃん
イチハ…
ミュール
わからない。
GM
この上ないすべてがここにあるというのに、何を求めるというのでしょう。
ミュール
ここにはすべてがあるかわりに、
ミュール
拒絶がない。
うーちゃん
ここにはすべてがあるかわりに、
うーちゃん
君が納得できるものもない。
ミュール
なまぬるい泥濘。
ミュール
進めば進むほどきっと足が絡まる。
ウィル・ホーソン
「一緒にいて」
ウィル・ホーソン
「ずっと、ずっと」
ウィル・ホーソン
「僕をもう、一人にしないで」
ミュール
*『魔女の』フェイダの孤独を抉ります
『魔女の』フェイダ
横槍をいれます。
『魔女の』フェイダ
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
『魔女の』フェイダ
2d6+4=>7 判定(+愛) (2D6+4>=7) > 10[4,6]+4 > 14 > 成功
『魔女の』フェイダ
1d6 (1D6) > 5
ミュール
*ティーセット使用します
ミュール
2d6+3-3=>7 判定(+愛) (2D6+3-3>=7) > 9[6,3]+3-3 > 9 > 成功
ミュール
「ずっと一緒になんて、叶わない」
ミュール
「そういうものでしょう」
ウィル・ホーソン
「……貴女が」
ミュール
「あなたが教えてくれたのよ」
ウィル・ホーソン
「僕にそれを、望んだのに」
[ 『魔女の』フェイダ ] HP : 13 → 12
GM
なんのために、ここまできたのか。
GM
それなのに、あなたは目の前の愛しい人を拒む。
ミュール
殺したのは、誰のため?
ミュール
ここまで来たのは、誰のため?
うーちゃん
王子様のためでしょ。
ミュール
それは全部全部、“自分の為”だ。
ミュール
ね、ナオ。
うーちゃん
なら、なおさら王子様のところにいかないと。
ミュール
じぶんの為。
うーちゃん
王子さまに会いにいこう。
ミュール
この汚れた手も、喪ったすべても。
ミュール
私があなたに会いたかったから。
ウィル・ホーソン
「どこに行こうと言うのです」
ミュール
あなたのせいじゃない。
ミュール
あなただけのためじゃない。
ウィル・ホーソン
「ずっと一緒に居られないと言うなら…」
ウィル・ホーソン
「一体、何処へ行くと言うんだ」
ミュール
本当に、彼はこんなことを云うのだろうか。
ウィル・ホーソン
「永遠が無いなら、作り出してしまえばいいよ」
ミュール
彼は、魔女の森に留まることを望むだろうか?
ミュール
彼は、永遠を望むのだろうか?
ウィル・ホーソン
「今度は間違えない。今度こそ」
ミュール
「永遠なんて、この国にはない」
ミュール
「私たちは30日に縛られた虜囚よ」
ミュール
「──だから、あなたのその願いはかなわない」
GM
たった30日を永遠にした、その逆しま。
GM
永遠は、30日で潰える。
ウィル・ホーソン
「どうして幸せになる事を拒むんだ」
ウィル・ホーソン
「僕も、君も」
ウィル・ホーソン
「本当の正しさや、真実なんてものは、突き詰めたところで、何かを救う事はない」
GM
*お茶会 ラウンド1 『魔女の』フェイダ2
ウィル・ホーソン
1d12 (1D12) > 4
GM
4:いつのまにか民家の寝室にいる。荒野を吹き抜けてぶつかってくる風と、それに小屋が揺すぶられる音。
GM
世界が姿を変える。
GM
そこは鄙びた村の、あなたが貸し与えられた民家の寝室です。
GM
30日間、あなたがたが過ごした寝室。
GM
愛を、交わした。
ウィル・ホーソン
乱暴に、ベッドに押し倒す。
ミュール
もう慣れてしまった。
ウィル・ホーソン
肩が上下して、熱い呼吸を繰り返している。
ミュール
いつか、あなたと過ごした日々で。
ミュール
こうしたこともあった。
ミュール
何度も、何度も。
ウィル・ホーソン
「永遠なんて無いことは、知っています」
ミュール
まるで、それをなぞっているみたい。
ウィル・ホーソン
「僕がいちばん後悔している事の、ひとつ」
ウィル・ホーソン
「あのまま騙し続けていればよかったのに」
ウィル・ホーソン
「30日の期限。どうしようもないこの世界のルール」
ウィル・ホーソン
「本当に、完璧に、隠し通してやればよかった」
GM
あるいは、すぐに村を出れば、可能性はありました。
ウィル・ホーソン
「僕は、本当の意味で、貴女を幸福にする事も、できたんだ」
ミュール
彼を睨む。
ウィル・ホーソン
「こんなちっぽけな正しさや、くだらない自尊心なんかで……」
ミュール
「私の幸福は、あなたが決めるものじゃない」
GM
あなたの辿ってきた道のりが、少なからず、ウィル・ホーソンの判断によって辿られたというのは真実。
ウィル・ホーソン
「貴女を、孤独にしてしまった」
ウィル・ホーソン
「貴女を、不幸にしてしまった」
ミュール
「それを後悔と呼ぶのね」
ミュール
「それを、不幸と呼ぶのね」
ウィル・ホーソン
「だって、ほら」
ウィル・ホーソン
「泣いている……」
ミュール
「これは呪い」
ミュール
「泣いていないわ」
ウィル・ホーソン
「泣いているよ」
ミュール
「………」
ウィル・ホーソン
口づける。
ミュール
諦めたように受け入れる。
ウィル・ホーソン
優しく、慰めるようなキス。
ミュール
この、彼には焼けつくような渇望と。
ウィル・ホーソン
熱を持った吐息が、唇から漏れる。
ミュール
溺れるような激情を感じない。
ウィル・ホーソン
「貴女は僕に我儘ばかり言うのに」
ウィル・ホーソン
「僕の我儘は、ちっとも聞いてくれないんだね」
ミュール
「いやよ」
ミュール
「だって、あなたは私がこうなったことを後悔と呼ぶのだもの」
ミュール
「私がここまでやってきたことを不幸と呼ぶのだもの」
ウィル・ホーソン
「不幸だよ」
ウィル・ホーソン
「後悔だ…」
ウィル・ホーソン
からだの輪郭をなぞり、首筋を舐めあげる。
ミュール
意思とは裏腹に、わずかに肩が跳ねる。
ミュール
刻まれた感覚も、記憶も、熱も。
ウィル・ホーソン
「貴女の身に、なにも恐ろしいものが、起きてほしくなかった」
ミュール
弾む吐息を呑み込む。
ウィル・ホーソン
「貴女を傷つけるようなものを、隣で退けてやりたかった」
ウィル・ホーソン
熱い吐息とともに吐き出されるのは、後悔と愛の告白。
ウィル・ホーソン
身体を重ねて、体温を交わらせる。
ミュール
「守られる、庇護されるのが、………、」
ミュール
「望んでいることだって、」
ミュール
ベッドが軋む。
ウィル・ホーソン
どこまでも優しい。
ミュール
そうじゃない。
ミュール
焦がれるような熱がない。
ウィル・ホーソン
あの、激しくお互いを求めた夜とは違う。
ウィル・ホーソン
それでも。
ミュール
でも、これが欲しかったんでしょう?
ミュール
あいしたひとに、抱き締めて欲しかったんでしょう?
ミュール
あいした人に抱かれて、愛してるって言って欲しかったんでしょう?
GM
そのすべてがある。
ウィル・ホーソン
「ここにずっといてくれれば」
ウィル・ホーソン
「貴女はもう、何かに傷つかなくて済む」
ウィル・ホーソン
「僕が守ってあげられる」
ウィル・ホーソン
「その涙を、拭ってあげられるのに」
ミュール
「硝子の靴だって、揃えてくれて」
ミュール
「馬車だって……用意してくれる」
ミュール
「そうでしょう?」
ウィル・ホーソン
幻の肉体でも、汗が浮かんで。
ミュール
気だるさの混じる甘い声。
ウィル・ホーソン
ひどく傷ついた顔をする。
ウィル・ホーソン
貴女に傷つけられた。
ウィル・ホーソン
幻であっても、貴女が傷つけた。
うーちゃん
ねえ。
うーちゃん
本当に、傷つかなくて済むのかな。
ミュール
いいえ。
ミュール
そんなことない。
ミュール
私は、あなたと傷つけあいたい。
ミュール
疵をつけ合って、愛し合いたいわ。
『魔女の』フェイダ
*ミュールの心の疵『砕けた硝子の欠片』を抉ります。
ミュール
*横槍します
ミュール
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
ミュール
2d6+2=>7 判定(+才覚) (2D6+2>=7) > 8[5,3]+2 > 10 > 成功
ミュール
1d6 (1D6) > 4
『魔女の』フェイダ
2d6+4-4=>7 判定(+愛) (2D6+4-4>=7) > 7[5,2]+4-4 > 7 > 成功
『魔女の』フェイダ
成功ですね。
[ ミュール ] HP : 21 → 20
[ ミュール ] HP : 21 → 20
[ ミュール ] ティーセット : 1 → 0
ミュール
もしかしたら、この幻の中ならきっと。
ミュール
私の握りしめたこの欠片は、きっと靴のまま。
ミュール
その姿を失うことも無かったのだろう。
ミュール
彼を抱きしめる。
ウィル・ホーソン
抱きしめられる。
ウィル・ホーソン
愛している。そうつぶやく。
ミュール
口付けて、視界を塞ぐ。
ミュール
わかっている、というような笑みを浮かべる。
ウィル・ホーソン
その舌を、身体を受け入れる。
ミュール
その裏で、うさぎのぬいぐるみに目配せする。
ウィル・ホーソン
間違いを受け入れる。
ミュール
……そこの、レイピア。
うーちゃん
わかったよ。
ミュール
こちらに寄せて。
うーちゃん
大丈夫。いっしょだよ。
ミュール
ええ。あなたがいてくれなかったらきっと。
ミュール
私はもういいと、諦めていたかもしれない。
うーちゃん
レイピアは重たい。
うーちゃん
そっと引き寄せる。
うーちゃん
だいじょうぶ。
ミュール
ぐっと体を寄せて。
うーちゃん
おれも一緒にいるからね。
GM
娼婦の方法。
ミュール
「こっちを見て、」
ミュール
「余所見をしないで……」
ミュール
「一緒に居てくれるんでしょう?」
ミュール
「一番近くにいて、」
ミュール
「私だけ見ていて」
ウィル・ホーソン
「見ているよ」
ウィル・ホーソン
「他の誰も愛さない」
ウィル・ホーソン
「貴女だけを愛している」
ミュール
背中に回した片腕を解く。
ウィル・ホーソン
「僕と、ずっと一緒にいて」
ミュール
「ええ、」
ウィル・ホーソン
「幸せになろう。間違った方法でも」
ミュール
引き寄せたレイピア。
ミュール
それは僅かに、青い燐光を散らして──
GM
凶器。人を殺すための道具。
ミュール
彼の首に突き立つ。
ウィル・ホーソン
愛している。
ミュール
えぐるように、力を入れる。
ウィル・ホーソン
口の中で呟く。
ミュール
「愛していた」
ミュール
「愛していたわ」
ウィル・ホーソン
吹き出す鮮血は、熱く。
ウィル・ホーソン
傷つけたくないとあれほど言っていたのに。
ウィル・ホーソン
あなたに傷を残す。
ミュール
何度繰り返すの。
GM
傷つくことを受け入れた今、あのときよりも遥かに、滑らかに、あなたはそれを行った。
ウィル・ホーソン
ぐらりと力を失い。
ミュール
何度こうして、誰かを殺すの。
ウィル・ホーソン
あなたにもたれかかる。
ウィル・ホーソン
愛している。
ウィル・ホーソン
愛している。
GM
罪を重ねずに生きてはいけない。
ミュール
でも、私に殺される程度のあなたなら。
ミュール
ずっと一緒なんて無理ね。
ミュール
罪を重ねずに生きてはいけない。
ミュール
そうなってしまった。
ミュール
そう生きてきたがために、
ミュール
そうするしかなくなった。
ミュール
うさぎのぬいぐるみを撫でる。
ウィル・ホーソン
痛みを知らない乙女として、膝の上でまどろんでいて欲しかった。
ウィル・ホーソン
そのままで。そのままで。
ウィル・ホーソン
そんなそのままも、元より無い。
ミュール
あなたが痛みを教えたのよ。
ミュール
そのままなんて何一つない。
ミュール
痛みを知らない乙女なんていなかった。
GM
時は片時も止まることなく、流れ続ける。
うーちゃん
撫でる手を握る。
GM
生きている限り、変わり続ける。
ミュール
時間は止まらない。
うーちゃん
おれが一緒にいるからね。
ミュール
今はこの瞬間も過去になり続ける。
うーちゃん
さあ、王子さまの所に行かなくちゃ。
ミュール
過去にしか希望がないなら、そんなもの死んだものと同じ。
ミュール
だったら、あの時もう起き上がらなければよかったのよ。
ミュール
そうじゃないなら、
ミュール
「行きましょう」
ミュール
進み続けるしかない。
うーちゃん
とっくに魔法が解けた日の、
何度目かの、12時の鐘が鳴る前に。
[ 『魔女の』フェイダ ] 孤独 : 0 → -1
[ ミュール ] 砕けた硝子の欠片 : 0 → -1
ミュール
この靴は、赤い靴。
ミュール
足を落とされるまで止まらない。
GM
亡骸が、あなたの身体に重くのしかかります。
GM
まだ体温を帯びていて、突き立てたレイピアからとくとくと、その熱が赤として流れ出ていきます。
GM
あなたはまた、独りになりました。
ミュール
頽れた亡骸を見下ろす。
ミュール
「愛していたのよ、ウィル」
ミュール
「私を傷つけられるあなたを」
ミュール
身支度をして、ベッドから下りる。
GM
ベッドから降りれば、あなたは再び森のなかにいました。
ミュール
木々のざわめく音。
ミュール
霧が覆う、景色。
GM
枯れ葉の中に、遺体が転がっています。
うーちゃん
ぺしぺしとお膝を払う。
GM
あなたの疵。あなたの罪。あなたの孤独。あなたの愛。
GM
それは偽りであろうとも、確かにあなたを愛するためにそこにあったもの。
ミュール
「愛しているわ、ウィル……」
GM
あなたを独りにしないための。
ミュール
うさぎを抱き上げる。
うーちゃん
きみは強くなったね。
ミュール
弱いままでは死んでしまうもの。
ミュール
迎えに来てほしいわけじゃない。
ミュール
私が、迎えに行くのよ。
うーちゃん
そうだよ。
うーちゃん
おれは、そんな君の力になりたいんだ。
GM
そうして歩き出すと、どういうわけか。
GM
森に立ちこめている霧が和らいでいきます。
GM
あなたは、
GM
あなたがたは、
GM
ウィル・ホーソンと、ミュールは。
GM
歩みを進めます。
ウィル・ホーソン
疲れ切った足取り。
GM
留まることを手放したなら、夢想を拒んだなら。
ウィル・ホーソン
腹を空かせた犬のような、孤独で、頼る場所もなく。
GM
当然、傷つかずにはいられませんでした。
ミュール
迷わない、靴音。
GM
それで傷つくからこそ、拒みました。
ウィル・ホーソン
重く引きずるように、前へ、前へ。
ウィル・ホーソン
このまま足を止められたなら、どんなに良いか。
GM
いまや痛みや苦しみを、傷つくことを自らの生に受け入れて、生きていました。
ミュール
足を止めない。
ウィル・ホーソン
でも。
ウィル・ホーソン
そうであれと、望まれたから。
ミュール
止められない。
ミュール
そうでありたいと、望んだから。
ウィル・ホーソン
声もなく、心が叫ぶ。
ウィル・ホーソン
愛している。
ウィル・ホーソン
愛している。
ウィル・ホーソン
会いたい。
ウィル・ホーソン
会いたい。
ミュール
愛している。
ミュール
会いたい。
GM
ふたりはもう一度、足音を聞く。
ミュール
あなたが、
GM
森の先で、濡れた落ち葉を踏み分ける音。
ミュール
──恋しい。
GM
枝を払いのける音。
GM
息づかい。
ウィル・ホーソン
いちずに、激しく。
ウィル・ホーソン
恋慕うひと。
ミュール
いちずに、激しく。
GM
薄らいだ霧の向こうに、人影が見える。
ミュール
こいねがう人。
ウィル・ホーソン
その歩みが、
ウィル・ホーソン
止まる。
GM
――お茶会、第1ラウンド終了。