GM
7:ミルク色の霧が立ちこめる森の中、二人の足音だけがある。
ミュール
霧に覆われた視界では、僅かな範囲しか確認できない。
うーちゃん
ぬいぐるみのやわらかい綿の音がそれに続く。
GM
霧は重たく、葉を踏み枝をかき分ける音を飲み込んでいきます。
GM
あなたの他に何もそこにいない、あなたは一人、とでもいうような。
ウィル・ホーソン
かつりかつりと、優雅な王子様の歩み。
GM
『魔女』の噂。離別した者との再会を叶える救世主の噂。
GM
あなたが死んだ理由であり、あなたが生きている理由。
GM
求めて、求めて、求めて、ここまであなたは来ました。
GM
半年。あなたは生きたいと思って生きました。その理由がありました。
ウィル・ホーソン
あなたの迷いなど振り切るように、
ウィル・ホーソン
誰も愛さずに、貴女だけを想っている。
ウィル・ホーソン
貴女だけを愛している。あの時のままで。
ミュール
あなたが知っているのは、誰も殺さなかった私。
ミュール
あなたが知っているのは、犠牲になることを厭わない私。
ウィル・ホーソン
「これは、本当に現実なのか…?」
ウィル・ホーソン
「また、ミュールさんに会えるなんて。信じられない」
GM
あなたを強く抱きしめる感触と、救世主と救世主が殺し合うという事実。
うーちゃん
うさぎのぬいぐるみが、様子を伺うように耳を動かしている。
ウィル・ホーソン
掻き抱いていた身体を、わずかに離す。
ウィル・ホーソン
「もっと早く、こうしていればよかった」
GM
けれども、道理を理解したとしても、あなたの目が、手が、肌が、耳が。
GM
愛しい人だと認めて、それを抱きしめて離さない。
ウィル・ホーソン
「もっと早く、貴女に伝えておけばよかった」
ウィル・ホーソン
「最初から、貴女を愛することに、臆さなければ」
ウィル・ホーソン
「こんな風に孤独にさせる事も、なかったのに」
ミュール
うさぎのぬいぐるみの声に、わずかに目を細めた。
ミュール
「ウィル……私はもう、人間じゃないのよ」
ウィル・ホーソン
「幻だろうと、亡者だろうと、なんでもいい」
ウィル・ホーソン
「貴女が望むなら、僕がそうなってもいい」
ウィル・ホーソン
「幻でも、亡者でも、なんでも…」
ウィル・ホーソン
「貴女の為なら、間違ってもいいんだ」
ミュール
「あなたは、あなたのまま生きて欲しいから」
ウィル・ホーソン
「いままでの何もかもを、ふいにしてしまってもいい」
ウィル・ホーソン
「僕が僕でなくなってしまってもいい」
GM
この上ないすべてがここにあるというのに、何を求めるというのでしょう。
『魔女の』フェイダ
Choice[猟奇,才覚,愛]
(choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
『魔女の』フェイダ
2d6+4=>7 判定(+愛)
(2D6+4>=7) > 10[4,6]+4 > 14 > 成功
ミュール
2d6+3-3=>7 判定(+愛)
(2D6+3-3>=7) > 9[6,3]+3-3 > 9 > 成功
[ 『魔女の』フェイダ ] HP : 13 → 12
GM
それなのに、あなたは目の前の愛しい人を拒む。
うーちゃん
なら、なおさら王子様のところにいかないと。
ウィル・ホーソン
「ずっと一緒に居られないと言うなら…」
ミュール
本当に、彼はこんなことを云うのだろうか。
ウィル・ホーソン
「永遠が無いなら、作り出してしまえばいいよ」
ミュール
彼は、魔女の森に留まることを望むだろうか?
ミュール
「──だから、あなたのその願いはかなわない」
ウィル・ホーソン
「どうして幸せになる事を拒むんだ」
ウィル・ホーソン
「本当の正しさや、真実なんてものは、突き詰めたところで、何かを救う事はない」
GM
4:いつのまにか民家の寝室にいる。荒野を吹き抜けてぶつかってくる風と、それに小屋が揺すぶられる音。
GM
そこは鄙びた村の、あなたが貸し与えられた民家の寝室です。
ウィル・ホーソン
肩が上下して、熱い呼吸を繰り返している。
ウィル・ホーソン
「永遠なんて無いことは、知っています」
ウィル・ホーソン
「僕がいちばん後悔している事の、ひとつ」
ウィル・ホーソン
「あのまま騙し続けていればよかったのに」
ウィル・ホーソン
「30日の期限。どうしようもないこの世界のルール」
ウィル・ホーソン
「本当に、完璧に、隠し通してやればよかった」
GM
あるいは、すぐに村を出れば、可能性はありました。
ウィル・ホーソン
「僕は、本当の意味で、貴女を幸福にする事も、できたんだ」
ウィル・ホーソン
「こんなちっぽけな正しさや、くだらない自尊心なんかで……」
ミュール
「私の幸福は、あなたが決めるものじゃない」
GM
あなたの辿ってきた道のりが、少なからず、ウィル・ホーソンの判断によって辿られたというのは真実。
ウィル・ホーソン
熱を持った吐息が、唇から漏れる。
ウィル・ホーソン
「貴女は僕に我儘ばかり言うのに」
ウィル・ホーソン
「僕の我儘は、ちっとも聞いてくれないんだね」
ミュール
「だって、あなたは私がこうなったことを後悔と呼ぶのだもの」
ミュール
「私がここまでやってきたことを不幸と呼ぶのだもの」
ウィル・ホーソン
からだの輪郭をなぞり、首筋を舐めあげる。
ウィル・ホーソン
「貴女の身に、なにも恐ろしいものが、起きてほしくなかった」
ウィル・ホーソン
「貴女を傷つけるようなものを、隣で退けてやりたかった」
ウィル・ホーソン
熱い吐息とともに吐き出されるのは、後悔と愛の告白。
ウィル・ホーソン
身体を重ねて、体温を交わらせる。
ウィル・ホーソン
あの、激しくお互いを求めた夜とは違う。
ミュール
あいしたひとに、抱き締めて欲しかったんでしょう?
ミュール
あいした人に抱かれて、愛してるって言って欲しかったんでしょう?
ウィル・ホーソン
「貴女はもう、何かに傷つかなくて済む」
ウィル・ホーソン
「その涙を、拭ってあげられるのに」
『魔女の』フェイダ
*ミュールの心の疵『砕けた硝子の欠片』を抉ります。
ミュール
Choice[猟奇,才覚,愛]
(choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
ミュール
2d6+2=>7 判定(+才覚)
(2D6+2>=7) > 8[5,3]+2 > 10 > 成功
『魔女の』フェイダ
2d6+4-4=>7 判定(+愛)
(2D6+4-4>=7) > 7[5,2]+4-4 > 7 > 成功
[ ミュール ] HP : 21 → 20
[ ミュール ] HP : 21 → 20
[ ミュール ] ティーセット : 1 → 0
ミュール
私の握りしめたこの欠片は、きっと靴のまま。
ミュール
わかっている、というような笑みを浮かべる。
ミュール
その裏で、うさぎのぬいぐるみに目配せする。
ミュール
ええ。あなたがいてくれなかったらきっと。
ミュール
私はもういいと、諦めていたかもしれない。
ウィル・ホーソン
「幸せになろう。間違った方法でも」
ウィル・ホーソン
傷つけたくないとあれほど言っていたのに。
GM
傷つくことを受け入れた今、あのときよりも遥かに、滑らかに、あなたはそれを行った。
ウィル・ホーソン
痛みを知らない乙女として、膝の上でまどろんでいて欲しかった。
ミュール
過去にしか希望がないなら、そんなもの死んだものと同じ。
ミュール
だったら、あの時もう起き上がらなければよかったのよ。
うーちゃん
とっくに魔法が解けた日の、
何度目かの、12時の鐘が鳴る前に。
[ 『魔女の』フェイダ ] 孤独 : 0 → -1
[ ミュール ] 砕けた硝子の欠片 : 0 → -1
GM
まだ体温を帯びていて、突き立てたレイピアからとくとくと、その熱が赤として流れ出ていきます。
GM
ベッドから降りれば、あなたは再び森のなかにいました。
GM
あなたの疵。あなたの罪。あなたの孤独。あなたの愛。
GM
それは偽りであろうとも、確かにあなたを愛するためにそこにあったもの。
GM
留まることを手放したなら、夢想を拒んだなら。
ウィル・ホーソン
腹を空かせた犬のような、孤独で、頼る場所もなく。
ウィル・ホーソン
重く引きずるように、前へ、前へ。
ウィル・ホーソン
このまま足を止められたなら、どんなに良いか。
GM
いまや痛みや苦しみを、傷つくことを自らの生に受け入れて、生きていました。