GM
それでは……みなさま準備はよろしいでしょうか。
ウィル・ホーソン
準備はできています。
ミュール
大丈夫です。
GM
それではよろしくお願いします。
ミュール
よろしくお願いします!
ウィル・ホーソン
よろしくお願いいたします!
GM
GM
二人の救世主がいました。
男と女、それぞれの名をウィル・ホーソンとミュールといいます。
二人は荒野で偶然出会い、30日間を共に過ごしました。
GM
最後の日、二人は荒野にて裁判を行い、ウィル・ホーソンはミュールを殺しました。
救世主が救世主を殺す。
それはよくあることです。
GM
しかし、ミュールは再び生きることを望みます。
想いは、あるいは妄執は届き、ミュールは立ち上がりました。
その生命の5分の4を亡者へとやつし、再び歩きだしました。
GM
ウィル・ホーソンに会うために。
GM
そのために、たったそれだけのために、どれだけを費やしたでしょうか。猟奇、才覚、愛。命とコイン、そして時間――。
GM
二人が一緒にいたのは、たった30日間。
GM
その何倍もの時間が、とうに過ぎ去りました。
GM
ウィル・ホーソン。
GM
あなたは堕落の国で大切な人を失いました。
GM
ある日、死者を蘇らせる力を持つ救世主の噂を耳にします。
GM
あなたは今、荒野を進んでいます。街道こそありませんが、道なき道ではありません。馬車の轍が残り、真っ直ぐ北へと続いています。
GM
「死者を蘇らせる力を持つ救世主が、これより北の森にいるという噂です。その救世主は、『魔女』と呼ばれています」
GM
「実際に再会出来たという人も、数多くおります。ああ、ちょうどそこにいるコックの末裔は、死んだ娘と再会することができたそうですよ」
GM
「おお、『魔女』の噂かい。魔女の力は本物さ。亡者に殺されたおれの娘と、北の森で再会することができたんだ。死んじまったなんてまるで悪い夢だったみたいに、一緒に楽しく暮らしているぜ」
GM
「そういえば、うちの向かいに越してきた白兎の末裔も、『魔女』の力を借りるためにきたそうです。初めて会ったときは浮かない顔をしていましたが、今ではすっかり元気そうです」
GM
あなたは今、荒野を進んでいます。
GM
ウィル・ホーソン。今に至るまで、あなたはどうやって過ごしてきましたか?
ウィル・ホーソン
そうですね。
ウィル・ホーソン
救世主を名乗る不遜な魔女どもの命を葬りながら、これまで生きてきましたよ。
ウィル・ホーソン
特に、変わった事があった訳ではありません。
ウィル・ホーソン
死にかける事も、まあ、何度か。ゆきずりで行動する事になった救世主に、共に旅をしないか提案された事も、一度くらいは。
ウィル・ホーソン
そんなくだらない馴れ合いに興味は無いので、丁重にお断りしましたが。
GM
しかし、あなたの姿は変わりました。六ペンスコインが30枚になったから、だけではないでしょう。
ウィル・ホーソン
そうでしょうね。
ウィル・ホーソン
ただ歩いているだけ、呼吸をするだけで、肺が、心の臓が、灼かれるように苦しいのです。
ウィル・ホーソン
しかし、なぜか止まることができない。
ウィル・ホーソン
鉄の踵は、荒野を進んでいく。
GM
目的地は北にあるという、『魔女』の住む森。
GM
ずいぶんと歩いてきましたが、森らしいものは見えてきません。いつもの曇天、辺り一面は砂と岩ばかりで、堕落の国のうんざりするほどありきたりな光景が続いています。
GM
強い風が吹き、砂塵を巻き上げました――。
GM
GM
ミュール。
GM
あなたは堕落の国で大切な人と離れ離れになりました。
GM
ある日、離別した者との再会を叶える救世主の噂を耳にします。
GM
あなたは今、荒野を進んでいます。街道こそありませんが、道なき道ではありません。馬車の轍が残り、真っ直ぐ南へと続いています。
GM
「離別した者との再会を叶える救世主が、南の森にいるという話よ。その救世主は、『魔女』と呼ばれているの」
GM
「私も、私を置いていってしまった母と再び出会えたの。この村には、『魔女』様に願いを叶えてもらった末裔が多く住んでいるわ」
GM
「あそこで荷車を引いているおじさんは、確か死んだ妻と再会したとか。そう、『魔女』様の力は、相手が生きていても、死んでいても構わないの。心から会いたいと思えば、どんな人とも再会できる」
GM
「嘘だと思うなら、試してみれば?」
GM
あなたは今、荒野を進んでいます。
GM
ミュール。今に至るまで、あなたはどうやって過ごしてきましたか?
ミュール
ウィルと離れて、しばらく。
ミュール
あの、暗い部屋にいた。
ミュール
誰かとそこで、時を過ごして。
誰かのコインをそこで奪った。
ミュール
『……きっと怒ったり、してないよ』
ミュール
『きみはすごくかわいい子』
『みんなに愛される子だよ』
ミュール
『きみの王子様にだって……』
ミュール
誰かが、そう。
ミュール
私の、ふわふわのかいぶつが、
ミュール
そう言った、
ミュール
──血を零す唇で。
ミュール
それからはもうずっと、ずうっと。
ミュール
彼の姿を、名前を探して回って。
ミュール
手掛かりなんて無くても、何処にも影が見えなくてもやめることなんて出来なかった。

そして、ついでのように救世主を殺めた。
一人殺せば、もう全部同じだった。
血の温度も、悲鳴も、もう見慣れてしまった。

そして、危機に陥ること。打開することにも。
ミュール
なぜか止まることができない。
ミュール
赤い靴は荒野を進む。
ただ、彼に会いたい──それだけで。
GM
目的地は南にあるという、『魔女』の住む森。
GM
ずいぶんと歩いてきましたが、森らしいものは見えてきません。いつもの曇天、辺り一面は砂と岩ばかりで、堕落の国のうんざりするほどありきたりな光景が続いています。
GM
強い風が吹き、砂塵を巻き上げました――。
GM
GM
風はすぐにやみましたが、視界は白く霞んでいます。
GM
それは砂塵ではなく、霧です。
GM
ミルク色の濃い霧が、辺りを覆いつくしています。冷たく、重く、静けさへと沈む霧の中に、あなたはいます。
GM
狼狽と共に一歩でも足を踏み出せば、さらに気がつくことでしょう。足元は砂や岩ではなく、柔らかく湿った土。そして濡れた落ち葉。視界を阻むのは霧ばかりではなく、無数の木立です。
GM
あなたは霧の中、そして森の中にいます。さきほどまで荒野にいたはずですが、砂も岩も曇天もなく、深い霧の立ちこめる森の中にあなたはいます。
GM
そして向こうから足音が近づいてきます。ゆっくりと、歩く速さで、あなたの元へ。
GM
GM
GM
GM
Dead or AliCe
『I Miss You.』
――あなたが恋しい。
GM
GM
GM
GM
これより、お茶会に入ります。
GM
このセッションでは、特殊なMODが使用されています。
GM
●お茶会MOD『Phantom』
GM
PKが心の疵を抉るとき、また抉られるとき、代わりにPLがロールするMODです。ロールだけであり、データはPKが心の疵を抉ったものとして処理されます。ラウンド2より、PKの心の疵をすべて●であるとき、このMODは無効化されます。
GM
心の疵が力を持ち、現実になるこの世界において、目の前の愛しき人は本当にただの幻影でしょうか。いっそ正気を失い、疑うことを忘れてしまえば幸せになれるのでしょうか。
GM
●お茶会MOD『別行動』
GM
合流するまで別行動となるMODです。合流するまで、PC1とPC2は互いの心の疵に触れること、互いを対象とした行動に横槍をいれること、宝物を融通することができません。代わりに、自分を対象にした行動に横槍をいれることができます。
ラウンド2より、PKの心の疵をすべて●であるとき、合流することができます。
GM
これより、ふたりは魔女の生み出すphantomに出会います。
GM
幻影、亡霊。それを打ち破ることで、二人は出会うことができるでしょう。
GM
そうした偽りで心が満たされるというのなら、出会わなくてもよいのですから。
GM
●お茶会MOD『PKお茶会強化』
GM
PKの行動がダイスの出目に左右されづらくなるMODです。PKがお茶会で判定を行ったあと、〔最大HP/10(最大4)〕点減少させることで、2d6の出目を7に変更できるようになります。
GM
GMの絶対にえぐりたい、という気持ちが前面に押し出されたMODです。
GM
ラウンド1のシーンについては、ウィル・ホーソン、PK(ウィル・ホーソンの心の疵を抉ります)、ミュール、PK(ミュールの心の疵を抉ります)と行動します。
GM
またこのシナリオには、シーン表がございます。
GM
The Inquisitor and the Witch シーン表1d12
1:いつのまにか荒野にいる。ありふれた光景に見えるが、何故かあなたにはわかる。二人が初めて出会った場所だ。
2:いつのまにか辺鄙な村にいる。二人が30日間を過ごしたあの村だ。
3:いつのまにか寂れた教会にいる。少女を象った像には、荒野から吹いてきた砂塵が積もっている。
4:いつのまにか民家の寝室にいる。荒野を吹き抜けてぶつかってくる風と、それに小屋が揺すぶられる音。
5:いつのまにか暗く、小さく、湿った部屋にいる。薄汚れた娼館の一室だ。
6:ミルク色の霧が立ちこめる森の中、二人の足音だけがある。
7:ミルク色の霧が立ちこめる森の中、二人の足音だけがある。
8:ミルク色の霧が立ちこめる森の中、二人の足音だけがある。
9:いつのまにか街にいる。賑やかな通りに店が建ち並ぶ。二人で歩いたことはないはずの街だ。
10:いつのまにか店にいる。靴、リボンに洋服。着飾るものが並んでいる。
11:いつのまにか店にいる。その店の名物はシフォンケーキで、香ばしい匂いがする。
12:ホワイトアウト。霧が深くなり、すぐそこにあるはずのものさえ、触れなければ確かめられない。
GM
各シーンのプレイヤーは手番の開始時、1d12か、あるいは選択してシーンを開始してください。
GM
ここで、PKのデータを公開します。
GM
*お茶会 ラウンド1 ウィル・ホーソン
ウィル・ホーソン
1d12 (1D12) > 2
GM
2:いつのまにか辺鄙な村にいる。二人が30日間を過ごしたあの村だ。
ウィル・ホーソン
歩く。歩く。歩き続ける。
ウィル・ホーソン
湿った落ち葉を踏むと、じゅうと焦げたにおいがする。
ウィル・ホーソン
進む。進む。進み続ける。
ウィル・ホーソン
気がつくと、そこは。
GM
霧の向こうから、現れる。
ウィル・ホーソン
これまで、闇雲に進み続けてきた。意味も意思も見出だせず、亡者のようにゆくあてもなく。
ミュール
木々をけむらせ、視界を塞ぐ霧の向こう。
ウィル・ホーソン
ただ乾き、痛み、熱い喉を潤すために、ありもしない蜜を探し続けた。
ウィル・ホーソン
その歩みが今、
ウィル・ホーソン
止まる。
ミュール
なつかしい、青い光。
ミュール
青い光が、彼の前を照らす。
ミュール
そして、その青い光を辿れば、
ウィル・ホーソン
青い燐光が視界にちらつく。
ミュール
 
ウィル・ホーソン
あかりに誘われる蛾のように、追う。
ミュール
──赤い靴。
ウィル・ホーソン
ふわふわと浮くような、まどろみのように思える大地。
ウィル・ホーソン
今、自分が右足を踏み出したかどうかも定かではない。
ウィル・ホーソン
溺れるような湿度のなかで、息を飲む。
ウィル・ホーソン
「……」
ウィル・ホーソン
「ミュール」
ミュール
彼の目の前で、靴は止まった。
ウィル・ホーソン
その名前を呼ぶのは、ほんとうに、ほんとうに
ウィル・ホーソン
久しぶりだ、と思った。
ミュール
見たことのある/殺したことのある、
ミュール
愛したことのある/害したことのある、
ミュール
姿がそこにある。
ウィル・ホーソン
「ミュールさん」
ウィル・ホーソン
立ち尽くす。
ミュール
「──ウィル、ウィル」
ウィル・ホーソン
止まり木をなくしたカナリヤ。
ウィル・ホーソン
僕もそうなってしまったよ。
ミュール
あわく名前を呼ぶ声。
ミュール
止まり木をなくしたカナリヤ。
ミュール
はたして、そのあとは?
ウィル・ホーソン
曰く、この森には、魔女がいるとか。
ミュール
曰く、この森には、魔女がいるとか?
ウィル・ホーソン
魔女は、死者を蘇らせる、くだらない力を持っているとか。
ミュール
女は微笑むだけ。
ウィル・ホーソン
名前を呼ばれてはじめて、
ウィル・ホーソン
あの美しいソプラノを、殆ど忘れかけていた事に気付いた。
ウィル・ホーソン
忘れないと、何度も反芻して、痛いほど刻みつけていたのに。
GM
忘れてしまうころには、忘れてしまったことさえ忘れてしまうもの。
ミュール
ひとは、声から記憶を失っていく。
ミュール
それほど、時が経ったのだ。
ウィル・ホーソン
油をさし忘れた玩具のような足が、よろつきながら、一歩踏み出す。
ウィル・ホーソン
己の中で止まった時間が、再び流れ出すような心地。
ウィル・ホーソン
『これは罠だ』
ミュール
手を差し出す。
ウィル・ホーソン
『魔女の、くだらない、罠』
ウィル・ホーソン
『死んだ女が蘇るなんて事はありえない』
ウィル・ホーソン
『ウィル・ホーソン。僕は何度間違えたら気が済むのです』
GM
救世主と救世主は殺し合うもので、相手の心の疵に触れることならばなんでもするのが救世主です。
GM
これは攻撃。
ウィル・ホーソン
とっさに黒く煤けた右手で掴もうとして、やめる。
ミュール
「………」
ミュール
「ウィル……」
ミュール
手を下ろす。
GM
黒く煤けた右手は、あるだけで霧を溶かしています。水の粒である霧が、右手の帯びる高熱によって水蒸気に戻り、透明になるためです。
ウィル・ホーソン
恋しいと鳴くカナリヤ。
ミュール
恋しいと鳴くカナリヤ。
ウィル・ホーソン
左手でもって、抱き寄せる。
ミュール
「!」
ミュール
安堵したような笑み。
ウィル・ホーソン
「ミュール」
ウィル・ホーソン
「ミュールさん」
ミュール
「ウィル」
ウィル・ホーソン
「ミュール……」
ミュール
「……会いに来て、くれたの?」
ウィル・ホーソン
「会いたかった」
ミュール
やわらかく歌うようなソプラノ。
ミュール
「会いたかった」
ミュール
なぞるように、同じ言葉。
ウィル・ホーソン
焦がれる熱をこらえて、思い切り抱きしめる。
ウィル・ホーソン
やわらかい女の形。
GM
見て、聞いて、話して、触れる。
ウィル・ホーソン
あの日々とまったく、変わる事のない体温。
ウィル・ホーソン
僕ばかりが取り残されてしまった。
GM
形があり、温度があり、湿度があり、質感があり、動きがある。
ミュール
長い時の中が経っても変わりはしない?
ウィル・ホーソン
あの時間から切り離されて、しがみつく事もできずに、壊れて。
ミュール
これは、あの時で時を止めたから?
ミュール
形があり、温度があり、湿度があり、質感があり、動きがある。
ウィル・ホーソン
「僕が貴女を殺してしまった」
ウィル・ホーソン
「その時に、僕も一度死んだのです」
ミュール
「ずっと、愛している」
ミュール
「だから、あれでよかったの」
ミュール
「あなたの明日が来るのなら」
ミュール
「私の明日なんて要らなかった」
ウィル・ホーソン
囀る唇を、噛みつくように奪う。
ウィル・ホーソン
貪るように口づける。
ミュール
次ごうとした言葉を、吐息ごと塞がれる。
ミュール
いつか、触れ合った時のように。
ミュール
その記憶と寸分の狂いもなく。
GM
そのときのことを思い出すかのように、世界が形を変える。
GM
会いたいという思いが目の前の想い人を作るように。
GM
あのときの村にいる。
GM
2:いつのまにか辺鄙な村にいる。二人が30日間を過ごしたあの村だ。
ウィル・ホーソン
「愛してる」
ミュール
「愛してる」
GM
ただ、ミルク色の霧が薄く掛かっています。夢であるかのように。
ウィル・ホーソン
いちど、番わせておくのです。
ウィル・ホーソン
そうして、片方を引き離す。
ミュール
その声と共に、景色が荒野にかえる。
ミュール
いちど、番わせておくのです。
ミュール
そうして、片方を引き離す。
ウィル・ホーソン
『あの人はどこ? どこへ行ってしまったの?』
ウィル・ホーソン
ここにいるはずもない。
ウィル・ホーソン
ここにいるはずもないんだ!
ウィル・ホーソン
「愛してる」
ミュール
『恋仲を引き裂かせた小鳥は』
ミュール
「愛しています」
ウィル・ホーソン
魔女は死ぬべきだ。
ミュール
『恋人を求めて、毎晩、美しい声で囀る』
ウィル・ホーソン
「好きだ、ミュール…」
ウィル・ホーソン
熱い吐息が混じり合う。
ミュール
「ええ……だから、会いに来てくれたのでしょう」
ミュール
熱も冷めぬまま、女は笑む。
ミュール
「探してくれた?」
ウィル・ホーソン
「探したんだ」
ウィル・ホーソン
「僕は、とても愚かになってしまった」
ウィル・ホーソン
「手にはいらないと知りながらそれを求める事程、馬鹿な事はない」
ウィル・ホーソン
「頭がどうにかなりそうだ」
ウィル・ホーソン
いまだに。
ミュール
「私の為に、間違えて」
ウィル・ホーソン
「それじゃあ、ミュールさん。僕は…」
ミュール
「咎めなければ、罪にはならないのよ」
ウィル・ホーソン
「ここで貴女と一緒に死んだほうが、良いんだろうか」
ウィル・ホーソン
*えぐります 喪失で
GM
横槍します。
『魔女の』フェイダ
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
『魔女の』フェイダ
2d6+1=>7 判定(+猟奇) (2D6+1>=7) > 7[2,5]+1 > 8 > 成功
『魔女の』フェイダ
1d6 (1D6) > 2
『魔女の』フェイダ
ヤリイカエリートを使います。
[ 『魔女の』フェイダ ] ヤリイカエリート : 1 → 0
[ 『魔女の』フェイダ ] HP : 14 → 13
『魔女の』フェイダ
合計5点のマイナス修正で、判定してください。
ウィル・ホーソン
*ティーセット使用
[ ウィル・ホーソン ] ティーセット : 1 → 0
ウィル・ホーソン
2d6+4+2-5=>7 判定(+猟奇) (2D6+4+2-5>=7) > 11[5,6]+4+2-5 > 12 > 成功
ウィル・ホーソン
「貴女はそれで良いと言う訳がない」
ウィル・ホーソン
「……そうだよね?」
ミュール
「あなたはいつも正しい……」
ウィル・ホーソン
「間違えさせてくれないだけだ、貴女が」
ウィル・ホーソン
「僕を狂うだけ狂わせておいて…」
ミュール
女は笑む。
ウィル・ホーソン
「好きだよ」
ウィル・ホーソン
「愛してる」
ウィル・ホーソン
今度は、やさしく口づける。
ミュール
「愛してる」
ウィル・ホーソン
たわむれのように、愛おしくてたまらない、というように。
ウィル・ホーソン
震える唇。
ミュール
女はそれに応える。
ミュール
緩く、もたれ掛かるように身を寄せた。
ウィル・ホーソン
受け止める。
ミュール
「ウィル」
ウィル・ホーソン
「なんでしょう」
ミュール
「……愛してる」
ウィル・ホーソン
「うん」
ミュール
繰り返したやり取り。
ミュール
数えきれないほどに。
ウィル・ホーソン
「貴女の愛を、疑った事はありませんよ」
ウィル・ホーソン
「もう、ずっと、ずっと……」
ウィル・ホーソン
そっと身体を離して、
ウィル・ホーソン
手の甲にも口づける。
ミュール
「でも、あなたは……」
ミュール
「貴女はそれで良いと言う訳がない、と言った」
ウィル・ホーソン
「うん」
ミュール
「哀しいわ、ウィル……」
ウィル・ホーソン
「胸にぽっかりと穴が開いて」
ウィル・ホーソン
「もう塞がる事がないんだ」
ウィル・ホーソン
「ここにずっと居られたなら、どんなに幸福な事だろうと思う」
ウィル・ホーソン
「だから、ここに居ることは……できない」
ミュール
「………」
ウィル・ホーソン
「貴女が望まないでしょう、そんな事は」
ウィル・ホーソン
頭がおかしくなりそうだ。
ウィル・ホーソン
心が張り裂ける。
ミュール
「行ってしまうの?」
ウィル・ホーソン
身体の中の熱く焦げた感情が、臓腑を灼いていく。
ミュール
「あの時の約束が、まだあなたを縛っている」
ウィル・ホーソン
「縛っているよ」
ミュール
「“もう誰も愛さないで”」
ウィル・ホーソン
「貴女が呪ったから」
ミュール
「私が呪ったから」
GM
*お茶会 ラウンド1 『魔女の』フェイダ1
ミュール
1d12 (1D12) > 10
GM
10:いつのまにか店にいる。靴、リボンに洋服。着飾るものが並んでいる。
GM
世界が移ろいゆく。
GM
品の良い調度品が並ぶ、高級店という佇まいの衣料品店です。
GM
ふたりが出会って過ごした村は、辺鄙な村。
GM
他に救世主など訪れることのないような。
GM
こんな上等な店は、大きな街にしかありえない。
GM
こんな、プレゼントを選ぶのにうってつけの店は。
GM
だからこれは、ありえなかった世界です。
ミュール
彼を導くように、道を進んでいると。
ミュール
景色が変わる。
ミュール
それを全く意に介した様子もなく、
ミュール
女はその店を指で差す。
ウィル・ホーソン
息を飲む。
ミュール
いきましょう、と笑った。
ウィル・ホーソン
ひどく疲れた顔をする。
ウィル・ホーソン
そのあとに、ただ、微笑む。
ミュール
だから、足を止めない。
ウィル・ホーソン
目を伏せて、ついていく。
ミュール
扉を開けて、商品を確認する。
ウィル・ホーソン
仲睦まじいふたりの姿。
ミュール
仲睦まじいふたりの姿。
ウィル・ホーソン
あの村では、お似合いですね、なんて言われもした。
ミュール
何も無かったようだ。
ミュール
裁判も、分かたれた日々も。
ウィル・ホーソン
先程、ここには居られないと言ったばかりなのに。
ウィル・ホーソン
いまだに囚われている。
ミュール
ああでもないこうでもないと、
ウィル・ホーソン
「貴女が何が好きなのか、わからない」
ミュール
色々なものを見ている。
ウィル・ホーソン
「貴女が喜びそうなものがわからなくて」
ミュール
綺麗な赤い靴を手に取る。
ミュール
「じゃあ、ひとつひとつ」
ウィル・ホーソン
赤色。
ミュール
「知って行って」
ウィル・ホーソン
荒れ地に向かないヒールの靴。
ミュール
「ここで、私と一緒に」
ミュール
荒れ地に向かないヒールの靴。
ウィル・ホーソン
あえぐように笑った。
ミュール
「ひとりだと、また足をくじいてしまうかもしれないから」
ミュール
「あなたがいないと、困るわ……」
ウィル・ホーソン
「そうだね」
ミュール
囁くように告げて、照れたように笑う。
ウィル・ホーソン
「ほんと、あの演技は見ものだった。いつまで経っても、足を痛めているふりをして」
ウィル・ホーソン
「それに付き合ってやっていた、僕も僕だけれど…」
ミュール
「あなたが私に甘いのよ、ウィル」
ウィル・ホーソン
リボンを手に取る。
ウィル・ホーソン
戻す。
ウィル・ホーソン
腕輪を手に取る。
ウィル・ホーソン
戻す。
ウィル・ホーソン
「甘やかしていたんですよ」
ミュール
「ええ……」
ミュール
「だから、これからも」
ミュール
「ずっと一緒に居ましょう」
ウィル・ホーソン
目を伏せる。
ウィル・ホーソン
「こういう店を見かけると、つい入ってしまうんだ」
ウィル・ホーソン
「貴女に靴くらい、買ってやればよかったって」
ウィル・ホーソン
「リボンくらい、花くらい…」
ウィル・ホーソン
左の手のひらを開く。
ウィル・ホーソン
煤けた指輪がひとつ、光っている。
ミュール
「リボンも、花も、靴も……」
ミュール
「お姫様のためのものだから」
ウィル・ホーソン
「僕は馬鹿になってしまった」
ウィル・ホーソン
「もう居もしない女の為に、指輪を買うくらいには」
ウィル・ホーソン
「誰も愛してはいけない、と、貴女は言った」
ミュール
「ええ」
ウィル・ホーソン
「貴女以外、誰も愛してはいけないと」
ウィル・ホーソン
あえぐように笑う。
ミュール
「ええ、」
ミュール
「もう誰も愛さないで」
ミュール
「だから、一緒に居ましょう」
ミュール
「永遠があるわ、ここには……」
ミュール
「離れたくないの」
ウィル・ホーソン
「僕も離れたくない」
ウィル・ホーソン
「ここにずっと居たい」
ウィル・ホーソン
「どうすればいい?」
ウィル・ホーソン
「ここで一緒に死ぬ事なんて、できない」
ウィル・ホーソン
「どうすればいいんだ?」
ミュール
「大丈夫よ」
ミュール
「私はあなたを愛しているもの」
『魔女の』フェイダ
*ウィル・ホーソンの心の疵『焦がれる』を抉ります。
ウィル・ホーソン
*横槍します。
[ ウィル・ホーソン ] HP : 21 → 20
ウィル・ホーソン
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
ウィル・ホーソン
2d6+1=>7 判定(+愛) (2D6+1>=7) > 6[4,2]+1 > 7 > 成功
ウィル・ホーソン
1d6 (1D6) > 2
ウィル・ホーソン
*ヤリイカ使用。
[ ウィル・ホーソン ] ヤリイカ : 1 → 0
『魔女の』フェイダ
2d6+4-4=>7 判定(+愛) (2D6+4-4>=7) > 10[6,4]+4-4 > 10 > 成功
『魔女の』フェイダ
成功ですね。
ウィル・ホーソン
「この優しい嘘の中にいる事を選べれば」
ウィル・ホーソン
「どんなに良いだろう」
ミュール
「一緒に居ましょう」
ウィル・ホーソン
「貴女が貴女以外を愛するなと」
ウィル・ホーソン
「…そう、言ったんですよ」
ミュール
「ええ、そうよ……」
ウィル・ホーソン
「苦しいんです」
ウィル・ホーソン
指輪が手の中に隠されて、見えなくなる。
ミュール
それを見送る。
ウィル・ホーソン
「胸の中に消して消えない炎があって、それが絶えず、僕の身体を内側から焼くのです」
ウィル・ホーソン
「何をしても、けして消えることはない。癒えることもない」
ウィル・ホーソン
「今この瞬間も」
ミュール
「こんなに、そばにいるのに……」
ミュール
わずかに咎めるような声色。
ミュール
「大丈夫よ、ウィル……」
ミュール
「ここにいるわ」
ウィル・ホーソン
「喉が乾いてたまらない。満たされることがない。腹を空かせた犬のように、この堕落の国を、歩き続ける事しかできない」
ウィル・ホーソン
「ここにいない」
ミュール
「ここにいるわ」
ウィル・ホーソン
「ここにいないんだ」
ミュール
「……すぐ、そばにいるわ」
ミュール
「あなたの触れられる距離に」
ウィル・ホーソン
左手で抱き寄せる。
ミュール
「あなたの触れたいときに」
ウィル・ホーソン
炎そのもののような、熱い指先。
ウィル・ホーソン
貴女を傷つけ、破壊する手。
ミュール
「温かい」
ミュール
けれどもそれを、拒みはしない。
ミュール
そういうふうにできている。
ウィル・ホーソン
掻き抱く。乱暴に、いつかのように。
ミュール
あなたのであった、この女は。
ウィル・ホーソン
最期のあの時のように。
ミュール
小さく笑った。
ウィル・ホーソン
「愛してる」
[ ウィル・ホーソン ] 焦がれる : 0 → -1
[ 『魔女の』フェイダ ] 喪失 : 0 → -1
ミュール
『愛してる』
ウィル・ホーソン
貴女だけを愛してる。
ミュール
あなただけを、
ミュール
「愛しています」
ウィル・ホーソン
嘘だらけの世界で、貴女が言った言葉だけが真実。
ミュール
嘘だらけの世界で、あなただけが正しい。
ミュール
では、この景色は一体何なのだろう。
ウィル・ホーソン
眼の前の女は、貴女だ/貴女じゃない
ウィル・ホーソン
噛みつくように口づける。
ウィル・ホーソン
唇すらも、舌すらも、熱く、抉っていく。
ウィル・ホーソン
傷つけて、壊しながら、震える。
ミュール
それを喜ぶように、女は笑った。
ウィル・ホーソン
泣いている。
ミュール
泣いていない。
ウィル・ホーソン
肋骨を潰し、舌を噛みちぎる。愛している、と血のあぶくの中でもがくように言う。
ミュール
砕ける音、壊れて崩れゆく。
ミュール
いつかと同じ。
ミュール
赤い唇は、さらに赤く。
ウィル・ホーソン
一緒に死んでやる事ができない。
ミュール
伏せた瞼は硬く凍る。
ウィル・ホーソン
偽物だって良かったじゃないか。
ウィル・ホーソン
たった一言。
ウィル・ホーソン
貴女が運命だと。
ウィル・ホーソン
そう言ってやれば、それで済んだのに。
GM
気付けば、森の中にいます。
GM
夢から醒めるように、ミルク色の霧の中、森の中。
GM
一人。
ウィル・ホーソン
喉を焼くような呼吸を繰り返す。
ウィル・ホーソン
みっともなく。
GM
そして濡れた落ち葉の中に、ミュールの亡骸がある。
ウィル・ホーソン
愚かに。
ウィル・ホーソン
泣いている。
GM
焦げた臭い、血、体液。煤、煙。
GM
あなたは、確かにあの日、喪失しました。
GM
それを甘い夢想で埋めることはできませんでした。
GM
身を焦がす苦しみが現実であり、真実であり、愛でした。
GM
ウィル・ホーソン。
GM
あなたは一人、泣いています。
GM