GM
*裁判開廷
GM
*裁判MOD『あなたを受け入れる』より、イチハは行動順を決定してください。
GM
裁判MOD『あなたを受け入れる(PC1)』
PC1が行動順を決定できるようになります。またPC1は初めの手札を15枚引くことができます。(手札の上限は5枚で変わりません。引いたのち、5枚まで減らしてください)
PC1が終わらせると決めたとき、それが裁判開廷の合図です。
イチハ
*先で
GM
*裁判 ラウンド1
GM
手札をどうぞ。
ナオ
*h5 c5 h8 cK sA
イチハ
*h2 h4 h10 hQ hK
GM
*イチハはハートを5つ集め、切り札『変転』を獲得。
GM
*裁判 ラウンド1 イチハ
イチハ
*h4 攻撃 対象はナオ
イチハ
*h10 精確
ナオ
妨害はしません。
イチハ
1D6 (1D6) > 3
イチハ
2d6+1+3+1=>7 判定(+猟奇) (2D6+1+3+1>=7) > 9[4,5]+1+3+1 > 14 > 成功
GM
ダメージは素手の2点に加え、殺意、発狂、看破が乗るため、6点ですね。
[ ナオ ] HP : 15 → 9
ナオ
両腕を開いて待っている。
イチハ
はじまりの鐘が鳴る。
イチハ
受け取ったレイピアを、
イチハ
構える。
ナオ
ぼおん、ぼおん、ぼおん。
ナオ
怖い。
ナオ
死にたくないに決まってるだろ。
ナオ
一緒に行けるなんてほんとうに思ってるわけない。
ナオ
死んだら死ぬ。そこで終わりだ。
イチハ
「最初から、あなたと出会った時から」
イチハ
「こうなる運命だった」
イチハ
「いいえ、」
イチハ
「その先にあなたを選んだのは──」
イチハ
「他でもない私」
ナオ
「運命なんて信じてたの?」ささやく。
イチハ
「運命だって、思ってくれる?」
ナオ
恐怖を感じ取られることのないように。
イチハ
怖いって、泣いてよ。
ナオ
「違うよ」
イチハ
私が、悪いことをしているのだって。
イチハ
私に教えてよ。
ナオ
「おれがきみを選んだの」
ナオ
「きみが良いっておもったの」
イチハ
「その結果が」
イチハ
レイピアを、
イチハ
突き刺す。
ナオ
「……っ」
イチハ
「ずっと、ずっと。」
イチハ
「片想いのまま、」
イチハ
「あなたはこうして……」
ナオ
まだ急所じゃない。
イチハ
「私の糧になるの」
ナオ
まだ笑ってられる。
イチハ
唇を歪める。
ナオ
おれは狂ってる。
GM
鮮血がベッドを濡らしました。
ナオ
こんなのとても正気とはいえないな。
ナオ
ばかすぎるよ。
イチハ
莫迦みたい。
イチハ
……どうして、
イチハ
まだ、
ナオ
「いっしょにいくんだよ」
イチハ
わらうの。
イチハ
「あなたとなんて」
イチハ
「何処にだって行けないわ」
ナオ
そのまま、抱きしめる。
イチハ
それを拒めない。
ナオ
いつもみたいに。
イチハ
赤い血が、肌を濡らす。
ナオ
「大丈夫でしょ?」
イチハ
莫迦みたい。
GM
風の吹かない部屋には血の匂いがこもる。
イチハ
莫迦みたいよ。
ナオ
「連れていってくれるんでしょ?」
イチハ
「私が?」
イチハ
血に濡れた指を絡める。
イチハ
いつもみたいに。
ナオ
握り返す。
ナオ
おれは笑っていられてるかな?
GM
駄目よ。
イチハ
「ひとりじゃ何処にも行けないわ。」
GM
ちゃんと、一思いに殺さないと。
ナオ
「一緒だからどこにでもいけるね」
イチハ
「手を引いて。」
イチハ
胸が詰まる。
イチハ
どうして、
ナオ
「きみをひとりにしたりしない……」
イチハ
どうして。
ナオ
「逃げようと思えば、おれはいつだって」
ナオ
「逃げられたんだよ」
GM
難しいことなんて何もなかったのよ。
ナオ
「きみをひとりになんてしないよ」
イチハ
「どうして逃げなかったの。」
GM
わかっているはず。
イチハ
「どうして、拒まないの」
ナオ
「きみのうそがへたすぎるから」
GM
わかっているはず。
ナオ
「きみはすごくかわいい子」
イチハ
「………ばかね、」
ナオ
「みんなに愛される子だよ」
イチハ
「ほんとうに、あなたは、」
イチハ
「ばかだわ……」
ナオ
「きみの王子様にだって……」
イチハ
王子様。
イチハ
あなたじゃない、王子様。
ナオ
「ばかかも……」
イチハ
私の空っぽを埋めて。
イチハ
私を殺して去って行った。
ナオ
「でもさ、賢いつもりだったんだよおれ」
ナオ
「テストとかけっこう、良い点……っ、とって、たし」
ナオ
「こんなかわいい子のまえじゃあ」
ナオ
「ばかになるしかないなあ」
ナオ
「あはは……」
イチハ
違うわ。
ナオ
ぽたぽたと血が垂れる。
イチハ
泣いているわけじゃない。
イチハ
これは、
イチハ
ばけものの体になったから。
GM
じゃあ、どうして?
イチハ
泣いているわけじゃないわ。
ナオ
ぬぐってあげようとする。
イチハ
悲しいわけじゃない。
GM
どうしてあなたの心の疵は、抉れているの?
イチハ
別れがつらいわけじゃない。
イチハ
その為にここまで来た。
イチハ
そのために、この身を捧げてまで。
ナオ
「だいじょうぶだって」
GM
どうして、あれから7日間。
ナオ
「これから……いっぱい、いいことある」
ナオ
「おれもちゃんと隣にいるよ」
イチハ
抱き締める。
ナオ
「きみがひつようと、……!」
イチハ
「そんなに、」
ナオ
抱きしめられて、血を吐いて。
イチハ
「がんばって、」
ナオ
「してくれる、までは……」
イチハ
「話さなくていいわ」
イチハ
どうして。
イチハ
目から、
イチハ
雫が垂れる。
GM
殺せばいい。
ナオ
ナオは、なにもしない。
イチハ
とめどなく。
GM
殺せばいいのよ。
イチハ
殺せばいい。
イチハ
殺せばいいのよ。
ナオ
何もしない。
イチハ
いつかのささやき。
ナオ
そのまま、やわらかいぬいぐるみのように。
GM
あなたはあのときそう言った。
イチハ
「これからいくらだって」
ナオ
抱きしめられている。
イチハ
「話せるのだから」
イチハ
うそつき。
GM
甘い声。
イチハ
嘘が下手だって、言われてなお。
イチハ
まだ──。
ナオ
「やだな……」
GM
ただの女の囁きだ。
イチハ
くだらない。
ナオ
「せっかくだし、もうちょっと、はなそ?」
ナオ
*パス
イチハ
くだらないわ、“ミュール”。
GM
*裁判 ラウンド1 終了
イチハ
*hK 捨て
ナオ
*c5 h8 捨て
GM
*裁判 ラウンド2
ナオ
*h5 s6 s7 cK sA
イチハ
*h2 d3 d4 hQ sK
GM
*裁判 ラウンド2 イチハ
イチハ
*h2 攻撃 対象はナオ
イチハ
2d6+1+1=>7 判定(+猟奇) (2D6+1+1>=7) > 10[4,6]+1+1 > 12 > 成功
[ ナオ ] HP : 9 → 3
ナオ
「会えたら、どうする?」
ナオ
「結婚するの?」
イチハ
「会えたら、会えたら……」
イチハ
「ごめんなさいって言いたい」
イチハ
「あなたをひとりにして」
イチハ
「あなたを、置いて行って」
ナオ
「うん」
イチハ
いまからこの子を、
イチハ
ひとりにするのに?
ナオ
「……きっと怒ったり、してないよ」
イチハ
「そうだと、いい……」
ナオ
「だいじょうぶだよお」
ナオ
震える語尾が間延びする。
イチハ
抱き寄せて、そのまま。
イチハ
──背中を、一突き。
ナオ
背中がひらく。
ナオ
ほどけてしまう。
ナオ
なかみが漏れ出てしまう。
イチハ
ちらばる。
ナオ
それはいやだな……
イチハ
かくれていたものたち。
ナオ
ほんとうのことを言いたくないもの。
ナオ
ひとりにしないで。
ナオ
おいてかないで。
イチハ
あなたが私に見せなかった、
ナオ
おれをいちばんすきになって。
イチハ
私が掬い上げられなかった、
ナオ
そんなふうな、不都合な気持ち悪さが。
ナオ
でてきてしまうもの……
イチハ
やがて、朽ちゆくものたち。
ナオ
きみをぜったいに傷つけないものになりたい。
ナオ
ほんとうに。
イチハ
私はこんなに傷付けているのに。
ナオ
ぬいぐるみにでも、なってしまいたいよ。
イチハ
あなたはあなたのままでいいって、
イチハ
そんなあなたを愛せたらって、
イチハ
わたしには、
ナオ
皮がめくれて、ほんとうの中身まで傷ついていく。
イチハ
想う資格がないのよ。
イチハ
謝る資格さえ。
イチハ
赦しを乞う資格さえ、
イチハ
ない。
ナオ
「そしたらさあ、結婚してよお」
イチハ
ベッドが血に濡れていく。
イチハ
赤が、広がっていく。
ナオ
「イチハのウエディングドレス、おれにみせて……」
イチハ
私のものではない。
ナオ
ああ、もうだめだな。
イチハ
あざやかな、赤色。
ナオ
泣きそうだ。
ナオ
ぜったいないちゃだめ。
ナオ
ないちゃだめなんだったら。
GM
どんどんと、熱を失うからだ。
イチハ
「……ええ、」
イチハ
莫迦な子。
イチハ
莫迦な子!
イチハ
黙りこくって、
イチハ
つぎはぎで覆って、
イチハ
大事なことはいつも、
イチハ
お腹の中にしまって。
ナオ
「きれいだろうなあ」
ナオ
「たのしみ、……だ、なあ」
イチハ
わかってるのよ。
イチハ
あなたの、
イチハ
あなたが、
ナオ
死ぬのがこわい……
イチハ
言いたいこと。
イチハ
だって、わたしは、
イチハ
あなたと似ている。
ナオ
でも、もっとこわいことは。
イチハ
わたしがあなただったら、
ナオ
きみをひとりにすることだよ。
イチハ
ひとりにしないでって言葉を。
イチハ
飲み込んでいる。
イチハ
──レイピアを、
イチハ
握り直す。
ナオ
「ほしくなかったら、だいじょうぶだけど」
ナオ
「もしあかちゃんがほしかったらさ」
ナオ
「うーちゃんがきっと、いいともだちになれると、おもう」
ナオ
イチハのこども。かわいいだろうなあ。
イチハ
返事の代わりに、手を握る。
イチハ
一代限りの金糸雀の名を、
ナオ
おれとイチハにこどもができたらかわいかっただろうなあ。
イチハ
彼は知らない。
ナオ
そういうふつうのしあわせ。
ナオ
いらない、いらない、いらない。
イチハ
ふつうのしあわせ。
ナオ
だいじょうぶ、だいじょうぶ。だいじょうぶ。
ナオ
これでだいじょうぶ。
イチハ
とどかない、楽園。
ナオ
これがおれのいちばんのしあわせ。
イチハ
ショーケースの中の楽器。
ナオ
「だいじょうぶ、だいじょうぶ」
ナオ
かすれる声。
ナオ
咳き込んで途切れる言葉。
イチハ
ぜんぜん、
イチハ
言葉が吐けない。
イチハ
「ばかね、あなたも」
イチハ
「いくんでしょう」
イチハ
行けるわけない。
イチハ
行けるわけがない。
ナオ
「うん」
ナオ
行けるわけなくても。
イチハ
30日の向こう側に行けるのは、
ナオ
信じることはできるだろ。
イチハ
いつだってひとりだ。
ナオ
ぬいぐるみに命なんてないんだから。
ナオ
だったら、おれだって、行けるはず。
イチハ
あなたはぬいぐるみじゃない。
ナオ
行けるわけない。
ナオ
……行けるはず。
ナオ
行けるわけないけど、行けるはず。
ナオ
そういうやさしい世界に、
ナオ
きみにいてほしい。
イチハ
行けるわけがない。
イチハ
だってあなたの言葉には、
イチハ
あなたの語る未来には、
イチハ
いつもあなたの姿だけがない。
ナオ
「そんなに泣いてくれると……」
イチハ
「泣いてない。」
ナオ
「嬉しいような、悲しいような……」
イチハ
「目にゴミが、」
ナオ
「あはは」
イチハ
「入っただけ……」
ナオ
「はいっちゃったね、ゴミが」
イチハ
流れる雫はとめどなく。
イチハ
シーツを濡らして、血に混じる。
GM
*裁判 ラウンド2 ナオ
ナオ
おしゃべりは、武器にならない。
ナオ
やさしい綿だけでできた会話は。
ナオ
*パス
GM
*裁判 ラウンド2 終了
イチハ
*d3 hQ sK 捨て
ナオ
*cK sA 捨て
GM
*裁判 ラウンド3
ナオ
*s6 s7 h5 d8 dj
イチハ
*c3 d4 s5 h6 dA
GM
*裁判 ラウンド3 イチハ
ナオ
痛い。
ナオ
何度も死ぬような思いをしてきたけど、
ナオ
今度こそ死ぬんだな。
イチハ
*h6 鋭気
イチハ
*d4 攻撃 対象はナオ
ナオ
おいで!
イチハ
2d6+1+1=>7 判定(+猟奇) (2D6+1+1>=7) > 7[5,2]+1+1 > 9 > 成功
[ ナオ ] HP : 3 → 0
GM
*ナオのHP0。判決表を。
ナオ
2d6+0-0 判決表 (2D6+0-0) > 4[1,3]+0-0 > 4
GM
*3~5:〈昏倒〉する。
イチハ
莫迦な子。
イチハ
ほんとうに、
イチハ
「……ナオ、」
イチハ
きっとはじめて、
イチハ
ちゃんと、
イチハ
彼の名前を呼んだ。
イチハ
「……疲れたね」
ナオ
よんでくれた。
イチハ
ささやく、甘い声。
ナオ
それだけで、うれしくて。
ナオ
とてもとても、うれしくって。
イチハ
「いっぱいがんばって、」
ナオ
それだけじゃぜんぜん足りないはずなのに。
イチハ
「何もかも押し殺して」
イチハ
「愛されたくて、」
イチハ
「でも、愛されなくて」
ナオ
「ほんとうに」
イチハ
「じぶんを、偽り続けて」
ナオ
「ほんとうにさ……」
イチハ
最期まで。
ナオ
「愛してない?」
ナオ
そんなことないでしょ、もう。
ナオ
ベッドサイドのぬいぐるみ程度にはさ。
イチハ
「…………。」
ナオ
おきにいりにくらいにはさ。
イチハ
「あなたが愛されていたと、」
イチハ
「思っていたら」
イチハ
レイピアを振り上げる。
ナオ
「あはは、じゃあ」
ナオ
「おれの勝ちだなあ」
イチハ
笑う声。
ナオ
その腕を。
ナオ
掴む。
ナオ
そのまま喉へあてがう。
イチハ
柔らかな弧を描くくちびる。
ナオ
レイピアのきっさき。
ナオ
おれの心の疵を、
ナオ
じぶんのものみたいに扱ってくれて。
イチハ
レイピアのきっさき。
ナオ
うれしいな。
ナオ
「うれしいな」
イチハ
「嬉しいものですか」
イチハ
「こんな、」
イチハ
「こんなこと、」
ナオ
「うれしいんだよ……」
イチハ
「うそつき」
ナオ
「おれにとっては、かけがえない」
ナオ
「ほんとうだよ」
ナオ
「きみがそうおもっても」
イチハ
「あなたも、うそがへただわ……」
ナオ
「ほんとうだよ……」
イチハ
震える声。
イチハ
震える切っ先。
ナオ
ああ、いっぱいいってあげたいことが。
ナオ
こんなにもたくさん。たくさん。
イチハ
どうしてすぐに、殺さなかった。
ナオ
きみはいい子だよ。
イチハ
こんなにもたくさん、たくさん。
ナオ
愛されるべき子。
イチハ
愛されるべき子。
イチハ
あなたこそ、そうだったはずよ。
ナオ
「大丈夫だよ」
ナオ
「なんにもなくならない」
イチハ
たくさんのことばが、
ナオ
「ぜんぶ、きみにあげたから」
ナオ
「おれは……」
イチハ
私を包む。
イチハ
温かい綿が、
ナオ
「なにもなくさずに済んだよ」
イチハ
私の首を絞める。
イチハ
「………、」
ナオ
「だいじょうぶ」
ナオ
「殺して」
ナオ
「おれはきみのかいぶつ」
ナオ
「ふわふわの、やわらかい、怪物だ」
イチハ
息を吐く。
イチハ
切っ先を、つよく──
イチハ
押し込んだ。
ナオ
ぶつりと赤い糸がちぎれ。
イチハ
よくあることよ、
イチハ
こんなこと。
ナオ
喉からも口からも血があふれる。
イチハ
目に焼き付ける。
ナオ
裂けた喉でなにごとかつぶやく。
イチハ
その景色を。
ナオ
「     」
イチハ
その声を、
イチハ
そのつめたくこおってゆくからだを、
ナオ
あいしてる。
イチハ
抱き締める。
ナオ
だいすき。
イチハ
あいしてあげたかった。
ナオ
しあわせになって。
ナオ
力が抜けていく。
イチハ
だいすきって、言ってあげれば。
イチハ
きっと、
イチハ
あなたは救われたのでしょう。
イチハ
あなたのスープは冷めきったまま。
イチハ
もう二度と、皿の底は鳴らない。
ナオ
薄れゆく視界のなか。
ナオ
こんなかわいい女の子に殺してもらえて、
ナオ
抱きしめられて、
ナオ
そのまま死ねるなんて最高だね。
ナオ
王子様のばーか。
ナオ
おまえはこんなの、経験できないぞ!
イチハ
その瞼が、完全に閉じるよりも先。
イチハ
そっと、頭に手を滑らせる。
イチハ
いちども、
イチハ
しなかったこと。
ナオ
ああ。
イチハ
くちづけた。
GM
それは二人だけの親密な行為。
イチハ
鳥の羽根の、撫でるような。
ナオ
……王子様のばーか。
ナオ
奪っちゃったぞ。
イチハ
あわいくちづけ。
ナオ
はやく、迎えに……
ナオ
きてやれよな……
イチハ
こんなものが、なんになる。
イチハ
こんな行為に一体、
イチハ
何の意味がある!
ナオ
血の味のするキスだった。
イチハ
眠りを覚ませない。
ナオ
それで、それは自分の血の味で、
イチハ
永久の眠りに落ちる彼を、
ナオ
それを最後に、ねむりに堕ちていく。
イチハ
引き留める枷にならない。
イチハ
成し遂げた。
イチハ
……成し遂げたのだと。
GM
*ナオは死亡しました。
イチハ
冷たい唇の感触が、
イチハ
私に教えた。
GM
*裁判閉廷
GM
*エピローグ
GM
暗く、小さく、濡れた部屋。
GM
イチハはただひとりでそこにいます。
イチハ
抱き締めていた亡骸を、
イチハ
──離す。
ナオ
もう、こたえることはない。
ナオ
わらいかけることも。
ナオ
だきしめてくれることも。
イチハ
手をつなぐことも。
イチハ
その手を引くことも。
イチハ
涙を拭ってくれることも。
イチハ
そして、もう。
イチハ
あなたは、愛したり愛されたり。
イチハ
できなくなった。
ナオ
うさぎのぬいぐるみが転がっている。
ナオ
それも、もう動かない。
イチハ
拾い上げた。
イチハ
ぽたぽたと、
ナオ
やわらかなてざわり。
イチハ
雫が落ちる。
イチハ
やわらかなてざわり。
イチハ
もう、
イチハ
これを拭ってはくれない。
ナオ
拭ってはくれない。
ナオ
でも、この部屋には、
ナオ
あなたのために残したものがたくさんある。
ナオ
ぜんぶ、それはあなたのもの。
イチハ
血に濡れたレイピアを、
ナオ
地図。着替え。水筒。食料。
イチハ
その、まだ血に滑るきっさきを、
ナオ
ハンカチ。ぬいぐるみ。そして命。
イチハ
愛しいものに触れるように、
イチハ
唇で辿る。
GM
救世主の責務は30日。あなたがすぐに亡者と化すことはなくなりました。
ナオ
こらっ、だめだったら。
イチハ
切れた唇から、紅茶の雫が垂れた。
ナオ
そんなことしたらケガしちゃうよ。
イチハ
これで、あなたは。
イチハ
わたしの疵。
ナオ
まったくもう。
ナオ
きみってば本当に。
イチハ
一緒にいきましょう。
GM
6ペンスコインは10枚。
ナオ
もちろんそのつもり!
イチハ
──物語の果てまで。
ナオ
いっしょに連れてってねっ。
イチハ
私の一部になったあなたなら、
イチハ
愛することが出来る。
イチハ
ずるくて、浅ましい考え。
イチハ
でも、きっと。
イチハ
あなたはそれでいいって、
ナオ
だいじょうぶだいじょうぶ。
イチハ
頷いてくれるわ。
ナオ
それでいいにきまってるじゃん。
ナオ
このさき、いっぱい、たのしみだね。
ナオ
ケーキもお洋服も、大きな街も。
ナオ
それから、それから、王子様も。
イチハ
──ウィル、ウィル。
イチハ
あなたに会いたい。
ナオ
ほうら会いたがってますよ。
ナオ
あなたのお姫様が。
イチハ
あなたに会えるようにもう一度。
イチハ
私は、新しい武器を取る。
ナオ
あんたに会えるようにもう一度。
イチハ
血に染まった赤い糸を辿って、
ナオ
こんどはもっとやさしい話がいいね。
ナオ
きみが傷つかないような。
ナオ
しあわせでいられるような。
イチハ
いつか、あの──サンザシの元へたどり着く。
イチハ
ウィル・ホーソン。
イチハ
その名前だけが、私の標。
イチハ
──私のすべて。
ナオ
だいじょうぶ、だいじょうぶ。
ナオ
たどり着けるに決まってるよ。
ナオ
だいじょうぶ、だいじょうぶ。
ナオ
おれもいっしょに、行くからね。
GM
二人の救世主がいました。
男と女、それぞれの名をナオとイチハといいます。
二人は娼館で出会い、30日まで共に過ごしました。
GM
最後の日、二人は小さな部屋にて裁判を行い、イチハはナオを殺しました。
救世主が救世主を殺す。
それはよくあることです。
GM
イチハは6ペンスコインと、命と、それから多くのものを与えられ、
GM
暗く、小さく、濡れた部屋を出ました。
GM
ウィル・ホーソンに会うために。
GM
GM
GM
GM
Dead or Alice
GM
In The Dark, Small And Wet Room
GM
――二人だけの親密な行為。
GM
GM
GM
GM
I miss youに続く。
GM
GM
GM