GM
お時間ですね。
GM
よろしくお願いします。
ナオ
よろしくね!
イチハ
よろしくお願いします。
GM
GM
二人の救世主がいました。
男と女、それぞれの名をウィル・ホーソンとミュールといいます。
二人は荒野で偶然出会い、30日間を共に過ごしました。
GM
最後の日、二人は荒野にて裁判を行い、ウィル・ホーソンはミュールを殺しました。
救世主が救世主を殺す。
それはよくあることです。
GM
しかし、ミュールは再び生きることを望みます。
想いは、あるいは妄執は届き、ミュールは立ち上がりました。
その生命の5分の4を亡者へとやつし、再び歩きだしました。
GM
ウィル・ホーソンに会うために。
GM
ミュール。いいえ、あなたの名前は……。
イチハ
ミュール。一代限りの金糸雀。
イチハ
歌えなくなった鳥の名前。
イチハ
私はその名を抱いて、あなたへとたどり着いた。
イチハ
──ウィル、ウィル。
イチハ
でも、ミュールは死んだ。
イチハ
あなたが殺した。
イチハ
でも、それを私は幸いと呼べた。
イチハ
それを、災いと貶すことが出来ようか。
イチハ
いいえ、出来はしない。
イチハ
出来はしないわ。
イチハ
私は死の淵から蘇り、きっとあなたに辿り着く。
イチハ
そのためには、
イチハ
手段を選んだりしない。
イチハ
………。
イチハ
ここに来る前、私は、「一葉」だった。
イチハ
都合が良くて、大人しく。
イチハ
誰に対しても、強く出られず。
イチハ
いつまで経っても群舞のひとり。
イチハ
でも、でも。
イチハ
あなたがそれを、掬い上げた。
イチハ
冷たいスープは皿に無く。
イチハ
歌えない金糸雀は、片割れを失ったことで。
イチハ
再び歌声を取り戻した。
イチハ
『いちど、番わせておくのです』。
イチハ
『そうして、片方を引き離す』。
イチハ
『恋仲を引き裂かせた小鳥は』。
イチハ
『恋人を求めて、毎晩、美しい声で囀る』。
イチハ
──恋しくて泣くの?
イチハ
──届きもしないのに。
イチハ
「あなたの言った通りよ、ウィル。」
イチハ
「私はずっと、綺麗な声で歌えるようになった」
イチハ
再び、あのサンザシの元へたどり着くまで。
イチハ
私は、きっと、喉が枯れるまで。
イチハ
あなたを求めて歌うわ、ウィル・ホーソン。
GM
イチハ。それがあなたの心の疵ですか?
イチハ
──いいえ。
イチハ
それは恋のお話よ。
イチハ
よくあること。よくある、恋の話。
イチハ
私は、そう。
イチハ
片方だけの、割れたガラスの靴。
イチハ
例えるならそれがふさわしいわ。
イチハ
砕け散って、跡形もないの。
イチハ
他人から見れば、ただの欠片だわ。
イチハ
これは砕けたわけではないわ。
イチハ
私が砕いたの。
イチハ
どうしてか?
イチハ
それはね──
イチハ
私が、彼を置いて行ったから。
イチハ
そんな村娘いないわ。
イチハ
王子さまは生きようと言ったのに。
イチハ
殺してとせがんだの。
イチハ
噓でも生きたいって、一緒にいきましょうって。
イチハ
そう言っていたら、この靴は。
イチハ
履く脚を失ったとしても砕けることは無かったでしょうね。
イチハ
硝子の靴がなければ、シンデレラは舞踏会に出られない。
イチハ
さて、それではどうしましょう。
イチハ
王子様を殺すお話が、御伽噺にあったでしょう。
イチハ
私ね、思ったの。
イチハ
『違う王子様を殺してしまえば、ハッピーエンドを迎えられるんじゃないか』って。
イチハ
だから、そうするわ。
イチハ
この片方を持つあなたを、今度は私が探し出す。
イチハ
どんな手を使っても。
イチハ
…………。
イチハ
でも、でもね。
イチハ
私はここに戻る時に。
イチハ
「人であること」を取り落としてしまった。
GM
そう。あなたの5分の4は亡者。
イチハ
そう。わたしの5分の4は亡者。
イチハ
流れる涙は紅茶の香り。
イチハ
纏う空気はクリームの。
イチハ
あなたの為のティーセット。
イチハ
あなただけの為の。
イチハ
だけどそれで、誰かをもてなさないと。
イチハ
壊れた時計は進まない。
イチハ
だから、私は今日も。
イチハ
綺麗な声で誰かを呼んで。
イチハ
──こいしいとなく、鳥の声。
GM
イチハ。あなたは蘇ったあと荒野を歩き、ある街へたどり着きました。
GM
6ペンスコインを失って、生きてたどり着くことができたのは幸運と言えるでしょう。
GM
救世主は心の疵を持っていたとしても、6ペンスコインがなければ力を使えません。何処にでもいる末裔とまったく同様、無力になってしまうのですから。
GM
それでも、あなたは救世主です。
GM
救世主である以上、救世主の責務は変わらずあります。
GM
30日に一人の救世主を裁判で殺さなければ、あなたは亡者に成り果てるのです。
GM
また、荒野には至るところに亡者が蔓延り、街から街へ移動するのだってままなりません。
GM
6ペンスコインを手に入れなければ、あなたは愛しい人の下へ行くことは決してかなわないでしょう。
イチハ
今まで、私が奪われてきた。
GM
いや、それどころか。その身を亡者と成り果てても、飲み食いしなければ生きていくことはできないのです。雨に打たれれば身体は冷え、衰弱すればただ死ぬでしょう。
イチハ
少しくらい、奪っても罰は当たらない。
イチハ
ええ、ええ。
イチハ
理解しています。
GM
その街には娼館がありました。
GM
あなたはその身分を偽り、娼婦となります。
GM
あなたに割り当てられたのは、暗く、小さく、湿った部屋。
GM
そこであなたは、救世主を待つ。
GM
Dead or Alice
GM
『In The Dark, Small And Wet Room』
GM
――二人だけの親密な行為。
GM
GM
一夜目。
GM
1d12 客シーン表 (1D12) > 9
GM
9:暴力的な救世主だ。力を知らしめ服従させる。うっかりあなたを殺しても、誰も咎められない。
GM
初めてあなたを抱いた客は、奇しくも救世主でした。しかし、あなたはそれからコインを奪うことは難しいと思うでしょう。
GM
二夜目。
GM
1d12 客シーン表 (1D12) > 8
GM
8:眠り鼠の末裔だ。あなたには添い寝を求める。しかし、夢が休む場所でないことを知ることになる。
GM
眠り鼠の末裔は夢の中で、あなたを犯し続けました。飽くことなく、疲れることもなく、何度も。
GM
三夜目。
GM
1d12 客シーン表 (1D12) > 7
GM
7:帽子屋の末裔だ。ムードを求める。お洒落を解かせても、その帽子までは脱がせない。
GM
帽子屋の末裔をあなたは客に取りました。洒落者の男は多くを持っているように見えても、救世主ではありません。生きつなぐ銭を落としても、あなたの活路には繋がりません。
GM
そして、四日目の夜。
GM
ある救世主が訪れる。
GM
駆け出しの救世主。あなたの名前は?
ナオ
「おれはナオ」
ナオ
「歳は17で……得意なことは、裁縫仕事。
まさかこれが武器になるなんてさ、わかんないもんだね」
ナオ
「じゃ~ん」
ナオ
「ほら、おれが作ったものはね、こうして動いたりするんだ。
結構いいでしょ?」
ナオ
「元の世界じゃなんにもならなかったのにね、お裁縫なんて……」
ナオ
「ここってすごくひどい世界だよ。水も満足に飲めないし、お風呂にも入れない生活をすることになるなんて、想像も付かなかった」
ナオ
「でも……」
ナオ
「なんだか、生きていけそうな気がして……」
ナオ
「……やってることは、結局ひとごろしだけどね……」
GM
ナオ。あなたの心の疵はどういったものですか?
ナオ
『女の子が好き』
ナオ
「かわいくて、やさしくて、ふわふわで」
ナオ
「手を握ると柔らかくて、とろけそうなくらい甘い声を持っていて。
さらさらの髪は、いいにおいがして……」
ナオ
「いいなあ。あんな女の子と付き合えたら、どういう気持ちになるんだろう?」
ナオ
「そういうことが、許されてみたいなあ」
ナオ
「この世界でなら、許されるかな……」
ナオ
だから、おれは自分を『つぎはぎ』にした。
ナオ
『つぎはぎ』
ナオ
「そうだ、許されないなら、騙ってしまえばいいんだ」
ナオ
「お姫さまのとなりには王子さましか許されないなら、おれがそれになればいいんだ」
ナオ
「とても言えないような、おぞましいことをした」
ナオ
「死んだ人間の皮でできてる王子さまなんていないよ」
ナオ
「でも気づかれなければ、許してもらえる」
ナオ
「なのに、なんでだろう?」
ナオ
「どうしてなのかな?」
ナオ
「本当にこうなりたかったのかなって思うんだ」
ナオ
「これでやっと、生きていけそうな気がするのに……」
GM
あなたのつぎはぎは機能しました。娼館の主人はあなたに、
GM
「救世主のお兄さん、どんな子がお好みですか。素直な白兎に積極的な三月兎、それからミステリアスなチェシャ猫――」
GM
と、男性として呼びかけます。
ナオ
立ち止まる。
ナオ
「えっ。ええと」
ナオ
「……おれにいってる?」
GM
「もちろんですよ。うちはかわいい子ばかりですよ!」
ナオ
「かわいい子……」
GM
白兎の末裔の店主は、笑いながら続けます。
GM
「オススメはコックの末裔の子! お菓子を料理しすぎて、甘い匂いがとれなくなっちゃった子です!」
ナオ
あまいにおいのおんなのこ。
GM
「末裔でも肉付きがよく、きっと、いや絶対に、お兄さんにもご満足いただけます!」
ナオ
「あ、あ、えと」
ナオ
「おれ、こういうの、はじめてで……」
ナオ
しどろもどろ。
ナオ
「その子と……会ってみたいんですけど……」
GM
「おおっと、そうでしたかそうでしたか! それではこちらへ……」
ナオ
心臓がどきどきと音を立てる。
GM
店主は気が変わらぬうちに、とせっかちに店に招き、料金等の説明をします。
ナオ
ぜんぜん頭に入らない。
GM
亡者を殺したりしていれば、救世主のあなたには容易に払える額です。
ナオ
持ち合わせに問題はなかった。
ナオ
……ぜんぜん頭に入ってこない。
GM
ふかふかのベッドもあり、かわいい子にいっぱい優しくしてもらったあとは、そのままぐっすりお寛ぎいただけるでしょう……。
GM
流れるように、あれよあれよと話が進められ。
GM
あなたはドアの前にいます。
ナオ
な、
ナオ
なんの覚悟もできていないままここまで来てしまった。
GM
「それでは、ごゆっくり……」
ナオ
「は、はい……」
GM
深呼吸するまもなく、さっさとドアを開けられ。
GM
暗く、小さく、湿った部屋。
GM
そこにイチハはいる。
ナオ
目が合った。
イチハ
微笑む口元。
イチハ
……これは、殺せると思った。
ナオ
透けるような白い肌。かすかにただよう甘い香り。
ナオ
さらさらの、きれいな髪の毛。
ナオ
おれに向かって微笑む唇。
ナオ
突っ立ったまま、ただぼうっと眺めている。
ナオ
扉は開いているというのに……
GM
「お気に召しませんでしたか……?」
GM
店主は横で、囁くようにたずねる。
ナオ
「い、いえ!?」
ナオ
はっと我に返り、一歩踏み出した。
GM
「よかったよかった。それでは、改めてごゆっくり……」
GM
ドアがバタンと閉まる。
ナオ
ふたりっきりだ。
ナオ
心臓がうるさすぎる。このままでは胸のあたりから破裂してしまう。
ナオ
「あっあっ、ええと……」
イチハ
「どうして、」
イチハ
「立ち尽くしているの?」
イチハ
誘うように、伸ばされる白い手。
ナオ
いざなわれて、幼い子どものように向かう。
イチハ
それを見て、小さく声を立てる。
ナオ
恥ずかしさがかっと熱を持つ。
イチハ
「素直な人なのね」
イチハ
こどもみたい。
ナオ
「だ、だって……」
イチハ
その言葉は口に出さない。
イチハ
……ああ、ひとは、獲物に対しては。
ナオ
「おねえさんが、綺麗だったから……」
イチハ
こんなにも冷酷になれるのだ。
イチハ
微笑みの裏側で、画策をする。
イチハ
「きれい?」
ナオ
「はっはい! とっととと、とっても」
イチハ
「平凡な容姿でしょう?」
ナオ
ぶんぶんと首を横に振る。
ナオ
おさげがばらばらと揺れる。
イチハ
どこか、疲れたような声。
イチハ
「本当に?」
ナオ
おればかり舞い上がって困らせてるかな……
イチハ
「じゃあ、もっと褒めて」
イチハ
「触れて、」
イチハ
「そばにきて?」
イチハ
甘い、蕩けるような声を。
イチハ
舌に乗せる。
イチハ
……反吐が出る!
ナオ
「……うん」
ナオ
そっと、慎重に。こわれものに扱うように。
イチハ
微笑む顔は、きっと。
ナオ
ベッドに腰掛けて、尋ねる。
イチハ
女の内心を悟らせはしない。
イチハ
きしりと微かにベッドが軋んだ。
ナオ
「おれはナオです」
イチハ
赤い頬を見て、そっと。
ナオ
「あの、名前、聞いてもいいかな……」
イチハ
恥ずかし気に、視線を逸らす振りをする。
イチハ
「………きょうはいやよ」
ナオ
「えっ」
イチハ
ゆびさきで、シーツに線を描く。
イチハ
「きょうは、だめ。」
イチハ
「次に来てくれたら……」
イチハ
「教えてあげてもいいわ。」
ナオ
ごくり、と喉を鳴らした。
イチハ
「だって、」
イチハ
せいいっぱい、愛を乞う。
イチハ
にせものの、愛の囀り。
ナオ
おれにだけ囀ってくれている。
イチハ
「あなたが今夜で来なくなったら──さみしいもの。」
ナオ
いまだけは、おれだけに。
イチハ
あなただけであるわけがない。
ナオ
「うん」
イチハ
いまの──この瞬間でさえ。
ナオ
シーツを滑る指に、おそるおそる触れようとして、
イチハ
逃げる。
イチハ
掴ませない。
イチハ
あと一歩で、
イチハ
届かない。
ナオ
止まる。
イチハ
そんな、戯び。
ナオ
「触っていい?」
イチハ
「触りたい?」
ナオ
頷いた。
イチハ
頷いた。
ナオ
そっと手と手を重ねる。ただそれだけ。
イチハ
今度は逃げない。
イチハ
微かに震えるふりをする。
ナオ
触れたところはひどくなめらかで……
イチハ
それはそうだ。この肌は砂糖菓子。
ナオ
手だけは許されていたから、繋いだことはあるけれど。
ナオ
こんなふうに触れたことはない。
イチハ
ああ、あの。
イチハ
──冷たい金属の手が恋しい。
イチハ
生温い体温だと、溶けてしまいそうだわ。
イチハ
──辟易!
ナオ
「きれい……」
イチハ
「ありがとう」
イチハ
ささやいて、
イチハ
重ねられた手の指を撫でる。
イチハ
羽根が肌を撫でるような、
イチハ
微かにくすぐるような動き。
ナオ
震える。演技ではなく、ほんとうに。
ナオ
魂をくすぐられるような甘いよろこび。
イチハ
くすぐって、引き出して。
イチハ
あなたの頭を、思考を奪って。
イチハ
さいごに、あなたの命さえ。
ナオ
「どこまでして、いいの?」
イチハ
「どこまで、したい?」
ナオ
撫でられて、握るようにして。
イチハ
言葉遊びのようなやり取り。
ナオ
確かめるように繋いで。
ナオ
「…………」
ナオ
顔が熱い。
イチハ
その手に確かなものは何一つもない。
ナオ
「さいごまで……」
イチハ
くす、と。
イチハ
笑う。
イチハ
「きょうは──だめ。」
イチハ
同じ言葉を返す。
ナオ
「次ならいいの?」
イチハ
「名前を知って、それから、」
イチハ
「わたしの、触って欲しいところを」
イチハ
「きちんと──知ってからよ。」
イチハ
甘い囁き。
ナオ
「情けない話、なんだけど」
ナオ
声が震えている。
ナオ
「はじめてなんだ……」
イチハ
そっと逃げるように手を離して、
イチハ
「ふふ」
イチハ
「はじめてが、」
イチハ
「わたしでいいの?」
イチハ
頬を、くすぐるように撫でた。
ナオ
砂糖菓子のなめらかな指先。
ナオ
「はじめて会った人にこんなこと」
ナオ
「言うの、へんだけどさ」
イチハ
首を傾げた。
ナオ
「……君がいいな」
イチハ
「いいわ、」
イチハ
「もちろん、いい。って」
イチハ
頬から手を離す。
イチハ
「言って欲しい……?」
ナオ
「わからない……」
ナオ
離された指。
イチハ
「だめって言うのを、無理やりが」
イチハ
「好きなひとも居るでしょう?」
ナオ
物欲しそうな顔をするのを、やめられない。
イチハ
知っていて、言っている。
イチハ
その欲が、もっと、もっと。
イチハ
熱を持つように。
ナオ
「君の触れられたいところを、触れられたらいいなと思う」
イチハ
「……ええ、」
ナオ
「ねえ」
ナオ
「だきしめるのは、だめかな」
ナオ
シーツをさみしげに掻く指。
イチハ
「………、だめよ。」
ナオ
間違いなく、男の手。
イチハ
けれど、シーツが。
イチハ
音を立てる。
イチハ
「私が抱き締めてあげる。」
イチハ
腕を伸ばして、
イチハ
緩く抱く。
ナオ
一瞬の落胆。それから顔をあげて、
イチハ
背中に指をすべらせるように這わせて、
イチハ
肩を引き寄せる。
ナオ
ぬいぐるみの綿よりももっとすてきなものを身体に感じる。
イチハ
………防具の類は付けていない。
イチハ
……目立った、武器もない。
イチハ
確認して、髪を撫でた。
イチハ
これが、親密な行為だとは。
ナオ
分用意にも、武器を部屋の隅に立てかけている。
イチハ
笑わせる!
ナオ
着込んでいるが、それは身体を守るすべにはならない。
イチハ
ちらと、部屋の隅を見た。
イチハ
──浅ましい子。
イチハ
ろうそくが揺れる。
ナオ
ろうそくが揺れている。
イチハ
殺すのはきっと、
ナオ
これだけのことでよろこぶ。これだけのことで満足する。
イチハ
たやすい。
イチハ
たやすい存在。
ナオ
きっと次だって、その次だって、通いに来るに違いない。
イチハ
きっと次だって、その次だって、通いに来るに違いない。
イチハ
そう仕向けた。
ナオ
夢中になる。たったこれだけのことで。
ナオ
これだけの、よくある、平凡なことで。
イチハ
よくある行為、よくある言葉。
イチハ
簡単なことよ、ウィル・ホーソン。
ナオ
それがその時だけは自分にむけられた――
ナオ
親密な行為だと信じて。
イチハ
大丈夫、上手くやるわ。
イチハ
親密な行為の皮を被った悪意の物語が、
イチハ
幕を開ける。
GM
GM
以上が導入となります。
GM
これより、お茶会に入ります。